Transmigration of the Cold Rain 時に消える蒼い涙



ザアァァ―――・・・


雨。


地平線の果てには、何も見えない。


ひたすら続く大地に、降り続ける雨。


その中で佇む一つの影。


近づこうとするも、雨が見えない壁となって行く手を阻む。


そして、視界すらも雨に乗っ取られた――気がした。




***







空座町・クロサキ医院。

辺りに日が差し込み始めた頃、ベッドの上でゆっくりと目を開ける橙髪の少年。


「っ・・・」


体を起こした少年は、眉間に皺をよせ忌々しそうに額に手を当てる。


(何だったんだよ、今のは・・・)


先程見た夢に、嫌な予感しか感じない少年――黒崎一護は軽く舌打ちをする。


――雨の中の人影。

自分がよく知る人物だと思った。

だからこそ、嫌な気分になる――


(くそっ・・・!)



眉間の皺をさらに深くしながら、ベッドから降りようとするが、

ダダダダダダッ!!!

扉の外から聞こえる階段を駆け上がる大きな足音。

それが一瞬止んだと思ったのと同時に、派手に扉を開けて入ってきたのは、


「グッモーーニンッ!!!イッチゴーーーーー!!!!!」

「うぉっ!!」


飛び蹴りしながら入ってきたのは、一護の父親――黒崎一心。

一護はその飛び蹴りを間一髪で避ける。

その所為で一心は窓を蹴り破り、飛び出す羽目になり、

ドサッ!!

大きい音を立てて下へ落ちた一心は、頭を押さえながら、


「やるようになったな!それでこそ我が息子よ!」

「朝っぱらから危ねぇ起こし方してんじゃねえよ!!」


夢見の悪さと朝からテンションの高い一心に、一護はげんなりしながら階段を下りた。




「あ、お兄ちゃんおはよう!」

「大丈夫だったか?一兄」


リビングに入ると、テーブルに朝食を並べている遊子と、椅子に座ってテレビを見ていた夏梨が同時に振り返り言う。


「もう、お父さんったら・・・」

「しょうがないよ。あのひげダルマはいつもああなんだから」


夏梨が呆れて言うのと同時にそのひげダルマこと一心がボロボロの姿でリビングに入って来る。


「一護!!父ちゃんはもうお前に教えることは、何も、な・・・い・・・」


そう言ってバタッと倒れる一心に遊子のみが駆け寄る。


「ちょっとお父さん、大丈夫!?」

「ほっときな、遊子。すぐ復活するって」

「でも夏梨ちゃん・・・!」


そんないつものやり取りを横で聞きながら、一護は椅子に座り、遊子が用意したトーストを齧りながら先程の夢を思い出す。


(なんなんだよ・・・アレは・・・)


夢は夢でしかない。
しかし、一護にはどうしてもただの夢と納得することが出来なかった。


(何か、嫌な予感がする・・・)






