Transmigration of the Cold Rain 時に消える蒼い涙





ザアァァァ―――・・・

朦朧とする意識の中で、途切れることなく聞こえる雨音。

微かだが滝の落ちるような音も聞こえる。

流れる水の中に居る――そんな気分だった。


「・・・」


何度も瞬きを繰り返しながら目を開けた日番谷は、ゆっくりと体を起こす。

ぼうっとしながら視線を下に向けると、そこには水の塊の上に乗っているという驚愕の光景だった。


「っ・・・!?」


驚いて立ち上がると、自分を乗せていた水の塊はバシャッと音を立てて床と同化する。

改めて見ると辺り一面水が浸っているが、驚くことに、触れても全く濡れなかった。

しばらく呆然とその光景を見つめていると、静かな足音が聞こえてきて、慌てて我に返った日番谷はバッと振り返る。


「・・・目が覚めたようだな」

「・・・誰だ?」


こちらに歩み寄ってくる男に、日番谷は警戒心を強めて半歩下がる。

日番谷との距離が約2mに近づくと、男は立ち止って口を開いた。


「・・・名は、輛冰(リョウヒ)」

「ここは何処だ?」


眉間の皺を深くしながら、日番谷は強い口調で輛冰に問う。
しかし輛冰は日番谷から視線を外し、左に方向を変えてゆっくりと歩き出した。

日番谷は立ち止ったまま、視線だけ輛冰を追う。

輛冰は滝のように流れ続ける水の壁の前で立ち止ると、日番谷を振り返って再び口を開いた。


「ここは尸魂界、現世から遠く離れた断界に存在する異世界。・・・出ることは不可能」

「・・・」




「出ることは不可能」という言葉に、日番谷は眉をピクリとさせるが、無言のまま輛冰を睨み続ける。


「瀞霊廷は今、壊滅状態にある。・・・原因はお前達隊長格から奪った霊圧。お前以外の隊長達は未だ目覚めず、横たわっているだろう」

「・・・――」


今の輛冰の言葉で、目の前にいる輛冰が瀞霊廷を壊滅させた黒幕であることを確信した日番谷は、警戒心をより一層深め、


「何故、俺をここに連れてきた・・・?」

「・・・」


その問いには輛冰は直には答えない。
もう一度問い質そうと口を開いた日番谷だったが、突如感じた複数の気配に周囲を見回した。


「あんたの役割は人質・・・何かあった時のためのね。そうでしょ、輛冰?」

「っ!?」


声が鳴った方を向くと、激しく音を立てる水の壁から三人の男女が出てきた。

一人の女は日番谷を見てクスッと笑うと、輛冰に駆け寄る。


「あたしの名前は脉媛(ミオン)!先に言っておくけど・・・輛冰には近づかないでね」


脉媛はそう言って輛冰の腕に自分の腕を絡ませる。
しかし、輛冰はそれに何の反応も示さなかった。


「ちなみに、そっちの二人は・・・男の方が澪尓(レイジ)。女のほうが氷渮(ヒイカ)よ」


次々と仲間の名を教えていく脉媛に、日番谷は怪訝そうに眉根を寄せる。

すると、脉媛が言った男――澪尓が静かに口を開く。


「脉媛・・・余計なことを言うな」

「フンッ!うるさいよ、澪尓」


澪尓に注意された脉媛は、拗ねたように口を尖らせる。

もう一人の女――氷渮は無表情でそれを見つめていた。



「・・・脉媛。離れろ」

「あ、は~い」


輛冰に言われ、脉媛は大人しく輛冰から離れた。

輛冰は静かに日番谷に歩み寄ると、立ち止って口を開く。


「・・・お前から霊力を0になるまで抜いた。無駄な体力を使うのは止めた方がいい・・・」


青い眼が真っ直ぐに翡翠の瞳を見つめる。

それだけ言うと、まるで周りの水のように綺麗な青い髪を揺らして日番谷に背を向けた輛冰は、水の壁に向かって歩き出す。
他の三人も輛冰のあとをついて行った。

ズズッ・・・と呑みこまれるように水の壁に姿を消した輛冰達を確認すると、日番谷は駆け寄って水の壁に手を伸ばすが、


「っ!!」


バチッと音がして日番谷の手と水の間に電流のようなものが流れた。
日番谷は反射的に手を引っ込めると、呆れたようにため息をついた。


