小さい頃、一番覚えているのは親戚の冷たい視線だった
それが怖くて嫌で親戚と会う日は叔母の所にいた
叔母は頭を撫でながら


「お前は先祖様によーく似ているのさ
その瞳も、良くないモノが見えるのも
100年くらい前までは巫月家もまだ、神様に仕えていたんだけどねぇ」


巫月家は母方の家系で、平安時代から神に仕えていたらしいが俺が産まれる頃には所有していた神社も無く極一般家庭になっていた
だから、場違いの様にこの時代に産まれた俺は父方の親戚から気味悪がられ嫌われていたのだ
まぁ会うことなど滅多に無かったが


『神様、ね』


呪術全盛の時代ならば神様なんて居たんだろうが、今や仕える神など存在しない
存在したならば、仕えていたという母方だけでも助けてくれれば良かったのに


『はぁ…家、どうしようかな』


寮に入ってから一度も帰っていない実家
せめて掃除はしに行かないととは思っても、両親が死んだ場所に行くには少し、いやだいぶ引けて行く気になれない


『んー…』


遅かれ早かれ行かなきゃいけないよな
確か明後日休みだった筈、行くか


『うん？』


ピロンとメールを受信した事を知らせる携帯を見てみると


『おー…』


休み返上、任務が入りそっと溜息を吐いた。