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立海女子マネージャーな夢
立海面子と恋が始まることはありません。立海面子とは。
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今日は休日練習が午前中で終わりました。のへー。本屋よってこうかな。
「ナカ、暇そうじゃの」
すっかり帰り支度をした仁王が話しかけてくる。
「まぁ、実際予定はないからねー。本屋でも行こうかなー」
「それは楽しそうじゃ」
そう言いつつ私の横に腰掛けてくる仁王。どうした。
「まだ帰んないの?」
「怖い話聞きとうない?」
いきなりだな。しかし、海外ミステリーマニア(自称)の私はちょっと興味を惹かれる。
「え、何々」
「…うちに七不思議あるの知っとる?」
「えーと…音楽準備室の勝手に鳴りだす木琴しか知らないかも…他には?」
「…実際に見に行くか?」
「えっ」
「仁王君、侵入で捕まりますよ」
「そんなことするのではないぞ」
柳生と真田が突っ込みを入れてくる。ですよねー。
「まぁ、本題はここからなんじゃ」
二人に適当な返答をした仁王がまた話し始める。
「俺、最近ストーカーされとる気がする」
「「「「えっ!?」」」」
私と赤也とブン太とジャッカル。見事なハモリ。
「に、仁王君…それは本当ですか?」
「…わからん」
「結構深刻みたいだね」
こちらを振り返った幸村がそう言うってことはそうなんだろう。
「だ、大丈夫なの…?」
「わからん…」
「相当参ってるじゃないか」
柳まで気遣い顔。悪魔さえも騙せる詐欺師とは言われても、なんでもかんでも分かるわけじゃないし、いくら仁王でも幸村は怖いらしいし。
結局、皆帰らずに部室で仁王の話を聞く。最初のくだり必要だったのお前、と思うが、多分、なんて言い出せばいいのか分からなかったんだろう。
「見られてるくらいなら別に気にしないんじゃが、筆記用具は一度なくなったのに気がついてからトラップしかけとるし…」
「お、おう…」
やっぱりただじゃ転ばない。
「それにひっかかったら、とっちめてやろうと思ったんに、ブンちゃんが盛大に引っかかってばれてもうたぜよ」
「ああ!あれか!ってお前!じゃあそう言えよ!」
「…ああ、そういやすごかったね…」
パァン!言うたからね。
「何をしとるんだ…」
真田がため息をつく。仁王が鞄をごそごそ探って、封筒を取り出してくる。パスしてきたので中身を開く。
「ひうっ」
「ちょ…これやばいっすよ…」
赤い文字でひたすらに書いてある。読むのがこわいが、内容が気になる。仁王以外の皆で囲む。
とにかく仁王について書かれていた2枚目まで。3枚目から、様子がおかしくなってきた。
『ねぇ中川はなんなのかなぁ毎日毎日仁王君と一緒にいてさぁ私のこと知らないのかな仁王君もダメだよナカなんて親しくしたらあのバカ女勘違いしちゃうでしょこのまま仁王くんがなんの対応とらないならあの女に私が分からせてやらなきゃいけないなぁ』
「…えっ、矛先私に向いてない?」
「そうじゃの」
「まじか…」
「ナカ、最近なんかあったかよぃ」
記憶を探る。
「いや、特に変わったことはないな…」
「なら、まずはよかった」
頷いた幸村が仁王を見やる。
「本当隠すのうまいんだから…。言ってくれてよかったよ仁王。ナカ、馬鹿だからなんかされてからじゃないと気がつかなかったかもしれない。」
えっ、なんで今馬鹿にされたの。赤也がそうっすねーと頷いてる。よりによってお前がそうっすねーじゃねーよ。でもまぁ、馬鹿とは認めないが…
「うん、ありがとうね仁王」
「ナカが見た目の通り男だったらのう」
「見た目の通り!?」
なんだこいつ。髪ひっぱんぞ。
黒板に立てかけてあるでかい地図。地理って楽しいよなー。
「中川、今日日直だよな。これ運んどいて」
「はーい」
返事をしたものの、授業が終わってから気が付いた。今日、田中(隣の席)休みだから私日直一人だっつの。手伝う、と言ってくれた友達に感謝。流石に重い方を持たせるのは気が引けるので私がでかい地図を持つ。
