優しいせかい
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今から三年前、俺が中学一年生だったあの日が師匠と最後の日だった
幼少期に呪霊に襲われ死にかけていた所をフリーの呪術師、花崗(みかげ)に救われそれからずっと呪霊との戦い方を教わっていた
家族が死んだ後は親代わりもやってくれた強くて優しい呪術師
あの日も、学校終わりにいつも稽古をつけてくれている場所へ向かうと
『なんだ、これ…』
森だった場所は所々地割れを起こし木が薙倒されている
原型を留めていない其処で残穢があることに気付く
師匠が戦ったんだ
呪霊の気配は既に無く、居る筈の師匠を探す
森を歩き回り拓けた場所に師匠は居た
『っ師匠!』
地に横たわっている姿に駆け寄るとうっすら瞳を開く
光の薄い瞳が俺を捉えると薄っすら唇が開き
「悪い、な…私は此処までのようだ…」
『っ、そんな、ししょ』
「……お前に、辛い役目を負わせる私を許してくれ」
『師匠…?』
言葉の意味が解らず呆けていると懐の短剣を手渡される
「私の内に、呪霊が、居る…ソイツが完全に乗っ取る前に、私を、殺してくれ」
『っ!!なに、言って』
「クロ」
ふ、と微笑んだ表情はいつもと変わらない優しい笑みで
選択肢は一つしか無い、もし身体を乗っ取られてしまえば師弟仲良く死ぬしかない
震える手で短剣を握り直すとポツポツ、雨粒が身体を濡らしていく
呪力を短剣に込め、振り上げた
「お前は、最高の愛弟子だ──…」
ザァザァと酷い雨が身体を打つ
亡骸を見つめたまま俺は、ずっと泣いていた。
幼少期に呪霊に襲われ死にかけていた所をフリーの呪術師、花崗(みかげ)に救われそれからずっと呪霊との戦い方を教わっていた
家族が死んだ後は親代わりもやってくれた強くて優しい呪術師
あの日も、学校終わりにいつも稽古をつけてくれている場所へ向かうと
『なんだ、これ…』
森だった場所は所々地割れを起こし木が薙倒されている
原型を留めていない其処で残穢があることに気付く
師匠が戦ったんだ
呪霊の気配は既に無く、居る筈の師匠を探す
森を歩き回り拓けた場所に師匠は居た
『っ師匠!』
地に横たわっている姿に駆け寄るとうっすら瞳を開く
光の薄い瞳が俺を捉えると薄っすら唇が開き
「悪い、な…私は此処までのようだ…」
『っ、そんな、ししょ』
「……お前に、辛い役目を負わせる私を許してくれ」
『師匠…?』
言葉の意味が解らず呆けていると懐の短剣を手渡される
「私の内に、呪霊が、居る…ソイツが完全に乗っ取る前に、私を、殺してくれ」
『っ!!なに、言って』
「クロ」
ふ、と微笑んだ表情はいつもと変わらない優しい笑みで
選択肢は一つしか無い、もし身体を乗っ取られてしまえば師弟仲良く死ぬしかない
震える手で短剣を握り直すとポツポツ、雨粒が身体を濡らしていく
呪力を短剣に込め、振り上げた
「お前は、最高の愛弟子だ──…」
ザァザァと酷い雨が身体を打つ
亡骸を見つめたまま俺は、ずっと泣いていた。