Short Novel
尸魂界。
十番隊執務室。
「冬獅郎~!」
「・・・」
「と~しろ~!」
「・・・」
「と~し~ろ~~!!」
「うるせぇ!!!!」
先程から自分の名前を連発している、目の前の橙頭に向かって日番谷は怒鳴る。
それに対して橙頭―――一護は、
「いつんなったら仕事終わんだよ!!」
「知るか!!松本に聞け!!」
「だって乱菊さん、寝てるし・・・」
一護の言葉に、日番谷は一旦仕事をする手を止めて、ソファのほうに眼を向けた。
「Zz・・・」
「・・・」
見事に熟睡している自分の副官―――乱菊に、日番谷はため息をついて、
「あいつが起きて、仕事しねぇかぎりは終わらねぇよ」
「えぇーーーー!!」
「だったら、お前がやるか?」
「・・・遠慮シマス;;」
一護がそう言うと、日番谷は仕事を再開した。
それに一護がため息をつく。
(たまには構ってくれてもいいじゃねぇか・・・)
と拗ねる。
これではまるで子供だ。(それしか言いようがない)
「おい、黒崎」
「んあ?」
拗ねていたため、変な返事をする一護。
日番谷はため息をつくと、
「そこに居ても邪魔だから、失せろ」
「―――!!」
流石に言い方が酷すぎるが、本当にそう思ったため言っただけ、と思っている日番谷は顔を上げず、仕事をする手を止めずにそう言った。
一方一護は、酷いと思いつつ怒り、こめかみをひくつかせている。
それには気付かない日番谷は、一護のことなどこの部屋に居ないかのように仕事を黙々と進めている。
日番谷のその態度に、一護がキレた。
「そんな言い方ねぇだろ!!!」
「ああ?」
「お前なぁ、人が折角心配して来てやってんのに、なんだその態度は!?」
「誰も「来てくれ」なんて頼んでねぇし。第一お前、俺を心配して来てたのか?」
「そうだよ!!ここ最近ずっと仕事してるから、「たまには息抜きしに行こーぜ!」って思って来たんだよ!!なのにお前って奴は・・・!」
「知るか。それに誘われても俺は行く気は全くねぇよ。用事は済んだか?なら帰れ」
「てめぇ・・・!!」
再び仕事を再開した日番谷。
一護はバンッと机を叩く。
日番谷は鬱陶しそうに眼だけ一護に向けた。
「なんだよ・・・?」
「一応俺は客だぞ。そんな態度でいいのかよ!?」
「客・・・?」
今度は日番谷がキレる番だった。
「だったらどうしろってんだ!?茶でも出せばいいのかよ!?だがな、こっちは徹夜覚悟の仕事なんだよ!!そんな暇は全くない!!てめぇと会話することさえも時間の無駄なんだよ!!わかったらさっさと出てけ!!」
「ああ!!出てってやるよ!!そんな調子で、ぶっ倒れても知らねぇからな!!」
「ぶっ倒れてもてめぇに迷惑はかけねぇから心配すんな」
「心配もしねぇよ!!」
「邪魔して悪かったな!!」と怒鳴って執務室から出て行った一護。
日番谷はそれを見送ったあと、無言で仕事を再開した。
流石にこんな大声でケンカしていたら、起きない者はいない。
乱菊は疲れた表情で、ソファから顔を出して、
「いいんですか?このままで」
「知るか。それよりさっさと仕事しろ」