Desperate Future 孤独の中で生きる二人
空座町、クロサキ医院。
高校生兼死神代行、黒崎一護は二階にある自分の部屋で寛いでいた。
(そういや最近、尸魂界に行ってねぇなぁ・・・ここ最近忙しかったからなぁ。恋次やルキア、どうしてっかな)
なんて思っていたりする。
(ていうか、この町の仕事全部押し付けてきたのはあいつらのせいじゃねぇか!!)
それは一ヶ月前にさかのぼる。
『一護、そろそろ私が居なくても良いな?』
いきなり護廷十三隊十三番隊所属の隊士、朽木ルキアが訊いてきた。
『はぁ?』
『貴様は私が居なくては何もできんのか!?』
『おいおい、一護。おめぇ、そんなに赤ん坊なのか?』
ルキアと護廷十三隊六番隊所属の副隊長、阿散井恋次が一護を馬鹿にする。
『なっ!!てめぇら・・・黙って聞いてりゃ言いたいように言いやがって・・・!』
『そうか・・・』
その瞬間、ルキアがニヤリと笑った気がした。一護は(嫌な予感・・・)と思い、一歩下がる。
『ならば、この町は貴様が死神代行である限り、一生護るのだぞ!』
ルキアが一護に人差し指を指して言う。
『はぁ!?何言ってんだお前!!っておい!』
ルキアたちは一護に言うことを言うと、穿界門に体を向ける。
『すまぬ・・・(ニヤリ)』
そう言って、ルキアと恋次は消えていった。
『て、てめぇら・・・!全然すまねぇって思って無いだろ!!!!』
一護の叫び声は、誰にも聞かれることは無かった。
それから今にあたる。
「くそ~。尸魂界に行って文句言いに行ってやる!!」
そう愚痴を漏らすと、ベッドから起き上がり、浦原商店へ向かった。
***
浦原商店。
「おやぁ、黒崎サンじゃないっすか。珍しいっスねぇ、どういう風の吹き回しで?」
店に入ると、浦原商店店長、浦原喜助が出迎えた。
「うるせぇよ、少し文句を言いに行くだけだ」
一護は不機嫌そうに言う。
「なんかよくわかんないっスけど、わかりました。穿界門ですね」
「ああ」
「わかりました。ではここで少々お待ちください」
茶の間に案内しながら言う。
「わかった」
一護はそう言うと、座布団に座る。
しばらく茶を飲みながら待っていると、15分ほどした頃に浦原が戻ってきた。
「準備できましたよ、黒崎サン」
「おう、サンキュー」
そう言って立ち上がると、浦原が手に持っている杖を一護の額に軽く当てた。
そうすると一護が肉体から抜け、死神になる。一護は突然のことで尻餅をついてしまう。
「どわぁ!!浦原さん!やるなら言ってからやってくれよ!!」
「すいませんねぇ。でもその身体を地下(あそこ)に置かれると邪魔で「おい!!」
さりげなく邪魔と言った浦原に一護が肘で顔面を殴る。
「ぐふっ!!痛いじゃないですかぁ!!」
「邪魔とか言うからだ。それより行くぞ」
そう言うと一護は地下の勉強部屋へ向かう。そんな一護の背中を浦原は見つめる。
「・・・?」
なにか気にかかったが、それも一瞬だったので気にしないことにした。
「お~い!浦原さん!早く来いよ~!」
「はいはい、今行きますよ!」
一護の声が聞こえ、地下へ急ぐ。
だが、浦原の勘は当たるのだった。
***
「じゃあ早速開けてくれ」
二人は地下に着くと、一護が早速言った。
「もう、わかりましたよ。せっかちな人ですねぇ」
呆れながら浦原は言う。
「うるせぇな!早く開けろよ!」
「はいはい」
そういいながら開ける準備をする。
「では黒崎サン。前と同じように開くと同時に駆け込んでください」
「ああ」
「では、いきます」
そう言うのと同時に穿界門を開く。普通はここで穿界門の入り口が光るのだが、一護が駆け出した途端に光りだした。おかしいと思った浦原は一護を慌てて呼び止める。
「待って下さい!黒崎サン!」
しかし、一護にはその声は聞こえなかった。
***
断界。
一護は拘流に飲み込まれないよう、
「うぉおおおおお!!!!!」
ひたすら走っていた。
「よしっ!もうすぐ出口だっ!」
と見えてきた出口に自分を励ましながら走る。
そしてついに出口を通り越した。
「よっっしゃーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!・・・?」
雄たけびを上げて下を見ると、空中だった。
「うぉぉぉぉぉおおお!!!!!」
一護は叫びながら落ちていく。だがこんなところで死んでしまっては、ルキアと恋次に文句を言えない。その執念だけで一護は両足で見事着地した。
「ふう・・・さてと!瀞霊廷に行きますか!!」
と言って、顔を上げるとそこは信じられない光景だった。