桃宮唾切妻成り代わり
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瑞希が無事出産し、退院して暫くした頃。仕事がひと段落した唾切は、ようやく帰宅する事が出来た。
戦闘員と研究員の二足のわらじである唾切は、ここのところ仕事に追われていた。家に帰ることも、妻である瑞希の出産に立ち合うことも、出動要請以外では殆ど建物から出る事も出来なかった。
唾切は瑞希から送られてくる、産まれたばかりの娘の写真を眺める事約二週間。我が子の顔すら写真越しでしか見れていない唾切を蓬は哀れに思い
「うちらで大丈夫なんで、唾切先輩は帰ってくださいっす」
と言って、唾切を隊長室から追い出した。
その様子を見ていた隊員達は「大丈夫なんで帰ってください!」「奥さんとお子さんが待ってますよ!」と口々に言った。
唾切はぽかんとした顔をした後、ふっと笑い「ありがとう」と言って蓬から荷物を受け取って建物を後にする。
唾切は自宅であるマンションの一室に着くと、鞄から鍵を取り出して錠に差し込み、解除して扉を開けた。「ただいま」と声をかけながら靴脱いでいると、奥から「おかえり」と瑞希の声が返ってくる。
リビングへ続くドアを開けると、テレビを観ていたらしい瑞希は「ご飯、今温めるね」と言ってキッチンへ行った。
「頼むよ」
唾切は椅子に座ると、脱力してぼうと天井を眺める。電子レンジの鈍い稼働音と、鼻腔を擽るおかずの匂いにお腹がぐうと鳴った。目を閉じて大きく息を吐き出しながら、背もたれにもたれかかった。テレビの音をBGMにぼんやりしていると、ことりとご飯とおかずが置かれた。
「はいどーぞ」
「ありがとう。いただきます」
箸置きから箸をとり出して、湯気が立つおかずに手を伸ばす。
唾切は遅い夜ご飯を食べながら、「蓬君が暫く休みをくれたんだ」と言った。
「じゃあ、明日はゆっくり出来るんだ」
「蓬君が気を利かせてくれてね」
瑞希の妊娠が判明した時。蓬は唾切と一緒に煙草を辞めるほどに、赤ん坊に会う事を楽しみにしていた。
蓬ちゃんにも早く会わせてあげたいな、と思いながら。瑞希は脳内に蓬の姿を浮かべ、心の中で彼女に「ありがとう」と感謝の念を送った。
翌日の昼下がり。
唾切はおしゃぶりを咥えて、腕の中にいる娘を見下ろす。ふさふさと生え揃った色素の薄い、頭てっぺんでぴょこぴょこと揺れる二本のアホ毛は自身とお揃いで。瑞希から渡された時、唾切は胸の奥が温かくなったのを感じた。
家族団欒の温かな空気に包まれながら、瑞希はスマホを横に構える。わ
カシャ。
撮った写真を確認すると、そこには柔らかい笑みで娘を見つめる唾切の姿があった。