空を翔る鳥の想い




尸魂界。流魂街一地区・潤林安。

瀞霊廷西門・白道門から少し離れた小屋で、少年が中を呆然と見渡していた。

その小屋は、家というには小さすぎて、倉庫というには大きすぎた。ここしばらく使われていなかったのか、その小さな家の周りには、家の外見が分からなくなるほど蔦が絡み付いており、家の中は誇りまみれになっていた。天井を見上げると、蜘蛛の巣がところどころあり、それはもはや、廃屋といっても過言ではなかった。

少年は、足元を這っていたゴキブリを右手で掴み取り、顔の目の前まで持ってくる。捕まったゴキブリは、少年の手から逃れようと必死にもがく。その様子を無表情で見つめた少年は、手に力を入れ、思いっきりそのゴキブリを潰した。少年の握った拳からはみ出していた触角は、潰された瞬間に動かなくなり、ハラリと地面に落ちる。少年が手を開けると、その中には何の痕跡もなく、少年の手の色白さだけが残っていた。少年はその手をじっと見つめ、手を下ろす。少年の顔は、笑っていた。





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イイネ!