「はぁぁ～～ぁ…」

三度目の溜め息をつき、どうやってこの巫女の食欲を落ち着かせようかと考えていた時

「ぬ、ぬりごぉ～……み、水ぅぅ……」
「馬鹿あんた、何やってんのよ！」

どうやら喉に魚の骨を引っ掛けたらしい。
柳宿は慌ててグラスに水を注いでやり、それを美朱の口元まで運んで飲ませてやった。

「…ん……ふぅ～、ありがとう柳宿、もう大丈夫…」
「んもう、ただでさえあんた鈍臭いんだから、食事の時くらい落ち着いて食べなきゃ駄目じゃないの。せっかく胃に物を詰めたって、あんたの体調が悪化したら意味がないでしょう」
「……柳宿？」

そっと名前を呼ばれ、柳宿はハッとして顔を背けた。

「べ、別にあんたの心配をして言ったんじゃないからね。あんたが元気になってくれなきゃ星宿様まで落ち込んでしまわれるから、だから看てあげているだけなんだからね」

そんな風に悪態をつきながらもさりげなく彼女のことを気遣ってくれる柳宿の言葉に、美朱はそっと抱き付いた。

「んなっ！？」
「ありがとう柳宿……心配かけてごめんね」
「……良いわよ、大したことじゃないわ。とにかく、あんたは巫女である前に一人の女の子なんだから、今は自分が治ることだけ考えてなさい。私が言いたいのはそれだけよ」

柳宿は美朱の頭を撫でてやり、そこへ寝かせつけた。