立海の小ネタ
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立海女子マネージャーな夢
立海面子と恋が始まることはありません。立海面子とは。
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2年になって、新しいクラスにも慣れてきた頃。チャイムが鳴ったのでお喋りをやめて席につく。隣の席のブン太が、頬杖をついた姿勢のまま私を見た。さっきまでの私達のお喋りが聴こえていたらしい。
「もう見てきたのかよぃ?」
「うん!公開初日の一本目!」
「帰宅部は自由でいいな」
「まぁテニス部様にそう言われると、返す言葉もないっす」
実際今も、朝練終わった後なんだろうし。先週末、ずっと楽しみにしていた洋画ミステリーが公開された。原作小説もベストセラーで、映画化で爆発的人気がついた作品だ。映画もシリーズ三作目。主役ポジの刑事バディもイケメン若手俳優で、どっち派か世論は別れている。
でも私は、その二人より…
「何よりもハットン!超かっこよかったぁ!極悪非道を素で行くツラに痺れるっす!!」
「……誰そいつ?新キャラ?」
「まっ!?ライバルポジションのおじさまだよ!マフィアの!!」
一作目から出てるのに!具体的シーンを説明して、やっと思い出したらしい。ああ!と手を叩いたブン太は、次の瞬間には反旗を翻してきた。
「趣味わっる!!」
なんだとう。如何にハットンがかっこいいかを語ろうとしてのに、先生がやってきてしまった。クラス全員立ち上がって、おはようございますの礼をする。
「そういやナカって、身長なんぼ?」
「え?165」
目線は同じくらいだし、ブン太もそんくらいじゃないのかな。
「だからやなんだよぃお前の横に並ぶの」
「メンズはこれから伸びるんでは?」
そして姉の例を考えると、私も、もう少し伸びる可能性があるんだが、黙っておこう。
✻
体育の時間。これが終わったらお昼ご飯だ。今日のお弁当は自分で詰めたから、何が入ってるかなというドキドキはないが、ハンバーグが入っているウキウキはある。
「ナカ、昼休み、テニス部ミーティングじゃって」
「うん……うん?なんでそれ私に言うの?」
「ブンちゃんかと思った」
「いや似てねぇ!」
「背格好似とるぜよ。こう見ると髪の色は違うな」
むしろどういう見方したら、赤髪に見えるんだ。男に背格好似てると言われても嬉しくない。
「つか名前呼んで話しかけてきただろ今!!」
「プリッ」
この仁王は常にこんな感じ。あまり深く考えてはいけない人種なんだろうな、と思っている。
「ねぇー!女子やっぱ体育館でやるってー!!」
教科係の女子が叫ぶ。やった。今日暑いし。体育館へ向けてゾロゾロ移動する。ん?横を見上げる。
「いや、仁王…体育館は女子だけだから…」
「あっ。ナカおるもんだから、勘違いしたぜよ」
人に暴言ぶん投げて、スタコラと男子に合流する仁王を見送る。なんなの。
「ナカちゃん、仁王君と普通に話せるのすごいよね」
「そう?」
「私なんか2人と話せたら、その日のノルマ達成って感じだよ?」
ノルマとは。ブン太と仁王はどちらもテニス部。うちのテニス部は強豪で、校内での人気も高い。そのまま盛り上がった女子のざわめきに混ざる私と親友のこのみ。
「二人は誰が好きっ?」
「かっこいいなぁと思うのは、幸村君かな」
このみが模範解答。分かるー!とあがる声。そうなんだ?初めて聞いた。しかし、日頃からミステリーを嗜んでいる私は、好きなのは?と聞かれたにも関わらず、かっこいいと思うのは、と微妙にすり替えたことに気がつく。確かに美形だよな幸村君。
「ナカちゃんは誰派?」
私はハットン役のロバート・ロビンソン派だが、そんな聞かれていないことに答える程空気読めない訳じゃない。
「柳君かな」
よく知らんけど、すらっと背高いし。
「えっ、同級生かっこいいと思えたんだ」
「おじさま好きだと思ってた」
あ、そういう反応されんの?素直になれば良かった。
体育が終わり、更衣室に戻る前に水分を補給しようと手洗い場に寄る。蛇口を捻った。
「わぶっ!?」
「何してんの?」
「いやちがっ、水道が暴発したんだよ!!だーもう!ビシャビシャだよ!」
タオルで拭っても、すぐに髪は乾かない。目にかかる前髪が邪魔でかきあげる。横から目線。
「それやって大丈夫?」
「えっ?」
✻
「きゃっ!?ちょっと!!ここ女子更衣室!!」
「ごめん!」
慌てて扉を閉め……ん?横に見る。呆れ顔のこのみ。扉を開ける。
「いや私だよ!!」
「え!?」
「あ……ナカちゃんか」
「えっ?あっ、本当だ…横にこのみいるもんね」
いや判明動機ー!!私単体では判断がつかないんかい!!
