東京郊外の山中にある其処は東京都立呪術高等専門学校
四年制の学校で入学してから早一ヶ月程経つ
生前の師匠に煩いくらい話を聞かされ、いざ入学してみたものの一年生は俺含め四人しか居らず何だか微妙な心境だった
師匠も此処通ったのかなそうなんだろうなぁ、俺も師匠みたいになれるのかなとかまだ鮮明に覚えている存在しない人を想いながら窓の外を眺めていると


「おーい目ぇ開けたまんま寝んなよ」
『…それ出来る人間居んの？』
「知るか、最早人間じゃねぇだろ」
『てか何で五条だけ？』
「お前がぼーっとしてっからアイツ等先飯食いに行ったぞ」
『あー、ごめん』


後でパフェ奢れと少し先を歩き出すのは同学である五条悟、確か御三家の一つだった筈
産まれながら呪術師として道が決められている人間は色々大変だろうな、と離れた距離を歩いていると背中が振り向く


「おせーよ」
『お前が速いの』
「脚が長くてメンゴ〜」
『はいはい』


コイツの対応は大体こんな感じ、マジで遣り取りしてたらこっちの身が持たない
が、こんなあしらい方で黙ってるような人間じゃなく


『ぅおわっ！？』
「脚が長い悟くんがチビのお前を運んでやるよ」
『っちょっと！？降ろせって！馬鹿！』
「きゃんきゃんうるせー
腹減ってんださっさと行くぞ」


光栄に思えと俺を軽々と俵持ちして歩き出す五条に抗議しても聞くわけもなく、周りからの不憫な視線を感じながら二人が待つ店に着くと当然笑われる
また少し、五条が嫌いになった今日である。