「なぁ角名」
「何」
「佐倉ってちゃんと飯食っとるんかな」
「は？そりゃ何かしら食うでしょ」
「小食やって言ってたし、もしかしたら昼とか食わんでも平気かもしれんのかと思て」
「いやー……そこまでじゃなくない？」
「せやろか」
「今まさに弁当食ってるし、っていうか何でそんな心配してんの」
「いやあいつ見るからにほっそいやん？またどっかぶつかったりしたら折れへんのアレ？めっちゃ怖ない？」
「ぶつけたのトラウマになってるじゃん」
「血ィ出た上に泣かれたら流石になるわ」
「人の食を心配する割にお菓子をカツアゲするのかお前は」
「そ、それはそれっちゅーか、喋るきっかけに丁度ええやん……」
「話題作り下手かよ」
「……そういや何で角名は佐倉が紅茶好きって知っとったん」
「去年も同じクラスだったからだよ、ほとんど喋ったこと無いけど」
「無いのに何で知っとるん？」
「1回妙な味の紅茶買ってる現場に遭遇して思わず二度見しちゃってさぁ、それからたまにちらっと見るといっつも紅茶買ってるから『あっ、とりあえずティーって付けば何でもいいんだ』とは思ってた」
「……これからお供えは紅茶にしとくか」
「お供え」
「考え事しとったら腹減ってきた」
「うっわ信じらんねえ。今食い終わったばっかりだろ」
「食い終わったから減った。なんか買うてくる」
「ついでに佐倉さんの様子確認したらいいんじゃないの？」
「……せやな、そうしよ」
「マジかよ適当に言ったのに……あ、マジで話しかけた。おもしろ、写真とっとこ」