本当は、ね
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私は今、トキワジムにいる。
目の前にはマグカップが2つと、甘い匂いを漂わせているチョコレートクッキー。
もちろん、ジム戦に来たわけじゃない。
今日はここトキワジム、ジムリーダーのグリーンの彼女、ブルーに会いにきた。
グリーンがジム戦をうけていて暇らしく、遊びにこない?とさっき電話がかかってきたんだ。
することもなく暇をしていた私は、すぐに返事をして家を飛び出した。
【本当は、ね】
「イミテって結構我慢強いわよねえ…」
それは突然の親友の言葉。
話の意図が全く見えず、私はえっ?と聞き返す。
「レッドのことよ!」
ブルーの口からでたその名前、はまぎれもない、私の彼氏の名前。
「もう一週間も会ってないし、電話すらしてないんでしょう?」
「…うん。」
レッドは一週間前、シロガネ山まで修行にでかけた。
近場で修行すればいいのに、と思ったが、レッドいわく、そこにはレベルの高い野生ポケモンがたくさんいるらしい。
でも、なんせ山奥。
もちろんポケギアの電波も届かない。
私がついていっても迷惑になるだけだろうし、連絡手段は一切ない。
「いつ戻ってくるの?」
「分かんない…。とりあえず4、5日以上はかかるって言ってたんだけど…。」
「まったく…。レッドはほんとにポケモン馬鹿なんだから。」
腰に手をあててふう、と呆れ顔のブルー。
「仕方ないよ。そこがレッドのいいところだもん。」
レッドはポケモンバトルのことには、すっごく熱心になる。
たまに周りも見えなくなるくらい熱中するところがキズだけど…、そんな一生懸命な姿を見るのは嫌いじゃないんだ。
「あー、はいはい。愛してるから全部許せるの!…ってことね?」
「ちょっとブルー!からかわないでよ!」
あはは、と私達の笑い声がジム内に響いた。
ブルーはいつも一枚上手。
同じ年なのに、ブルーといると私のが幼く感じてしまう。
彼女は容姿端麗で頭もよくて………、いつも余裕たっぷりで。
私とは大違い。
私なんてこれといったとりえもないし、いつもいつも焦ってばかり。
レッドが修行に出かけるたびに、ズキンと心が痛んで、私のことなんてどうでもいいのかな、って思っちゃうんだ。
そして今も、「会いたい」って心が叫んでいるのは、ほんの少しの余裕もないから。
我が儘言っても、レッドを困らせるだけなのに…。
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