「ご、ごめん!ほんっとーにごめんっ!」
ぱんっと顔の前で両手を合わせて謝罪してくる彼女は、2年で同じクラスになったし、付き合いが薄いから仕方ない…仕方ないんだ…。
「前髪上げるナカも悪いよ」
このみがボソッと言う。その言葉に一番傷つくんですけど。
「それにしても…イケメンね?」
「前髪あげると本当に男の子みたい!その眉間のしわが!」
何故、眉間にしわ寄ってんのか考えてくれよ…。ため息を堪えて着替えを済ます。教室で男が一人増えたと言われたくないので、まだ半乾きの前髪をなんとか元に戻した。
✻✻
お昼の時間。私の机でこのみとお弁当を食べていると、空席だった隣が戻ってきた。
「思ったより早く終わったぜぃ。弁当食おっと」
「連絡だけじゃったからのう」
今日は仁王もブン太の机で食べるらしい。ブン太は弁当と一緒にお菓子も出している。まぁその分運動してるんだろうけど、その食生活、太ると思うよ。
「なぁ。お前らから見て、テニス部のマネージャーに向いてる奴っている?」
突然そう切り出されて、顔を見合わせる。
「今までずっと、マネージャーなんかいらねぇみたいな態度じゃなかった?」
テニス部のマネージャーになりたい女子ならいっぱいいるのに、今日までマネージャーを取っていないのが、その証拠だ。
「まぁーそうなんだけど…いたらいたで楽なんだろうなってとこは、皆思ってたぜぃ?」
「手が回らんとこがあるんぜよ」
「あと言う事聞かない後輩増えたせいもあるんじゃね」
「へぇ、真田君って、めっちゃ怖そうだけど。反抗する子いるんだ?」
「怒られるの平気。とかじゃなく、馬鹿過ぎて、結果怒られることするんだよぃあいつは」
ブン太にそこまで言われるって、相当馬鹿な後輩なんだろうか。
「別に、内心でどう思ってるであれ、仕事できる子はいっぱいいると思うよ?」
このみが言う。うんうんと頷く。そもそも好きな人のためって、立派な原動力では?私もロバートのために、公開初日に映画館に並ぶくらいだからな。
「仕事はある程度こなせて」
「現在帰宅部で暇で」
「話しやすい奴で」
「色恋興味ない子じゃな」
「いないよそんな女子中学生」
特に色恋の部分が危う過ぎる。だって皆、テニス部(の誰か)が好きだからマネージャーになりたいって言ってる訳でしょ?
「いるじゃん」
このみが指をこちらに向けている。後ろを確認する。黒板。再度このみを見る。馬鹿を見る目。確かに今のはボケてたけど、どうしてこの子、私にこんなに冷たいのかしら。
「なぁナカ」
「ん?」
「うちのマネージャーやらねぇ?」
「やだ」
「あ、そう」
「だと思ったぜよ」
話はついたな。箸の動きを再開する私。このみが苦笑い。
「勧誘なら最初からそう言えばいいのに」
「どっちにしろこいつは断ると思ってたんだよぃ。ジャッカルが」
「ああ…ジャッカル元気?」
一年の頃同じクラスだった。懐かしい顔だ。
「クラス離れただけでそんな疎遠なる?」
その後なんやかんやあって、テニス部のマネージャーになりました。
「俺らの時はすぐ断ったくせに、なんで幸村君の時は断らなかったんだよぃ」
まぁ、なんやかんやは察してほしい。