そう、俺は確かにあの時師匠にとどめを刺した
だから師匠の影を見るなんて有り得ない


「…その呪霊、完全に祓いきれて無かったんじゃねぇの」
『それは…』
「その時のお前は呪術師でも何でもねぇ、ましてや俺と違ってお前は一般人のガキだ
祓いきれずに回復しながら生きてたっつう話なら道理が通る」


勿論、遺体は火葬した
肉体なんて残ってない
ぐっと拳を握る


「まあまあ、完全にそうとは言い切れないだろう？
それにあれ一回きりなんだろう師匠を見たのは」
『…あぁ…』
「呪霊も多種多様だからな、相手が怯む相手に化けるヤツだって居るかもしれないし」
『…………』
「湿気た面してンなよ
ンな表情したって仕方ねぇだろ」


時は戻らない、進むだけだ。
そう言い残して五条は何処かへ行った


「ふー…アンタがどう思ってるか知らないけど、私らは今までと変わらない
勿論、アイツもね」
「悟は素直じゃないからね」
「アイツが素直とかキショ」


煙草をふかして笑う家入と夏油を見て、何故か心が軽くなった気がした


『…夏油、家入』
「ん？」


二人が此方を見る


『ありがとう』


誰かにお礼なんていつ振りだろう
師匠、俺此処に来て良かったよ。




オマケ。
お礼を言われた後の夏油と家入
「巫月って笑うと可愛いな」
「あーあ悟が居たら面白かったかもしれないのに」
「チッ、あのカッコつけ何でこういう時に居ないかね」
「ま、私達が悟より好感度上がったから良いんじゃないか？」
「それもそうだな
後で巫月の笑顔めちゃくちゃ可愛かったって自慢してやろ」