一ノ瀬四季
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「四季ぃ!」
日当たりのいい場所で寝ているとオヤジが四季を呼ぶ怒声が聞こえた。ゆっくり伸びをして声がした方へと向かう。
なにやら喧嘩をしているらしい二人の言い合いは、電話の呼び出し音に中断された。
不貞腐れた顔の四季のもとへと行き「にゃあ」と声をかける。
「瑞希」
名前を呼ばれ、抱き上げられて四季の膝に乗せられる。私を撫でながら壁に向かってエアガンを撃つ四季の姿に、なにも伝える事ができぬもどかしさを覚える。
四季の脚をふみふみともんで、さてもう一眠りするかとリラックスしていると、チャイムが連打される音が聞こえてきた。
私の眠りを妨げるのはどこのクソガキだ。まさかご時世ピンポンダッシュ?
しつこく鳴らされるチャイムを止めるべく、四季は私を膝からベッドへ移動させて玄関へ向かった。
布団の中に潜り込んで、瞼を閉じた次の瞬間ドンという衝撃が音とともに家全体を襲う。私はなにが起こっているのか分からず、ただベッドの上で右往左往するしかなかった。
どれくらいの時間が経ったのか、玄関から一人の足音が聞こえてきた。足音というにはちょっとおかしな音だったが、シキ達が帰ってきたのだと思った私は玄関へと駆ける。
だがそこにいたのはオヤジでもシキでもなく、顔に模様のある知らない男だった。
そろそろと近づいて、すんすんと臭いを嗅げば微かだが四季の臭いがした。
「にゃー、んにゃー」
「……」
話しかけるが男を無視を歩み続ける。この男おかしいぞ。私が話しかければ大抵の人は「どちたの〜↑」と屈んでくれるのに。
男は一度ちらりとこちらを見ただけで、足を止めることなく家の中をみて回る。男はオヤジの部屋に入るとなにかを探しているのかあちこちを物色する。目当ての物が見つかったのか紙を数枚手にして部屋を出てくるとそのまま玄関に向かっていく。
男はとうとう外へ出てしまい、私はもはや玄関とは呼べない瓦礫の前で立ち止まる。
以前好奇心に駆られ外に出て、散々な目に遭ったのだ。四季とオヤジに怒られ二度と出ないと誓った。
立ち止まった私を不思議に思ったのか、男も立ち止まり振り返る。
「こないのか」
男のその言葉に私は視線を一度下に向けて、敷居跨いだ。
男の元へ行き鳴くと、男はまた歩き出した。そこからはひたすら歩き、変な乗り物に乗って大きな水たまりを渡って、また歩いた。
やがて建物に入った男は階段を降りていき、一つの部屋の前で止まった。
ドアが開かれると、嗅いだことのない匂いに混じってオヤジの匂いがした。するりと中に入り込み、ベッドの上に飛び乗る。
ベッドの上で眠るオヤジの顔に額をこすりつけながら、喉を鳴らす。
「にゃー!」
オヤジ!おやつちょうだい、ペロペロするやつ!
いつもなら直ぐに目を開いて「四季には内緒だぞ」と言いながらおやつをくれるのに、鼻を噛んだり、いくら鳴いてもオヤジは起きてはくれなかった。
ちっとも起きないオヤジの寝顔を見つめていると、ひょいと男に抱き上げられ、そのまま部屋の外へ連れ出された。
「にゃー」
ドアが完全に閉まるまで鳴き続けたが、オヤジは最後まで起きてはくれなかった。
模様の男は私をだっこしたまま進み続け、部屋に着くとようやく降ろしてくれた。部屋の中を見回りながらあちこちの匂いを嗅ぐと、どこもかしこも模様の男の匂いで溢れていた。
家具と壁の間にちょうどよい隙間を見つけた私はそこに入り込み、顔を半分だけ覗かせながらじっと模様の男を観察する。
「餌と水は後で持ってこさせる」
それだけ言って模様の男は部屋を去った。
模様の男の言葉通りご飯と水、それに猫砂が運ばれてきた。
これらを持ってきた人間は私の姿をみつけると、手を片方差し出しながら「ちちち」と短い舌打ちをした。私が反応を示すどころか警戒した様子をみせると、早々に諦めて肩を落としながら部屋を出ていった。
そこから外が暗くなって、明るくなるのを数回繰り返したあくる昼。
「瑞希ー!」
四季が迎えに来てくれた。
家具と壁の隙間から飛び出し、胸に飛び込んだ。額を擦りつけてゴロゴロと喉を鳴らす。
「お前少し痩せんたんじゃねーか」
「にゃあ!」
もう離さないからね、四季!
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