空座町第一高校。

カツカツとチョークが黒板をなぞる音が聞こえる。

一護は頬杖をついて窓から外を眺めている。

しかし、一護にはチョークの音も聞こえず、窓から見える景色すら見えていなかった。


チャイムの音が聞こえ、皆席を立ちそれぞれ友達と話し始める。

しかし一護はぼーっと外を眺め続けている。

そんな一護にも話しかける友人が、


「イッチゴ―――!!何ぼーっと空なんか眺めてんだよ!それより聞いてくれよ!最近見つけた、新たなジュースの組み合わせが・・・ごふっ!!」

「どうしたの一護?何かあった?」


テンションの高い友人は浅野啓吾。そして啓吾を踏み潰した友人は小島水色。彼らは仲のいい友人の中の二人だった。


「ちょ、ちょっと水色・・・酷・・・」

「どうしました?浅野さん」

「け、敬語、いや・・・」


一護がそんな二人のやり取りを呆れて見ていると、


「ほんと、あんた今日変だよ」

「どうしたの?黒崎君」

「たつき・・・井上・・・」


黒髪の少女――有沢たつきと、栗色の長髪を揺らす――井上織姫。


「いや、ただ夢見が悪かっただけだ」

「ふーん・・・」

「・・・」


たつきは大して気にしなかったが、織姫は何か心配そうな表情に変わる。


「み、水色~!!早くその足を退け・・・!」

「あ、あんたそんなとこに居たの。気付かなかったわ」

「何だと有沢~!!」

「うるさいなぁ。少し黙ってくれませんか?浅野さん」

「敬語嫌ぁあ!!」


そんなうるさいやり取りをしている間に、次の授業のチャイムが鳴る。


「おい、浅野!さっさと席につけ!」


チャイムが鳴るのと同時教室に入ってきた現代国語の越知が怒鳴る。


「な、なんで俺だけなんですか?!」

「なんでって、席についてないのはお前だけだぞ」

「え・・・?」




言われて辺りを見てみると、先程まで近くに居た水色、たつき、織姫、他のクラスの皆も席についていた。


「お、お前ら!俺を裏切ったなァあ!!」

「うるさいから、さっさと席着けよ啓吾」

「い、一護が冷たい・・・!」


いつまでもうるさい啓吾に、越知が教科書の角で殴る。
静かになった教室で、ようやく授業が始まった。







「黒崎君・・・」

「井上?」


昼休み。

啓吾達と昼飯を食べに屋上へ向かおうとしていた一護に、織姫が声をかける。


「どうしたんだよ?」

「あのね・・・黒崎君さっき「夢見が悪かった」って言ってたよね?」

「ああ・・・」


いつもと違い、不安げな表情の織姫に一護は怪訝そうに頷く。


「・・・何を見たの?」

「・・・」


一瞬、言っていいものかと戸惑うが、真っ直ぐにこちらを見つめてくる織姫に、一泊置いて口を開く。


「・・・よくわかんねぇだけど、なんか嫌な予感がする夢でさ」

「そっか・・・」


眉間の皺を深くしながら言う一護に、織姫は深刻な表情で俯く。






ザアァァ―――。


「!?」

「っ!!」


突然感じた悪寒に、二人は同時に顔を上げる。

虚とは違う別の何かに、二人は戸惑う。


「な、何これ・・・!?」

「この感じ・・・虚じゃないよな・・・」


止まない嫌な感じを背にして、学校を飛び出そうとする二人だが、


「一護!!」

「井上さん!」


呼び止められて振り向くと、そこにはこちらに駆け寄ってくる茶渡と石田の姿。


「茶渡君!石田君!」

「気付いたのか?」

「当たり前だろう。僕を誰だと思ってるんだ」


眼鏡をスチャッと直す石田に、一護は冷めた目で「別にお前には聞いてねーよ」と呟く。


「一護、どうする?」

「ああ、そうだな・・・」


茶渡の問いに頭を掻きながら考える一護は、脳裏に一瞬朝見た夢の映像が映る。


(なんで、今思い出すんだよ・・・!?)

