…


男「お前の番だ」


ゴトリ..と目の前に拳銃が置かれた。

無事に二巡目を終えたばかりの男は安堵の息を吐き、そして幸運を勝ち取ったと笑みを浮かべる。


次で４回目の引き金で発射される確率は半々。

リボルバータイプの銃は通常のものなら６発シリンダーなのだが、目の前にあるカスタム銃は５発シリンダーだ。


空砲か、実弾か。

5分で死ぬと考えたら、正常な人間なら死の恐怖に慄き打ち震え、生を懇願し許しを乞おうとするのだろう。

それを見越して薄汚い笑みを浮かべる男。


＊＊は目の前の銃を見つめた後、手に取り、撃鉄を起こして、躊躇うことせず自分の頭に突きつける。

平然と続ける＊＊に、男の表情が次第に強張る。


「これで空振りだったら次はアナタの番」


＊＊は男を見据えて、淡々と話す。


「私は迷わない」


男の目が驚愕で開かれる、
絶対に安全な場所から引き摺り下ろされて、抵抗を試みようとする。


「アナタに逃げ場はない、何を敵に回したのか後悔しても遅い」


静かに言いながら、引き金に指をかける。


「私が死んでも、生きても、待つのは《死》のみ」


ぐっ..
指先に力を込める。

ガチンッ…撃鉄が鳴った、弾は出なかった。


男「ウソだ…そ、んなッ」

「最後まで幸運だったのは私みたいね」


＊＊は男に銃口を向けて、撃鉄を起こす。

男は腰を抜かして懇願する。


男「ゆ、許してくれ！
　殺さないでくれ…！！」

「今まで、そうやって助けを求めた相手を殺してきたでしょう。自業自得よ」

男「金なら払う！お前の給料の10倍、いや100倍だ！」


チラッと目配せすると、男の口元が吊り上がる。


「私がタークスやっているのは、お金が理由じゃない。何でも金で動かせると思わないで」


男の表情が絶望に染まる。


「アナタと話すのはツマラナイ、もう死んで」

男「やめてくれーーーーーー‼️」





..



…





ピチャ..
破裂した男の頭から滴り落ちる赤。

頬の赤をスーツの袖で拭えば、銃を放り捨てて場から去った。


ツ『ご苦労』


回線の向こうから冷たい声が聞こえる。


ツ『後始末は、こちらでやっておく。お前は上がってくれ』

「はい、失礼します」


通話を切って、＊＊は歩き出した。





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