Short Novel
「・・・も、もう一度言って貰えませんか?」
嘘だ・・・
「ん?『高校に行くのは流石におかしいから、日番谷隊長は小学校に行け』といったんじゃが、よく聞こえんかったかのう?」
そうじゃねぇよ。
何で・・・
何で・・・
小学校なんだぁああああ!!!!!!!!
反逆した藍染が虚圏に行って、尸魂界も戦闘の準備を整えていた。
そこで、現世に先遣隊が行くことになったんだが、空座町に詳しいということで総隊長が選んだのが朽木、それに親しいからと阿散井が選ばれた。
隊長格ではなく選べる戦闘要員として、阿散井は斑目を選んだんだが、それにおまけとしてついてきたのが綾瀬川と松本。
松本がどうしても行きたいと言うもんだから、俺は引率として仕方なく現世に向かうことにした。
そこで出来たのが「日番谷先遣隊」。
そこまでは、まぁいいとしよう。
問題は次からだ。
何故かあの爺・・・総隊長がいきなり「黒崎一護のいる高校へ紛れ込め」と言ってきた。
ご丁寧に制服まで用意して。
俺はもちろん理由を聞きに行った。
そしたら・・・
『わしの趣味じゃ』
・・・これだ。
しかもその次にいった言葉が・・・
『高校に行くのは流石におかしいから、日番谷隊長は小学校に行け』
・・・それで今にいたる。
どういうことだ!?
何で俺が小学校に行かなきゃなんねぇんだよ!!
・・・身長か?
身長で言ってんのか!?
殺すぞ糞爺!!!
と思っている日番谷の前で、元柳斎は
(ランドセルを背負った可愛い孫の姿が見たい)
と思っていたのであった。
そういうわけで、日番谷は小学校、他は高校となってしまったわけだが・・・
本当のありえない出来事は、これから起こる。
いくら真面目な日番谷でも、ランドセルをきちんと背負うことはせず、手に持っていた。
ピッカピッカの
「死ね!!」(by.日番谷冬獅郎)
と学校へ着いてあることに気がつく。
感じるはずのない霊圧が、この学校の中から感じることに。
日番谷は慌ててその霊圧の方へ向かうと、そこにいたのは・・・
「あ!日番谷は~ん♪」
と飛びついてきたのは・・・
「何してんだてめぇーーー!!!!!!!」
と俺が蹴飛ばしたのは・・・
「市丸・・・!!」
反逆して虚圏に行ったはずの市丸ギン。
「うぅ・・・!ひ、日番谷はん!僕に会いに来てくれたんやね!」
「んなわけね・・・あるが、好きこんでテメェに会いに来たわけじゃねぇ!!!」
「うれしいわ~!!!」
そう言って日番谷をギュウギュウと抱きしめる。
「人の話を聞け!!!ていうか放せ!!!」
日番谷はジタバタと抵抗するが、市丸の力は強く、まったく解けない。
日番谷が「死神化して氷輪丸で殺してやろうか」と思ったその時、
「ギン。放しなさい」
「っ―――!!!」
その声に驚愕した日番谷は、バッと声のしたほうを向く。そこには・・・
「やぁ、日番谷君。相変わらず可愛いね」
元死神界のヨン様、藍染惣右介がそこにいた。
「藍染・・・―――っ!!?」
市丸の腕の中にいたと思っていたら、何時の間にか藍染の腕の中にいた日番谷は、驚いて藍染を振り返る。
「なっ!?藍染!?」
「おっさん!!何こんなところで自分の斬魄刀使ってんねん!!」
藍染の手には、いつの間にか自身の斬魄刀・鏡花水月が握られていた。
つまり、この場にいるものを完全睡眠にかけ、市丸から日番谷を奪ったのだ。
藍染はニヤリと笑って、
「何を言っているのかな?ギン」
「は?」
藍染は顎で周りを見るようギンに指示する。
指示されたとおり周りを見てみると、刀なんて見えてないのか、子供達は市丸の言ったことに?を浮かべている。
「この子達にもかけたんかいな」
「そうでもしないとまずいだろう?ここは学校だからね」
そう言って藍染は日番谷の髪にキスをする。
それを見た市丸は我に返って、
「おっさん!!さっさと日番谷はん放せや!!!」
「何故だい?日番谷君は僕のものなのに」
「何言ってんねん!!!日番谷はんは僕のもんや!!!」
「冗談はやめたまえ、ギン」
そう言うと藍染は日番谷を席に座らす。
先程から、何をされても黙っている日番谷を不思議に思い、市丸はその顔を覗き込む。
「こ、これは!!」
日番谷は完全に藍染の睡眠にかかっていた。
「じゃあ出席を取ります。そこの狐!邪魔だ。出て行きなさい」
「おっさん!よくも僕の日番谷はんを・・・!!」
「先程から聞いていれば、おっさんおっさんって・・・お仕置きが必要だな?ギン」
「うっ・・・けど、日番谷はんのことなら譲れませんなぁ!」
いつまでも続くいい争いに、呆れている子供達。
藍染によって完全催眠にかかっている日番谷。
その状況で市丸は負けてしまい・・・
「フッ。所詮狐か」
と言って出席確認を始めた藍染が、完全催眠で学校を支配していた。
「せんせい!このきつねはどうするの?」
「ああ。そこらのゴミ箱にでも入れておきなさい」
「「「は~い♪」」」
とクラスの子供達全員で、狐もとい市丸を学校の焼却炉に捨てに行った。
その間藍染はというと、
「日番谷君・・・」
「藍染・・・」
(フフフ。今なら邪魔な子供や狐もいない。その間に日番谷君とあんなことやこんなことを・・・)
と変態なことを考えながら、日番谷を抱きしめていた。
完全催眠にかかっている日番谷は、抵抗しない。
そのことをいいことに、藍染は日番谷を体から少しだけ離すと、日番谷の顎を持って顔を少しだけ上げる。
その唇めがけて顔を近づけていく。
しかし、世の中全てうまくいくはずも無く、
ドカーーーーン!!!
