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葛藤...夢と現実
「名前を変える」
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…
ツ「今日は行かれないんですか」
ル「…、」
ツォンの質問に返さない。
会ってしまえば、気持ちが抑えられなくなると分かっているからだ。
ーー定時より前に彼女のいるフロアに行くのは、早く会いたいから。
ーー冷たくあしらわれても彼女に言い寄るのは、振り向かせたいから。
ーー時折、見せてくれる自然な素顔を、もっと知りたいから。
ーー食事の時に嬉しそうに笑う姿が、堪らなく愛しいから。
ーー彼女との遣り取りは、自分を素に戻してくれるから。
ーー1人の男として、彼女を心から欲しいと、想わせてくれるから。
だからこそ真実が、厳しい程に現実を突きつけてくる。
プレジデントの命令は絶対忠実の効力を持つ。
それは神羅に与しているトップクラスの人間だから、痛いほど理解している。
ルーファウスが手を拱いていても、見兼ねたタークスが出しゃばって彼女を始末してしまうかもしれない。
思案に暮れるルーファウス。
ツ「…、」
…
また翌日、定時が近づいて**は溜め息を吐いた。
何となく、もう彼はやってこないことを予感めいて諦めていたからだ。
『ねえ、』
隣の子が耳打ちで教えてくれる。
『あの人、副社長と一緒に居た人じゃない?』
何となくフロアの出入口を見ると、確かに、いつもルーファウスの側に着いていたスーツの男が立っている。
目が合うと、男は顔をクイと動かして、こっちへ来いと催促しているようだった。
何の用だろう、ルーファウスが来れないことを態々、伝えに来たんだろうか。
仕事を終えてから男に近寄ると、
「着いてこい」
と、一言。
もしかしたらルーファウスの元に連れて行ってくれるのかも、と淡い期待を寄せたが、EVは上部階の直前で停まってしまった。
男の後に着いて入ったのは、資料用のシアタールーム。
ツ「まず、これを見てもらおう」
何か資料でも見せられるんだろうか、と思っていたが、スクリーンに映し出されたものを目にした瞬間、**の表情が固まる。
そこに映っていたのは紛れもない、**が幼い頃に住んでいた家だった。
場面は、家の前に集まった武装した男たちの、無線の会話から始まった。
ーーーー
『報告にあったスパイのアジトに到着、これより作戦を開始する。
標的は発見次第、始末しろ。
例のモノの在り処を探れ!』
そう宣言すると、部隊が家に押し入る様子をカメラが追っていく。
そして隊員の一人が声高に叫ぶ。
『標的発見、交戦に入る』
カメラが捉えたのは、
「…お母さん…」
ツ「…。」
ツォンは、映像に目を奪われている**を観察する。
**の母は、暗器を使って隊員の一人を倒していた。
母が戦闘をするなんて、優しくて思い出の中の母からは想像できない姿だった。
だが、銃を持った隊員の数人に囲まれて多勢に無勢…母の背後から、サバイバルナイフが首に突き立てられ、その刃は喉を貫通して血を滴らせる。
M『かはっ』
「ッ」
両手で口を押さえ、叫び出したいのを堪える。
そして隊員らが一階を捜索する様子が暫く流れ、階段を上がると、そこには
「え」
立ち塞がる父の姿。
「な…んで」
**は知らなかった、
仕事に行っていた筈の父が、異変を察知して母と**を助けに、家に戻ってきていたことを。
父は、ハンドキャノンを構えて隊員に放つ。
ガアァンッ、という轟音と共に発射された弾は、一列に並んでいた隊員たちの胴体を抉り貫いた。
『魔法を使え!』
階段の下まで撤退を余儀なくされた隊員たちが、重複魔法を放ち、父の体を稲妻が貫く。
F『がっ、あッ』
階段の踊り場に転がり落ちた父の眉間に、突きつけられた銃が唸り声を上げた。
事切れた父を乗り越えて、隊員らが二階も捜索する。だが、《例のモノ》らしき物は見つからないようだ。