「やはり・・・抜けることはできねぇか・・・」


日番谷は軽く舌打ちをして、自分の右掌を見つめる。
輛冰の言ったように、自分から霊力が全く感じられなかった。

それに、今のこの行動で随分体力を消耗した気がする。

日番谷は、片膝をついて水面に座りこむと、辛そうな表情で目を伏せた。




.








ザアァァ―――・・・

地平線の見えるこの世界の全てに、降り続ける雨。

それは、決して止むことのない雨。

この世界に、ポツンと立方体の形をした水で囲まれた空間。
それが、日番谷の囚われている場所。

水の壁から出てきた輛冰達の中で、一番に脉媛が振り返って口を開いた。

「輛冰、勝手にああ言っちゃったけど・・・あれでよかったのよね?」

「・・・」


輛冰は何も言わず、一拍置いてから縦に首を振った。

脉媛は、安堵したようにため息を吐くと、先程より軽い足取りで前方へ駆けた。


「輛冰様・・・」


呼ばれて振り返ると、深刻そうな面持ちの澪尓の姿があった。


「これから、どうなされるおつもりですか?」

「・・・」


澪尓の問いに、輛冰は視線を外して天を仰いだ。

決して止むことのない雨。

決して晴れることのない空。

その奥には、希望がある。

輛冰は顔を戻すと、「現世に行く・・・」と澪尓を真っ直ぐ見つめて言った。


「現世、ですか・・・?」

「現世(あそこ)にも穴がある」




霊力を吸い取り、虚を出すことのできる穴。

見た目は球体だが、自分にとっては穴にしか思えない。

黒い――穴。


「そうでしたね」

「・・・いつ?」


今まで口を開かなかった氷渮が、冷めた眼で輛冰を見つめた。

輛冰は首だけ氷渮に向けると、「明日だ」と一言言って、水の壁へ歩き出した。


「・・・」


それを遠くから見つめていた脉媛は、複雑そうな表情をしていた。






ズズ・・・――


「っ――!?」


水の壁から気配を感じた日番谷は、慌てて立ち上がって警戒する。

外から入ってきたのは、輛冰だった。

日番谷は、眉間に皺をさらに寄せて輛冰と距離をとる。

輛冰は無言で、日番谷を一瞥すると口を開いた。


「・・・現世へ行く」

「・・・――」


輛冰の言葉に日番谷は反応を示さない。

それを気にすることなく輛冰は続ける。


「しばらく横になっているといい」


そう言って、右手をある一点に翳すと、そこから水が大量に溢れだし、直方体を作り出した。

それは、最初日番谷が横たわっていたものと同じものだった。





日番谷は何も言わず、それを一瞥したあとまた輛冰を見つめて、動かない。

しばらく静寂が続いた。

それを破ったのはズズ・・・という水の壁から誰かが入ってくる音。

白い長髪を揺らしながら入ってきたのは、氷渮だった。

氷渮は日番谷と輛冰を交互に見つめると、おもむろに日番谷の方へ掌を向けた。


「・・・?]


日番谷が怪訝そうにその様子を見つめていると、突然氷渮の手が光り出し、日番谷の体に異変が起こる。

日番谷が急激な睡魔に襲われ、体がゆっくりと傾いた。

倒れる寸前で、瞬歩で移動した輛冰がその体を抱え、水の塊の上に日番谷を寝かせた。


「・・・」


無表情ではいるが、その奥に辛苦が見えるような表情で、輛冰は日番谷を見つめた後、踵を返して氷渮とともにその水の空間から姿を消した。


ザアァァァ―――・・・

再び聞こえ始める止まない雨音。

その音の中、日番谷は眠りについていた。







現世。

止まることを知らない虚達を倒し続けて、約一時間が経とうとしている。

一護達の体力は、もはや限界に近かった。


「はぁっ・・・はぁっ・・・!」


肩で息をしながら、一護は虚が向かってくるのを確認すると、再び斬月を構えて斬りつける。

先刻からこの状態の繰り返しだった。




一護はチラッと他の三人の様子を見ると、皆自分同様、今にも倒れそうだった。


(くそっ・・・!)


