神様の言う通り/HQ!!
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佐倉 要(さくら かなめ)
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治くんと角名くんと同じクラス。
ざっくり系女子。
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『宮治の保護者』というポジションを押し付けられてから早数日。「イヤァ俺は部活の時に面倒見るので手一杯だから」と白々しく言ってのける角名くんから本当に丸投げされてしまった。
そして、宮くんも宮くんでお供え物と称して事あるごとに何かしら私に差し出してくるのだ。紅茶を貰った時は正直ちょっと嬉しかったけど、私だって毎日お菓子なり何なりを提供できるわけではない。あまり貰いすぎても心苦しいだけなのでやんわりと断ろうとしたのだが―――
「太らせようかと思て」
「えっ、何それ怖い。えっ、怖。私は家畜か何かで?」
「何っでやねん!ちゃうわ!」
「ちゃうんすか、それは安心しました。ではどういった意図が?」
「ホラあれや、誰かとぶつかったときに吹っ飛ばされないように……」
「……」
宮くんの中で私は一体どれだけ貧弱な人間だと認識されているんだろうか。十中八九コンビニでの事故を気にしているのだと思うけれど、あの時だって別に吹っ飛んだわけではないぞ。私としてはむしろ黒歴史にも程があるのでさっさと忘れていただいた方がありがたい……という心境はさておき。
「仮に宮くんとぶつかったら私でなくても大抵の人間は吹っ飛ぶと思いません?」
「……そうかもしれんな」
「というか、運動部と比べたらそりゃもやしに見えるに決まってるじゃないですか」
「もやし……」
「復唱するんじゃない。とにかくインドア人間としては私は至って普通です普通。ノーマル。標準。これで今まで困ったことは一度も無いし吹っ飛ばされたことも無いしそもそもそんな頻度で誰かとぶつかってたまるか!以上!何か反論は!」
「ウィッス!無いッス!!」
珍しくビシッと背筋の伸びた宮くんを見て、とりあえず私の意見は理解してもらえただろうかと一息吐く。が、反論は無いはずの宮くんはまだ何か言いたげな表情をしていた。またなんか妙なことを言い出すんじゃないだろうなと思いつつも、仕方なく確認をしておくことにした。
「まだ何か」
「……どのくらいの頻度ならお供えしてええの?」
「え、嘘でしょ。まだ続けるつもりだったの?というか私があんまり貰いすぎても悪いから止めようって話だったんだけど?」
「何でや、信仰の証やろ」
「はい?」
「神様にお供えするのに理由なんていらん」
「…………はぁ?」
至極真面目な顔でおかしな発言をしてくるものだから、思わず呆気に取られてしまった。おいそれは冗談で言っていたんじゃないのか。しかし宮くんの表情はどうにも冗談で言っているようには見えず、ううんと首を傾げた。
「ポッキーだけで大げさだって。私はそんな大層な人間じゃないよ」
「んなことない、ホンマに嬉しかったんやって」
「お菓子くらい他の子からだって貰うでしょ」
「せやけど!佐倉はなんかこう、潔かったっちゅーか。何も言わんでバンと渡してきて黙らす感じ」
「う、うん?」
「めっっっっっちゃかっこええなぁと思てな」
「…………」
何を言っているんだこいつは、大丈夫か。ポッキー1つでまるでニチアサヒーローに憧れる少年のような感情を向けられても正直困惑しかないのだけど。というか私はそんなかっこよさを目指してお菓子をやったわけではない。
「あのね、宮くんを黙らせようと思っただけなんだよ」
「知っとる」
「そんな利己的な神様嫌じゃない?」
「ええやん、かっこよさは何物にも勝るんやで。そもそも俺が勝手に拝んどるだけやし、神様らしくしてほしいなんて思っとらん」
「じゃあ一体私に何を求めているのさ」
「別に何も。佐倉はそのままでええわ」
そのままでいろって?死ぬほど雑に扱われてるのに?随分と妙な話だと思ったが、宮くんの今までの妙な言動からある仮説にたどり着いた。
「ねえ宮くん」
「ん?」
「もしかして、あんまり面倒にならないタイプの友達が欲しかった?」
私は極力面倒事は避けて通りたい人間だと自覚はしている。恐らく宮くんがよく行動を共にする角名くんもそのタイプだと見た。角名くんは当然同じ部活だからというのもあるだろうけど……要は、宮くんは過干渉しない人間といるのが楽なのだろう、という推測。だったのだが。
「……」
宮くんはいつも眠たげな眼を大きく見開いて固まっていた。ここまで驚かれると完全に私が自意識過剰な人間みたいになるじゃないか。
「ごめん、何でもないっすわ。今のは忘れて―――」
「―――それや!」
何かに気付いたらしい宮くんの視線がバッと勢いよくこちらに向いた。急に元気だなどうしたんだ。
「確かに佐倉と話すのは気楽でええなぁと思てた!言われたらめっちゃ納得したわ」
「……何も考えてなかったんかーい!」
怒りの余り勢いよく頭にチョップをかましてやった。真面目に考えてた私が馬鹿だったよ。深くため息を吐く私とは対照的に、宮くんは私に叩かれた部分を押さえつつやたらとすっきりしたような様子だった。
「つまりあれやな、佐倉はもう友達ってことや」
「友達認定早すぎでは?」
「あっ、でも神様と友達ってどうなんやろ」
「そっちも継続するの……」
「するする、おもろいやん」
結局行き着く先が「面白い」に落ち着く辺り、やっぱり馬鹿にされてるような気がする。私がやや呆れたような目線を送っていると、それに気付いて慌てて訂正をしてきた。
「あ、今のちゃうねん。ホンマにかっこええと思っとるんやで!?」
「何でも良いっすよもう……」
「ホンマやってー!」