あの日は朝から空がどんよりしていて母さんの「傘、忘れちゃダメよ」という優しい声を今でも覚えている


物心付いた頃から他人とは違うものが見えたりしていた俺は偶然出会った“そういう事”に詳しい人の弟子になって毎日学校終わりに扱かれていた
いつも通り師匠と別れ疲れを感じながら家に近付いていくと嫌な気配がした
家の中にナニか居る
走り出し扉を開けた先は


『──────』


白かった壁は鮮血が飛散って斑を作り床は血の海が広がっている
そういうモノが見えるのは俺だけで、極一般の家族は当然


『…闇より、出でて…闇より黒くその穢れを禊ぎ祓え…』


俺が出来る事は一つしか無かった
この日、呪霊に家族を殺され俺は独りになった
そしてその二年後土砂降りの日に────。