…


ツ「我々は長い間、機密情報を盗んだスパイと、その隠し場所を探していた」


ツォンは、＊＊の前に歩み寄る。


ツ「君に見てもらった通りスパイの始末は出来たが、情報は発見できなかった。それは、とても巧妙に、そして意外な場所に隠されていたからだ」

「…私は知らない」


ツォンが＊＊の額に指先を当てる。


「？」

ツ「答えは君の中、正確には君の脳に刻まれている」


❗️


ツ「君の中に隠された情報を引き出す方法は、殺してしまった君の両親にしか分からない。だから、

ルーファウス様は、君を処分するために近づいたのだ」


その言葉に、＊＊は目を大きく開く。


「…うそ」

ツ「嘘ではない。社長からルーファウス様に、君を殺すように命令されている」


ツォンは、嘘を言ってはいないと思った。

だが、＊＊を追い込むことには効果は絶大なようだ。


「そんな…」

ツ「おや、君はルーファウス様を拒絶していたのではなかったか。まさか今更、絆されたとでも？それならば残念だったな」

「…。」


＊＊は黙り込んで、俯く。


少しでも希望を持つことが間違いだったのだ。

愛されているなんて、
想われているなんて…



ツ「君の処分については追って知らせるだろう。それまで精々、余生を楽しみたまえ」


そう言って、ツォンは去っていった。


フラ…と立ち上がり、EＶで一階まで降りる。

頭で考えなくとも、３年も通い続けた道はすっかり体に馴染んでいて、茫然自失していても足は帰宅路を辿ってくれた。

リビングのソファに横になり、ツォンから知らされた事実を反芻する。


そして、ルーファウスが会いにきてくれていた理由を知って、涙が零れ落ちた。

次々と溢れて止まらない涙を隠すように、クッションに顔を埋めて、声を上げて泣き叫んだ。



…



ル「＊＊に教えただと、何を勝手なことを！！」


ルーファウスは、ツォンの胸倉を掴む。


ツ「殴って気が済むのでしたら、どうぞ」


淡々と言う。

ツォンに怒り心頭するも、ルーファウスは手を払った。


ツ「いずれ知ることになるんですから、早い方がいいでしょう。長引けば長引くほど、辛くなるのはルーファウス様だと思いましたので」

ル「…、」

ツ「ご決断を」

ル「分かっている」



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