舌打ちをした一護は、再び虚に斬りかかろうとするが、

シュゥ―――・・・

突然虚が塵のように消えていった。


「っ!?」


一護は驚いて足を止める。

辺りを見回すと、一体の虚の姿も見えなかった。

突然の出来事に戸惑っていると、石田達が駆け寄ってきた。


「どういうことだ!?黒崎」

「俺が知るかよ!」

「何で急に消えちゃったんだろう・・・」

「ム・・・」


突然大量発生した大虚。そしてそれは突然消えてしまった。
わけのわからないことの連続で、一護達は戸惑いが隠せなかった。


「黒崎君!」

「ん?どうした、井上」


焦ったような織姫の声に、一護は振り返ると不安げな表情で織姫が上空を指差す。


「あの黒いの消えちゃったよ!」

「何だって!?」


驚いて織姫の指差す方向を見ると、確かに何処を見渡しても黒い球体の姿がなかった。


「原因はやはりあの黒い球体だったのか・・・!?」

「さあな・・・」


険しい表情で一護は天を仰いだ。


(一体、何があったんだよ・・・尸魂界で・・・)




.






空座第一高校辺りの上空で、輛冰達四人は町を見下ろしていた。

何処も壊れていない町に、脉媛が怪訝そうに眉を寄せる。


「どこも壊れてないよ?氷渮、ちゃんと現世に虚を送りこんだんでしょうね?」

「・・・ええ」


強い口調で問い詰める脉媛に、氷渮は興味なさそうに答える。

それに脉媛は口元を引きつらせて氷渮に詰め寄った。


「ちょっと!自分の仕事に責任持ちなさいよ!!」

「あなたに言われたくないわ」

「何ですって!?」


今にも平手打ちを出しそうな脉媛の肩に澪尓が手を置いて制止する。


「止めろ脉媛」

「だから一々うるさいのよ、あんたは!!」


脉媛はそう怒鳴って澪尓の手を振り払う。

多少赤くなった手を押さえながら、澪尓はため息を吐き、輛冰に視線を送る。

しかし、輛冰はそんな三人の様子に眼もくれず、瞬歩でどこかへ行ってしまった。


「あ!輛冰・・・!」

「・・・」


脉媛が眼を離した隙に、氷渮も瞬歩でその場から消えた。


「あっ・・・!!待ちなさい、氷渮!!」

「いい加減にしろ、脉媛。仕事をしに行くぞ」

「仕事って何よ・・・?」



苛立ったように問う脉媛に、澪尓は呆れながら「ついて来い」と言って駆けだした。


「な、何よ!」


「説明してからにしてよね!」と文句を言いながら、脉媛も澪尓に続いた。






風を切る音を聞きながら、脉媛はチラリと前方を翔る澪尓に眼を向ける。

先程から無言のまま、澪尓は走り続けていた。

そのように脉媛は口を尖らせる。


「・・・ねぇ」

「・・・」

「・・・ねぇってば」

「・・・」

「――っ・・・!!ちょっと!!聞こえてるんでしょ!!返事くらいしなさいよ!!」


脉媛がそう怒鳴ると、澪尓は急に足を止めて振り返る。

それに驚いた脉媛は転びそうになるが、なんとか踏みとどまって澪尓を睨みつける。


「ちょっと!!止まるなら止まるって言いなさいよ!!」

「うるさい。少しは静かにできないのか」

「あんたがあたしを苛立たせてるんでしょうが!!」


怒鳴り続けて息を切らした脉媛は、「はぁっ・・・はぁっ・・・!」と肩で息をする。

脉媛のその様子に呆れてため息を吐く澪尓。


「で?何が訊きたいんだ?」

「だから・・・っ!仕事って何よ・・・!」

「馬鹿が・・・。輛冰様の行動を見て察しろ」

「うっ・・・!」


輛冰のことで馬鹿にされるのはとても悔しいと思う脉媛だが、言い返せないのだった。


「わかんなくてわるかったわね・・・!!で?結局何なのよ?」




「氷渮は確実に虚を現世に送っている・・・それは、俺が保障しよう。しかし、お前が言った通り、現世は全く壊されていない。・・・俺達の目的はなんだ?」

「尸魂界と現世を滅ぼすこと・・・」

「そうだ。だから――」


――俺達の手で、この町を破壊するんだ。


空は何処までも広く、青く、一つの雲のない澄み切った空。

尸魂界のように、この町も空を暑い雲が覆い隠す。







ザアァァ―――・・・

いつも雨が降っていた。

どんなに外が晴れていようと、自分の心の中は永遠に雨が降り続けている。

この雨が晴れるときはあるのだろうか?

それは自分の死を意味するのだろうか?

陽の光をみることはできないのか?

そう思っていたとき、一つの光に出会った。

その光からは、自分と何処か似たようなものを感じた。

傍に居たい。

このままずっと・・・

永遠に止まない雨のように・・・

永久に、一緒に・・・

ザアァ―――・・・

・・・少し、雨が止んだ気がした。



.



