大切なものを作る事が、今でも怖い
作ってしまったらまた無くなるんじゃないか、そう思ったら失う事が怖くて仕方ないんだ
それに、愛なんてものを知ってしまったらきっと


『戻れなく、なる…』


独りで生きられなくなる
手を、握っていて欲しくなる


『どうすれば…いいの…』


ベッドに蹲ってぎゅっと目を瞑ると五条が思い浮かんで
光に反射してキラキラ輝く白髪、日頃はサングラスで隠されている蒼い瞳、無駄にある身長に広い背中、温かい体温、心地良い声
なんだか胸が苦しくなって、何か溢れ落ちた


『───す、き…好き、だよ…っ』


ぽろぽろ、溢れ落ちる
好きになって、ごめん、好きになってくれて、ありがとう


『応えられなくて、ごめんね』


やっぱり、駄目だ、五条の隣は俺じゃない
御三家である五条の隣は俺じゃ駄目だ
五条の未来を、俺は奪えない
眠るまでずっと五条との思い出に浸っていた。