ズキンっ、不意に頭が痛む。
「?」
映像は、そこで終わっていた。
_
ツ「今日は行かれないんですか」
ル「…、」
ツォンの質問に返さない。
会ってしまえば、気持ちが抑えられなくなると分かっているからだ。
ーー定時より前に彼女のいるフロアに行くのは、早く会いたいから。
ーー冷たくあしらわれても彼女に言い寄るのは、振り向かせたいから。
ーー時折、見せてくれる自然な素顔を、もっと知りたいから。
ーー食事の時に嬉しそうに笑う姿が、堪らなく愛しいから。
ーー彼女との遣り取りは、自分を素に戻してくれるから。
ーー1人の男として、彼女を心から欲しいと、想わせてくれるから。
だからこそ真実が、厳しい程に現実を突きつけてくる。
プレジデントの命令は絶対忠実の効力を持つ。
それは神羅に与しているトップクラスの人間だから、痛いほど理解している。
ルーファウスが手を拱いていても、見兼ねたタークスが出しゃばって彼女を始末してしまうかもしれない。
思案に暮れるルーファウス。
ツ「…、」
…
また翌日、定時が近づいて**は溜め息を吐いた。
何となく、もう彼はやってこないことを予感めいて諦めていたからだ。
『ねえ、』
隣の子が耳打ちで教えてくれる。
『あの人、副社長と一緒に居た人じゃない?』
何となくフロアの出入口を見ると、確かに、いつもルーファウスの側に着いていたスーツの男が立っている。
目が合うと、男は顔をクイと動かして、こっちへ来いと催促しているようだった。
何の用だろう、ルーファウスが来れないことを態々、伝えに来たんだろうか。
仕事を終えてから男に近寄ると、
「着いてこい」
と、一言。
もしかしたらルーファウスの元に連れて行ってくれるのかも、と淡い期待を寄せたが、EVは上部階の直前で停まってしまった。
男の後に着いて入ったのは、資料用のシアタールーム。
ツ「まず、これを見てもらおう」
何か資料でも見せられるんだろうか、と思っていたが、スクリーンに映し出されたものを目にした瞬間、**の表情が固まる。
そこに映っていたのは紛れもない、**が幼い頃に住んでいた家だった。
場面は、家の前に集まった武装した男たちの、無線の会話から始まった。
ーーーー
『報告にあったスパイのアジトに到着、これより作戦を開始する。
標的は発見次第、始末しろ。
例のモノの在り処を探れ!』
そう宣言すると、部隊が家に押し入る様子をカメラが追っていく。
そして隊員の一人が声高に叫ぶ。
『標的発見、交戦に入る』
カメラが捉えたのは、
「…お母さん…」
ツ「…。」
ツォンは、映像に目を奪われている**を観察する。
**の母は、暗器を使って隊員の一人を倒していた。
母が戦闘をするなんて、優しくて思い出の中の母からは想像できない姿だった。
だが、銃を持った隊員の数人に囲まれて多勢に無勢…母の背後から、サバイバルナイフが首に突き立てられ、その刃は喉を貫通して血を滴らせる。
M『かはっ』
「ッ」
両手で口を押さえ、叫び出したいのを堪える。
そして隊員らが一階を捜索する様子が暫く流れ、階段を上がると、そこには
「え」
立ち塞がる父の姿。
「な…んで」
**は知らなかった、
仕事に行っていた筈の父が、異変を察知して母と**を助けに、家に戻ってきていたことを。
父は、ハンドキャノンを構えて隊員に放つ。
ガアァンッ、という轟音と共に発射された弾は、一列に並んでいた隊員たちの胴体を抉り貫いた。
『魔法を使え!』
階段の下まで撤退を余儀なくされた隊員たちが、重複魔法を放ち、父の体を稲妻が貫く。
F『がっ、あッ』
階段の踊り場に転がり落ちた父の眉間に、突きつけられた銃が唸り声を上げた。
事切れた父を乗り越えて、隊員らが二階も捜索する。だが、《例のモノ》らしき物は見つからないようだ。
ズキンっ、不意に頭が痛む。
「?」
映像は、そこで終わっていた。
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