「一護?」

「どうしたの!?黒崎君」

「どうした?黒崎」


三人の心配する声に我に返る一護。


「あ、あぁ・・・大丈夫だ」

「そうか・・・」







不意に窓から外を見た織姫がある物に気付く。


「く、黒崎君!アレ!!」

「!?」


織姫の指差す方向を見て、皆は目を見開く。


「な、なんだよ・・・あれ・・・!?」


四人の視界にあるのは、空に浮かぶ黒い球体。
しかし、それは球体というよりも空に円形の穴が開いたようにも見えた。

そして同時に、今まで感じていた嫌な悪寒は全てこれが原因だということに気付く。


「空紋でもなさそうだな・・・何だアレは」

「どうするの?黒崎君」


不安げな織姫の声に、一護は険しい表情で空の黒い球体を睨みながら、


「とりあえず、浦原商店へ向かおう」

「そうだな」


一護の言葉に三人は頷き、四人は学校を飛び出した。




***





尸魂界・瀞霊廷。

十番隊執務室。


「たいちょ~、もう無理ですー」


口を尖らせる乱菊の机上には、他隊の一日分以上の量がある書類の山があった。


「てめぇ、初めてまだ少ししか経ってねぇのに言うのか」


書類の山を手を止めずに減らしていく日番谷は、筆を置いて乱菊を睨む。

そんな視線をものともせず、乱菊は不貞腐れる。


「ここまでもっただけでもすごいと思いません?誉めてくださいよ隊長ー」

「だれが誉めるか。いいからさっさとやれ」

「隊長のケチー」


ブツブツと文句を言いながら仕方なしに筆を手に取る乱菊を見て、日番谷はため息を吐く。

いつもは言っても聞かない乱菊が、珍しく仕事をしているのには理由がある。

少し前までいつも通りサボっていた乱菊は、朝から酒を飲んでいたところを日番谷に見つかってしまったのだ。
いつも以上にキレた日番谷は、乱菊でさえ恐怖を感じるもので、逆らえず今に至る。

それでも、文句を言っている辺り反省はしていないようだが。


「たいちょ~、お菓子持ってきてもいいですか~?」

「駄目だ」

「お菓子がないと、やる気出ませ~ん!」

「お前は子供か・・・」

日番谷は呆れてため息を吐く。

乱菊は筆を放りだし、「お菓子食べた―い!仕事したくなーい!」と騒いでいる。


(本音言いやがったな・・・)


こめかみをひくつらせながら、怒りを抑える日番谷は不意に体に違和感を感じる。


(何だ・・・?)


手のひらを見つめながら、違和感の正体を探る。

何かが抜けていく感じ。

何かが自分の体を押しつぶすような感じ。

それが、何かはわからなかった。


「隊長?どうしました?」


何時の間に移動したのか、目の前で乱菊が首を傾げている。

いくら仕事をサボっても乱菊が副隊長であることは変わらない。
こういう勘が鋭いところが乱菊の優秀なところである。


「いや・・・なんでもない・・・」


目を逸らしている日番谷に納得できずに詰め寄ろうとする乱菊だったが、突如窓から入ってきた一羽の黒揚羽――地獄蝶に動きを止める。


「地獄蝶?」

「何かあったのか?」


地獄蝶はひらひらと舞いながら静かに日番谷の指に止まる。


『これから、緊急隊主会を執り行う』


「隊主会?」

「やはり、何かあったんだしょうか?」


乱菊の問いに、日番谷は首を横に振る。


「わからん。とりあえず、行ってくる」





「あ、隊長!帰ってきたら、ちゃんと説明してくださいよ!」

「・・・」


日番谷は乱菊を無視すると、踵を返して執務室から出ていった。


「隊長ーーー!!無視しないでくださーーーい!!」


乱菊の叫びは空しく執務室に響き渡った。



一番隊へ向かう廊下を歩きながら日番谷は眉間に皺を寄せる。


(言えるわけねえだろ・・・)