「ナカ、大変そうじゃのう」
「そうでしょううえっ」
「ナカ!」
ひきずる一歩前の位置で持っていた地図に、足がひっかかって、見事に転んだ。ごんっと響く音。いってぇ。
「ちょっと大丈夫…?サスペンスなら死んでた音したけど…」
不穏なことをのたまう友達。サスペンスでもあの程度じゃ死なねぇよ。けれど痛みを訴える額をおさえながら、なんとか顔を上げる。
「…地図が、私の頭を…」
地図め、許さん。額に当てていた私の手をずらして、仁王が覗きこんできた。今そこ押されると痛いんですけど。
「角に思いっきりぶつけっとったが…傷はついてないようじゃな。イケメンが傷つかなくてよかったぜよ」
「はは、ありがと」
イケメンだとう?額に当てられた仁王の手が冷たい。その姿勢のまま、仁王が一度目線をどこかにやった気がした。なんだ?振り返ろうとすると小声でなんでもないぜよと言われた。そっすか。立ち上がって友達と二人で廊下を歩く。
「…時々思うんだけど…ナカって、ときめきどこにやったの?」
「え!?」
「男の子にあんな近距離とられたらドキドキしない?」
「えっ?そ、そう?」
だって別に好きな相手でもないしな。そりゃあ、ロバート(俳優)とかにあれやられたらぶっ倒れると思うけど。
今日は練習もない。友達と遊ぶ約束をしているので、教室で宿題を広げる。
「中川さん」
「あ、宮内さん」
うちのクラスの委員長。あまり活発なタイプではないが、話し合いの場を仕切ってくれる頼れる委員長。話しかけてくるなんて珍しいな。
「…」
えっ?
「ど、どうしたの?」
「中川さんって、仁王君のなんなの…?」
あ、これやばい。もうね、理解した。委員長だ、ストーカー。思わず立ち上がる。
「三時間目のアレ、何…?」
「あれはね!地図が!地図が!」
「地図なんて関係ない!」
「は、はい!」
いつもおっとりしている委員長じゃない!こわい!
「大体お前はマネージャーになったりして!」
「お前!?」
ガラガラと教室の扉が開く。あー、なんか、来ると思った。
「仁王…」
「すまんのうナカ、ネズミ取りに使わせてもらったぜよ」
やっぱりそういう役回りなのね私。
「…えっ」
委員長がぽかーんである。
「さて、言いたいことがあるなら面と向かって言いんしゃい。」
「あ、あ…」
委員長の顔が赤くなったり青くなったり百変化する。なんとなく女の子がおろおろしている様を見てられなかったので荷物をまとめて教室を出た。あとはなんとかするでしょう。だってここには、悪魔さえも騙せる詐欺師と
「お疲れ様、ナカ」
神の子の異名を持つ部長がいるんだから。教室外に待機していたらしい幸村(まさかそこにいるとは思わなくて驚愕の顔をしてしまった不覚)に別れを告げて廊下を歩く。目的地は部室。友達に部室にいることにしたという旨のメールを送ってぼんやりする。宿題を進めたり、進めなかったり。カチコチと時計の音。
人を好きになるって、なんか。
瞬間、部室のドアが開いてびっくりする。
「あ、仁王」
「ナカ」
話し合いは終わったんでしょうか。首を傾げると、仁王は一つ頷いて近くのベンチに腰掛ける。
「面倒かけたのう」
「仁王のせいじゃないでしょ」
「プリッ」
なんだこいつ。
「どうしたんじゃ?」
「いやー、なんかさぁ」
「ん?」
「人を好きになるのってめんどくさそう」
「あ、はい」
「!?」
えっ、今の返し初めてなんだけど!仁王今、はいっつった!?そんな私の動揺を分かっていない筈がない仁王がくすくす笑い声を漏らす。
「そんなことないぜよ。きっとナカには白馬に乗った王子様が来てくれる」
先ほどの話し合いでお疲れなのか、明らかに詐欺師の嘘のレベルが落ちている。呼んでもいない白馬の王子様来たら、一番めんどくさくない?意味不明じゃない?
「あははは、きっと、それは黒い白馬で前へ前へとバックするんでしょ。乗せてもらえねぇ」
「そうじゃな。そうなったら俺は皆に大声で囁いてやるぜよ。イケメンで乙女な中川が恋をしたって」
口元を綺麗につり上げた詐欺師のセリフはやっぱり、意味不明。