浦原商店。

急に消えた虚に戸惑いながら、一護達四人は浦原商店に戻ってきていた。

外で様子を見守っていたテッサイが、一護達に気付き「おお、お戻りになられましたか」と商店の扉を開けて、入るよう促した。

四人は「どうも」と軽く頭を下げながら入ると、そこに一人の女性がいることに気付いた。


「漸く戻ってきたか」

「夜一さん!?」


腕を組んで壁に寄りかかっていた夜一は、一護達を振り返る。


「何処行ってたんだよ?」

「尸魂界に様子を見にな」

「尸魂界!?一体どうなってたんだよ!?尸魂界は!!」」


夜一の言葉に驚く一護に、夜一は片手をあげて「そう慌てるでない」と一護を落ち着かせる。


「儂が見てきたこと、聞いてきたことを話すから、とりあえず中に入れ」

「お、おう・・・」


四人は頷くと、浦原の眠る部屋の隣の部屋に入った夜一に続いて中に入った。

座布団を渡され卓袱台を囲むように座った一護達を確認すると、胡坐を掻いた夜一は「では、話そうかの」といって、説明し始めた。


「突然現世に現れた黒い球体はお前たちもみたじゃろう?それと同じ物が尸魂界にも現れておった」

「じゃあ、尸魂界は・・・っ!」

「ああ。先刻の現世の状況と同様、大虚が増殖している。しかも、あちらはまだ収まっていないのじゃ」


夜一の言葉に、四人は眼を見開く。

テッサイが用意した茶を一口飲むと、夜一は再び口を開いた。




「もう一つ。喜助ど同様に、瀞霊廷の隊長達も霊圧を吸い取られ、気を失っておる」

「じゃ、じゃあ、あの時感じた隊長さん達の霊圧は・・・」


織姫の言葉に、夜一は頷いた。


「おそらく、奪われた霊圧だろうな」

「そんな・・・!」


織姫は心配そうに、顔を歪める。

それを横目で見た一護は夜一に向き直り、


「夜一さん。こうなった原因とか、まだわかってねえのか?」

「それがわかっておったら苦労はせん。じゃが・・・」


そこまで言って口を閉ざす夜一に、一護は怪訝そうに首を傾げる。


「夜一さん?」


他の三人もジッと夜一を見つめて不思議そうにしている。

夜一はため息を吐いて、険しい表情で四人を一瞥して口を開いた。


「一人、行方不明になっている隊長がおるのじゃ」

「だ、誰だよ・・・?」


嫌な予感がするのを抑えながら、一護は夜一に問う。

夜一はそんな一護を一瞥して、ゆっくりと口を開いた。


「日番谷じゃ」

「――!!」


一護は大きく眼を見開いた。

不意に今朝見た夢の映像が頭の中に流れる。


――雨の中に佇む人影。

それが一体誰なのか。

そして、何故その夢を今思い出すのか。


一護はわけがわからず、それを振り払うかのように首を横に振った。




「?どうしたの?黒崎君」

「・・・なんでもねぇ」


眉間の皺を深くして俯ている一護に、織姫は心配そうな表情をしながらも「そう・・・」と頷いた。


「夜一さん。どうやって尸魂界に行ったんだ?」


それまで黙っていた石田が、夜一に問う。

浦原が気を失っているのに、どうやって尸魂界に行ったのか。

