*
寂しがりの蝶
「名前を変える」
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
…
神羅カンパニー主催の夜会。
その会場で中心人物たる主人が、今日も沢山の女性に囲まれている。
華やかなドレスに身を包む彼女たちは、主役であるルーファウスに気に入られようと、しきりに話しかけている。
彼は、そんな彼女らに笑顔で対応している。
その様子を、いつもの様に壁際に立って見つめている**の表情は暗い。
そんな距離感のある2人の関係は、幼い頃に両親の間で交わされた婚約の結び。
けれど今の2人は、とてもじゃないが、そんな関係には見えないだろう。
だからこそ女性たちは、**に取って替わろうとルーファウスに言い寄っているのだ。
「**さん」
すると、普段は遠巻きに見ていた子息たちが**を取り囲んだ。
子「お話しするのは初めてですね」
「えぇ、そうね」
子「良ければ僕と話してくれませんか。テラスへ行きましょう」
いつもならば断る所だが、その時は気まぐれを起こし、
「えぇ、いいですわ」
子「お手を」
男性は笑顔で手を取ると、2人テラスへと出て行く。
ル「…。」
令「どうなさいました?ルーファウス様」
視界の端で**の行動を捉えていたルーファウスは、急に押し黙った。
ル「ちょっと失礼」
女性たちを掻き分けて、ルーファウスはテラスへ向かう。
子「いつも、お誘いしても断られるので驚きました」
「そうね、いつも熱心でいらっしゃるから。こんな私なんかに」
子「そんなことありません。貴女は、いつでもお美しい」
熱っぽい瞳で見つめられるが、**の心は、ちっとも動かない。
子「**さん」
そうしている内に、男性が**の腰を抱き寄せて顔を近づけ…
ル「何をしている」
ビクッと男性が、反射的にパッと手を離す。
「…。」
子「な、何もしていません!」
そう声を上げるとルーファウスの横を通り過ぎて、会場へと逃げていってしまった。
「何故、邪魔をしたの…」
ル「決まっているだろう。人の婚約者に手を出そうとしたんだぞ、あの男は」
**は目線を伏せてしまった。
愛されていると勘違いしてはいけない。
私は《形だけの婚約者》なのだから、と。
「それは、お手を煩わせてしまいました。早く女性たちの元に、お戻りください」
ル「勿論、そうするつもりだ」
ルーファウスは、踵を返して会場の中心へと戻っていった。
**はテラスから夜空を見上げる。
「(正式な手続きを踏めば時間は掛かるだろうけど、婚約の解消は出来るだろう。《お飾りの婚約者》は辞めて、自由に生きよう)」
そう決心して、夜会が終わり家に帰ると、さっそく父に打診しに向かった。
父「本当に良いんだな?」
父は賛成してくれた。
反対されると思っていたから拍子抜けだった。
父「娘の幸せを思うのが父親の役目だ。私たちの勝手な約束で娘の人生を縛ってしまった、許してほしい」
そう言って、頭を下げる父親。
「頭を上げてください、お父様。良いのです、その方が幸せになれると考えてのことだったのでしょう?」
父「これからは自由に生きなさい。私は応援しているよ」
「ありがとう」
そう言って父は、婚約解消の旨を記した手紙を作り、翌朝に送ってくれた。
_
神羅カンパニー主催の夜会。
その会場で中心人物たる主人が、今日も沢山の女性に囲まれている。
華やかなドレスに身を包む彼女たちは、主役であるルーファウスに気に入られようと、しきりに話しかけている。
彼は、そんな彼女らに笑顔で対応している。
その様子を、いつもの様に壁際に立って見つめている**の表情は暗い。
そんな距離感のある2人の関係は、幼い頃に両親の間で交わされた婚約の結び。
けれど今の2人は、とてもじゃないが、そんな関係には見えないだろう。
だからこそ女性たちは、**に取って替わろうとルーファウスに言い寄っているのだ。
「**さん」
すると、普段は遠巻きに見ていた子息たちが**を取り囲んだ。
子「お話しするのは初めてですね」
「えぇ、そうね」
子「良ければ僕と話してくれませんか。テラスへ行きましょう」
いつもならば断る所だが、その時は気まぐれを起こし、
「えぇ、いいですわ」
子「お手を」
男性は笑顔で手を取ると、2人テラスへと出て行く。
ル「…。」
令「どうなさいました?ルーファウス様」
視界の端で**の行動を捉えていたルーファウスは、急に押し黙った。
ル「ちょっと失礼」
女性たちを掻き分けて、ルーファウスはテラスへ向かう。
子「いつも、お誘いしても断られるので驚きました」
「そうね、いつも熱心でいらっしゃるから。こんな私なんかに」
子「そんなことありません。貴女は、いつでもお美しい」
熱っぽい瞳で見つめられるが、**の心は、ちっとも動かない。
子「**さん」
そうしている内に、男性が**の腰を抱き寄せて顔を近づけ…
ル「何をしている」
ビクッと男性が、反射的にパッと手を離す。
「…。」
子「な、何もしていません!」
そう声を上げるとルーファウスの横を通り過ぎて、会場へと逃げていってしまった。
「何故、邪魔をしたの…」
ル「決まっているだろう。人の婚約者に手を出そうとしたんだぞ、あの男は」
**は目線を伏せてしまった。
愛されていると勘違いしてはいけない。
私は《形だけの婚約者》なのだから、と。
「それは、お手を煩わせてしまいました。早く女性たちの元に、お戻りください」
ル「勿論、そうするつもりだ」
ルーファウスは、踵を返して会場の中心へと戻っていった。
**はテラスから夜空を見上げる。
「(正式な手続きを踏めば時間は掛かるだろうけど、婚約の解消は出来るだろう。《お飾りの婚約者》は辞めて、自由に生きよう)」
そう決心して、夜会が終わり家に帰ると、さっそく父に打診しに向かった。
父「本当に良いんだな?」
父は賛成してくれた。
反対されると思っていたから拍子抜けだった。
父「娘の幸せを思うのが父親の役目だ。私たちの勝手な約束で娘の人生を縛ってしまった、許してほしい」
そう言って、頭を下げる父親。
「頭を上げてください、お父様。良いのです、その方が幸せになれると考えてのことだったのでしょう?」
父「これからは自由に生きなさい。私は応援しているよ」
「ありがとう」
そう言って父は、婚約解消の旨を記した手紙を作り、翌朝に送ってくれた。
_
1/2ページ