Short Novel
『先ほどかかってきた届いた犯人からの電話によると、“子供を返してほしければ、五億円を空座町の椿台にある松倉病院跡に持って来い”とのことです。誘拐された少年の名は―――』
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クロサキ医院・一護の部屋。
「え~!!嫌ですぅ!!」
そこに、騒がしい死神たちが、
「だから、すぐに戻ってくるって言ってんだろ」
すぐにでも行こうとしている銀髪の少年を必死に止めていた。
「だからって今すぐ行かなくてもいいじゃねぇか!!」
「そうっすよ!!あんなハゲのところになんか!!」
「おい恋次!誰がハゲだって!?」
「君のこと言ったんじゃないよ、一角」
「冬獅郎~!!」
彼らは日番谷先遣隊。
破面の襲撃にそなえ、尸魂界から現世に送られてきたのである。
現世に来て数日、日番谷は総隊長である山本元柳斎(ハゲ・ジジイ)に呼び出されたのである。
それを、皆(主に乱菊と一護と恋次)が止めていたのであった。
理由は…
「「「あんなジジイ(ハゲ)のところに行っちゃいけない!!!」」」
あのジジイ(ハゲ)は、自称:日番谷のおじいちゃん だから。
「絶対なんかしてくるって!!」
「危険ですよ!隊長!!」
「そうっすよ!!」
元柳斎=危険
そう頭の中にある三人に、日番谷はさすがに元柳斎が哀れに思った。
しかし、否定しないのは、たしかにそういう出来事がまれにあったから。
日番谷はため息をつくと、目の前にあるドアップ三人組をどかして、解錠をする。
「隊長~!!」
「冬獅郎~!!」
「うるせぇ!!すぐ戻ってくるっつってんだろ!!」
そう怒鳴った後、さっさと尸魂界へ行ってしまった。
「「「・・・」」」
その場に沈黙が流れる。
残された三人は、傍から見ると主人に取り残された犬のようだ。
その光景に弓親はため息をつく。
(まったく、日番谷隊長も大変だね・・・)
日番谷を心の底から同情した。
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―――夜。
元柳斎の長話(用事)からようやく解放された日番谷は、皆の待っているクロサキ医院に向かうべく、夜道を歩いていた。
(ったくあの爺!!いつもいつも話が長ぇんだよ!今でも足が痺れてるッつうの!!)
日番谷は元柳斎の長話の所為で痺れてしまった足を休めるため、その場で立ち止った。
(早く帰らねぇとな・・・)
あいつらがうるさいから。
ゆっくりと空を見上げる。
そう思っていてものんびりとしている日番谷だった。
―――突然、後ろに気配を感じた。
振り返ろうとしたが、その前に白い布を口に当てられ、意識が朦朧とし始めた。
「こんな時間に、子供が一人でうろついじゃダメでしょ?」
気を失う前、そう言う男の声が聞こえた。