すると、夜一は口角を上げて、


「喜助が居なくとも尸魂界に行く事なぞ、儂にとってはいとも簡単なことじゃ」

「僕達が尸魂界に行く方法はありますか!?」


身を乗り出して聞く石田に若干引きながらも夜一は頷いた。


「ないこともないが・・・儂は進めんぞ」

「何でだよ!!」


怒鳴る一護に、鬱陶しそうに眉根を寄せながら夜一は口を開く。


「尸魂界の黒い球体は現れたまま。しかし、現世の黒い球体は突然消えた・・・もしかしたら、現世に敵が現れるかもしれん」

「っ・・・」


夜一の言葉に、四人は肩を落として俯く。

そんな四人に呆れながら、夜一は立ち上がった。


「そう落ち込むな。尸魂界が大虚ごときで壊滅することはない。それより、儂等は儂等で敵を追えば良いじゃろうが」

「・・・」


一護は納得できなそうに俯いていると、突然頭を叩かれた。


「痛ってぇ!!何すんだよ!!」

「腑抜けた面をしておったものでな、つい手が出てしまったのじゃ」

「てめぇ・・・!!」


口元を引きつらせながら夜一を睨む一護に、馬鹿にしたように夜一がニヤリを口角を上げる。




「大虚ごときであそこまで疲れるとは・・・一護、お前もそろそろ衰えが来たか?」

「うるせぇ!てめぇと一緒にすんな!!」

「何を言う。このピッチピッチの女子の肌の何処が衰えじゃ。ならば見てみるか?ん?」

「わぁああ!!!止めろって!!!///」


一護達(特に男子)は逃げるようにして浦原商店から出ていった。

四人を見送った夜一は、ニヤニヤと笑いながら、


「初心じゃのう・・・」


と呟いた。





「はぁっ・・・はぁっ・・・黒崎、これからどうするんだ・・・?」


荒い息を吐きながら、石田が一護に問う。

一護は石田同様肩で息をしながら、「知らねえよ・・・」と答える。


「知らない!?何にも考えてないのか!?」

「あのなぁ!!お前も少しは自分で考えろよ!!」

「尸魂界へ行ったら現世を護る者が居なくなる・・・夜一さんの言った通りだ。しかし、今は虚の気配もなければ怪しい霊圧も感じない・・・。それをどう考えろっていうんだ?」

「じゃあ、俺にもわかんねぇよ」


苛立ったように答える一護に、「考えてないだろ!!」と怒る石田を茶渡が「落ち着け、石田」と宥める。


「黒崎君・・・」

「ん?どうした、井上」




「冬獅郎君・・・何処行っちゃったんだろう・・・」

「・・・」


不安そうに呟く織姫に、一護は口を閉ざす。

どうも嫌な予感が離れない。

日番谷は何処へ行ったのか。

いや、もしくは・・・


「とにかく、今日は一旦帰ろうぜ。皆疲れただろ」

「そうだな・・・」


漸く大人しくなった石田が、素直に一護に頷いた。

織姫と茶渡も頷くと、一護は「じゃあな」と言って皆に背を向けた。

他の三人もゆっくりと帰路へついた。







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イイネ!