先刻感じた違和感が、今も尚大きくなっていること。
それが、手が震えるほどに嫌な予感がするということ。

そして、このタイミングで開かれる隊主会。


この嫌な予感が当たり、尸魂界と現世が史上最大の危機に陥るなど、日番谷は予想もつかなかった。







一番隊・隊主会議場。

一番隊隊長兼総隊長――山本元柳斎重國を中心に、二番隊から十三番隊の各隊長が、奇数偶数にわかれて向かい合って立っている。

そんな緊迫した空気の中、元柳斎が口を開く。


「それでは、緊急隊主会を始める」


一泊置いて、隊主会の内容について話し始める。


「皆も気付いておるかもしれんが、先刻、妙な気配及び違和感を感じたはずじゃ」

「――っ!!」




元柳斎の言葉に、日番谷をハッとして目を見開く。

他隊長も同じく驚いている。


「皆も感じてたんだねぇ。僕だけじゃなかったんだ」


京楽が傘に触れながらそう言う。


「元柳斎先生、これは一体・・・!」


一歩前に出る浮竹。

それに元柳斎が答える。


「わからぬ。しかしこのような事態になったことはない」

「流魂街、現世を調べますか?」


砕蜂が体を元柳斎に向けて、命令が出されれば直にでも行く体勢になる。


「いや、涅にそれを調べさせたが、何の霊圧や異常を感じ取ることが出来なかったそうじゃ」


砕蜂が涅を振り返ると、肩をすくめて呆れ顔の涅の姿があった。


「そういうことだヨ。何らかの異変があれば、技術開発局で察知できるからネ」


涅の言葉に、砕蜂は下唇を噛む。


(だんだん大きくなっている・・・)


日番谷は外側よりも内側から感じる違和感の正体に気付きはじめる。


「まさか・・・」

「どうしたんだい?日番谷隊長」


目を見開いて呟く日番谷に、京楽が覗きこむ。

他の隊長も日番谷に視線が集まる。





「まさか・・・霊圧が、高まってる・・・?」

「――っ!?」


日番谷の言葉に、皆ハッとして自分の霊圧を探る。

すると、少しずつではあるが自身の霊圧が高まっていることに気付く。


「制御出来ない!?」

「ど、どういうことだ・・・!?」


うろたえる隊長達の中で、元柳斎も目を見開いている。

次第に上がっていく隊長達の霊圧。



そんな中、瀞霊廷に忍び寄る四つの影。


「どうするの?このまま突っ込んでく?」

「・・・いや、機会を待つ」

「これから、全てが始まる」

「・・・フ」


四つの影は、ゆっくりと瀞霊廷の上空に留まった。


「長かったな」

「そうね。なんせ、数百年前からの望みを漸く叶えることが出来るんだから」

「・・・」

「・・・望み、ね」


突如、空が暑い雲に包まれていく。


「・・・――始まる」


その一言で、突如黒い霊圧の塊のようなものが空中に集まる。

それは、現世に現れた物と同じものだった。






「な、なんだアレは・・・!?」


瀞霊廷内では、黒い球体を見た隊士達が騒然としている。


「これが、序章・・・そして――」




(あまりにも少しずつすぎて、気付かなかった・・・これが先刻から感じた違和感か・・・)


日番谷は内心舌打ちをする。


「涅、これを抑えることはできないのか!?」

「・・・無理だネ。更木のように霊圧抑制装置を付けたとしても、こうも上がり続けるんじゃ意味がないヨ」


焦る浮竹に、涅は諦めたように説明する。

その言葉に、他隊長達もどうしようかと思考を巡らす。


「どうするんだい、山爺?」

「・・・どこかに潜んでいる敵の目的がわからぬ以上、好き勝手にさせておくわけにはいかぬ」


元柳斎は杖をガッと床に突いて、立ち上がる。


「各隊、各自配置について戦闘態勢を・・・」


元柳斎の言葉が切れると同時に、隊長達の霊圧が急激に上がる。


「なっ――!?」

「くっ・・・!!」


10人の最大限の霊圧が、隊主会議場を襲う。






(な、なんだこれは!?)


日番谷は、霊圧に耐えるように腕を出しながら顔をしかめた。


「れ、霊圧が、無くなっていく・・・!」


途切れ途切れに言う砕蜂。

他隊長達も霊圧がだんだんと無くなっていき、弱まっているのがわかる。


(どうすれば・・・!)


自身の霊圧も無くなっていくのを感じながら考えを巡らすが、次第に頭の中が真っ白になっていくのを感じる。


(だ、駄目だ・・・これ以上・・・)


