二日間は絶対安静にと言われ大人しくベッドで本を読む
読みながらも頭の隅には勿論、師匠の事が離れなくてそっと腹部に触れる
腹部を貫通した致命傷は何とか塞がり内臓も機能には心配無いらしい


『………』


どんよりとしたこの気持ちが完全に晴れるなんて無いだろう
でも、


“お前はもう独りじゃないだろう？”


師匠の言葉と、意識を失う前に何度も名前を呼んでくれた五条の声と温もりが少なくとも俺を前に進めようとする


『もっと、強くならなきゃな…』


せめて、知ってる人間を守れるくらいには強くなりたいまぁ五条や夏油は例外としとくか、アイツらは規格外だし
本を閉じてベッドに転がり天井を眺めながら息を吐く
あの時死んでもおかしく無かったんだよな、と再度腹部を擦る
診察の時に言われたが俺は傷の治りが一般人より早いらしい
それはまぁ師匠と特訓してた時に何となく気付いていたが、


『まさか、内臓が綺麗さっぱり治るとは』


治療にあたった際内臓の方は既に治りかけていたそうで、今も問題無く機能している
反転術式使った覚え無いし変な特異体質だな…まぁそのおかげでこの先ある程度無茶が通る事が解ったし良いとしよう


『明日…医務室に行ってから…学校……』


うとうと睡魔に負けて目を閉じる
数分後、静かな寝顔には一筋だけ涙が零れ落ちて──。