ユディゆひ

日曜日の昼下がりは何とも心地良い。
柔らかな日差しが昼寝をしているユウディアスと遊飛を、優しく暖める。
こうやって仕事の無い休日、どこかへ出かける事も無く2人は四畳半の畳の上で横になっていた。
昼食を食べた後の眠気はまさに魔性。
「ん……」
ユウディアスが目を覚ました。
目線を少し下へずらせば、腕の中で穏やかな寝顔をした、恋人の遊飛が自分に抱きついている。
そんな愛する者の可愛らしい姿に頬が綻ぶユウディアスは、遊飛の額にキスを一つ。
そしてもう一度抱き直して二度寝に入ろうとした時だった。
「むぅぅ~」
遊飛の口から間の抜けた声が漏れた。
寝言だろうか。
「ゆうでぃあす……」
名前まで呼んでくれている。
恋人としてこれ程嬉しいことはない。
寝言だったとしても。
この一言で呼ばれた本人は完全に眠気が吹っ飛んだ。
「何だ?遊飛」
嬉々として返事をするユウディアス。
次の言葉は、
「ゆうでぃあすぅ…だめぇ~」
「だ、だめ?!」
「やめてってばぁ~」
「や、やめて?!」
遊飛の寝言に反応を返すが、深い眠りについているのかユウディアスの声は届いていない。
「あぁ…そんなつよく……だめだってばぁ」
「どうしたのだ、遊飛?!夢の中でソレガシに何をされているのだ?!」
まさか…………。
ユウディアスには心当たりしかない。
昨日の夜、散々遊飛に自分の欲求をぶつけていたからだ。
なんだかんだでこんな自分を受け入れてくれた遊飛にも、流石に限界が来てしまったのか……!?
「やだぁ…こないでぇ…」
「?!」
寝言が悲痛な感じになってきた。
ハッキリ来ないでと言われた(寝言)ユウディアスは、遊飛から別れを切り出される想像がついてしまった。
嫌だ!別れたくない!ソレガシは遊飛とずっと一緒にいたい!
夢の中のソレガシが羨ましい………
いや、待て!邪な事を考える前にまずは謝らねば!誠心誠意謝って……
「あああ~~~~っ」
「ゆうひーーーーっ!!」
ユウディアスの大声で、遊飛が起きた。
「ふぁ?」
「遊飛!すまなかった!」
「えぇなに?どーした」
寝ぼけ眼の遊飛が怪訝な目で見つめてくる。
意を決してユウディアスは土下座した。
「昨晩はお前に無理をさせてしまった。夢に出るほどだったのだろう?今度からは控えるゆえ別れるのだけは……!」
「別れるって何だよ?」
「え…?」
「だから、なんで俺とお前が別れるって話になってんだよ。……もしかして、ユウディアス……俺の事、嫌いに……?」
遊飛の瞳が悲しそうに伏せられる。
ユウディアスは慌てて否定する。
「そんな事、天地が逆転してもありえない!ソレガシの唯一はお前だけだ!だから……」
「ほんと……?」
「あぁ、ソレガシはお前に嘘は言わぬ。」
「よかったぁ~」
遊飛の表情が元に戻って良かった。
ユウディアス、ほっと一安心。
「それで、夢の中のソレガシはお前に何をしたのだ?」
「んー、夢の中でデュエルしてたな。そん時俺、初手で手札事故起こしててさぁ」
「えっ」
「モンスター並べられないままユウディアスのターンになって……」
「あ…」
「パワーライナック出されて負けて、あ~って……ユウディアス?」
「…………いや、気にしないでくれ…………」
まさか夢の内容が純粋なデュエルだったとは。
もう遊飛に合わせる顔がない。
今度はユウディアスがしょげて、三角座りで遊飛に背を向けてしまった。
歴然の戦士の背中が小さく見える。
遊飛にはそれが情けないやらかわいいやら。
丸まった背中からユウディアスの腹に腕を回して抱きついた。
「何考えてんのか知らねぇけど、俺はずっとお前の傍にいるよ。………もうちょっと、激しくしても良いくらい。」
「!」
最後の一言が、ユウディアスの衝動に火を付けた。
勢いよく身体を反転させて、がばりと遊飛を腕の中へ引きずり込む。
一瞬にして、獣が牙を剥く。
「遊飛、良いのだな?泣いても叫んでもやめてやれんぞ」
「うん。好きにして……」
遊飛は彼の首に腕を回して口づけをする。
ユウディアスもそれに応える。
唇を舌でこじ開けられて、ねっとりと口内へ押し入ってくる感覚に腰が痺れる。
ユウディアスにゆっくりと押し倒される。
遊飛は微笑みながら、獣の寵愛を腕を広げて迎え入れるのだった。
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