視界が黒くなっていき、頼れる聴覚でバタバタと人が倒れる音を聞きながら、日番谷の意識は途切れた。





「・・・来たか」


その言葉と同時に、隊長達の跳ね上がった霊圧が瀞霊廷を包み壊していく。


「結構な量だね!でも、こんなもんじゃあたし達には勝てないけど」

「・・・くだらない」

「・・・」


四人は瀞霊廷の上空に留まったまま、現状を見つめる。


「な、隊長の霊圧!?」

「ど、どういうことだ!?」


次第に破壊されていく瀞霊廷を見て混乱する隊士達。






「う、うぁあ・・・!!」


次第に、強大な霊圧に耐えきれず、席官以下の隊士達が次々に倒れていく。

そして、その影響は現世にまで及んでいた。


「な!?地震・・・!?」


浦原商店へと向かっていた四人は、突然の地震に足を止めた。

大きくて長い大地を揺らすをそれは、地震というより圧力によるものだと気付くと同時に、一護はその圧力の中によく知る人物を感じた。


「これは・・・瀞霊廷の隊長達の霊圧!?」

「じゃ、じゃあ、尸魂界も何かが怒ってるの?」

「わかんねぇ。とりあえず、急ごう!」


再び走り出した四人の上空には瀞霊廷を壊し、現世に地震を与えた強大な霊圧を吸収する、黒い球体の姿があった。



「・・・そろそろ行くか」


その言葉と同時に姿を消した、瀞霊廷の上空に留まっていた謎の四人。

瀞霊廷では、上位席官、副隊長以下の隊士達が倒れ、建物は崩壊し、壊滅状態に陥っていた。

隊主会議場では、霊力を全て失い倒れ、気を失っている隊長達の姿があった。


「あ~あ、情けない姿。今の隊長各ってこんなにも弱いもの?」


淡い赤色の短髪の女は、呆れ顔で隊長達を見下ろす。


「くだらん・・・」


黒髪を一つに纏めた男が切り捨てるように言う。


「・・・」




もう一人の白い長髪の女は、隊主会議場の壁に寄りかっている。

不意に、青い長髪を揺らしながら、一人の隊長に男が歩み寄った。


「輛冰様・・・?」


輛冰(リョウヒ)と呼ばれたその男は、一人の隊長――日番谷の傍で立ち止った。

それを見ていた短髪の女が「その子にするの?」と輛冰に歩み寄りながら問う。


「その子・・・霊術院時代、いや、もっと前からその強大な力の所為で辛い思いをしてきたのね」

「・・・」

「まるで、どっかの誰かさん達みたいね」


短髪の女はクスクスと笑った。

輛冰は無言で、日番谷の体を起こす。
日番谷は完全に気を失っており、ぐったりとしている。


黒髪の男が何かに気付いて輛冰の方を向く。


「――。輛冰様、一人の副隊長がここに近づいています」

「何よ、澪尓。そんなの、ここに来たって殺しちゃえばいいじゃん。どっちにしろ、死神は皆殺すんだから」


黒髪の澪尓(レイジ)と呼ばれた男は、短髪の女を睨む。


「黙れ、脉媛。それじゃあ、我々の計画が失敗に終わるんだ」


短髪の女――脉媛(ミオン)は、澪尓を睨み返して、口を尖らす。


「わかってるわよ、そんなこと!」

「・・・フン」

「何よ!あんた、あたしに喧嘩売ってんの!?」





澪尓は脉媛を無視して、長髪の女を振り返る。


「氷渮、頼む」

「・・・わかったわ」


壁に寄りかかっていた女――氷渮(ヒイカ)は死神が鬼道を発する時のような構えをとる。

輛冰は日番谷を抱えて立ち上がった。


「・・・数百年待ち、ようやく全てを無にする時が来た」


輛冰のその言葉と同時に、日番谷と四人は隊主会議場から姿を消した。


その直後、隊主会議場の大きな音を立てて扉が開かれた。


「総隊長殿!!・・・――こ、これは!?」


慌てて入ってきたのは、一番隊副隊長・雀部長次郎であった。

雀部は入ったと同時に見えた中の光景に驚いて立ちつくす。


「これは一体どういうことだ・・・!?」


ハッと我に返り、雀部は隊長達に駆け寄る。


「隊長!!しっかりしてください!!」


しかし、力を失った隊長達の瞼が開かれることはなかった。



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イイネ!