と音を立てて入ってきたのは、
「隊長ーーーーー!!!!!」
「冬獅郎ーーーーー!!!!!」
高校に行っているはずの一護達だった。
「チッ!邪魔が入ったか」
藍染はそう舌打ちをすると、日番谷を抱きしめたまま一護達の方を向く。
「何しに来たんだい?」
「何しにだと・・・?冬獅郎を助けに来たに決まってんだろうが!!」
「日番谷隊長!!」
「隊長!!」
「フッ。君たちごときにそれが出来ると思っているのかい?」
と、藍染がかっこつけて立ち上がるが、
「それはこっちの台詞だ」
というとてつもなく低い声に、藍染はマヌケな顔になる。
その声の発信源は自分の腕の中で・・・
「なにしやがんだコノヤローーーーー!!!!!!!!!」
ドゴーーーン!!!
「ぎゃあああああ!!!!!」
と藍染が情けなく声を上げてはるか彼方に飛んでいった。
それはもちろん日番谷くんの
「冬獅郎!!大丈夫か!?」
「隊長!」
「ああ。心配かけたな」
そう言って皆が帰ろうとしたとき、
「そう甘く見られては困るよ」
「僕の愛は無限大の力を発するんやで!」
と、ぼろぼろの姿で出てきた藍染と、少し焦げ目が付いている市丸が、窓から入ってきた。
「ギン!あんたもいたの?」
「当たり前や!日番谷はんをこんなおっさんなんかに取られてたまるかいな!」
「言うねギン。僕だって君みたいな狐に日番谷君は譲れないよ」
「何言ってんのよ!!隊長はあたしのものよ!!」
「アンタこそなに言ってんすか!!日番谷隊長は俺のものです!!」
「ふざけんじゃねぇよ!!冬獅郎は俺のものだ!!」
と、日番谷は自分のもの宣言が永遠と続く中、呆れていた日番谷が何かに気づき、窓の外を見る。
「なっ―――!!」
それを見て絶句してしまった。
そこにいたのは、尸魂界の死神たち(隊長格)が全員いたのだから。
浮「俺の自慢の息子に手を出すとは。許さんぞ!藍染!!市丸!!」
山「わしの可愛い孫を返してもらうぞ」
日「息子でも孫でもねぇよ!!!」
卯「覚悟してくださいね、皆さん」
日「皆さん!?まさか黒崎達も入ってんのかよ!?」
涅「手出しは止めてくれたまえヨ。彼はワタシの研究材料なのだからネ」
日「違ぇよ!!!」
朽「私のものに手を出すな。散れ千本・・・」
日「お前のもんじゃねぇし!!始解すんな!!」
東「手を出すのは止めてください、藍染様。流石にそれは正義ではありません」
日「正義関係ねぇし!!つうかどさくさにまぎれて何隊長面してそこに居んだよ!!」
あ・・・
気づいた東仙は、すんなりとその場からどいて、虚圏に帰っていった。
このままでは空座町―――いや、地球が破滅しかねない。
日番谷は軽く舌打ちをしてから、スゥ・・・と息を吸い込む。
「いい加減にしろテメェら!!!!!!卍解!!!大紅蓮氷輪丸!!!!!!!!」
「ぎゃあああああああ!!!!!!!!!」
と、日番谷が藍染達を(
「ちょちょちょちょっとぉ!アタシの出番がないじゃないッスかぁ!!」
そして、浦原の出番はなくなったのだった。
<END>