神様の言う通り/HQ!!
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佐倉 要(さくら かなめ)
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治くんと角名くんと同じクラス。
ざっくり系女子。
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―――無いと思ったじゃん?そんなことは無かったよね。バレー部、特にあの双子の人気具合をちょっとなめてた。休み時間は後ろに本人がいるから聞きづらかったのだろう、昼休みに友人たちに引っ張られ問い詰められた。
「なぁ要、やっぱ治くんたちと仲良うなってない!?」
「仲良くは無い」
「ウッソやん、朝なんかめっちゃ楽しそうに話してたし!」
「いえあれは神への供物を捧げられてただけなんで」
「何それ!?」
誤魔化すのも面倒なので昨日の出来事について包み隠さず伝えると、恐らく私のド間抜けっぷりに呆れたのかツボったのか分からないが友人たちに大爆笑された。もはや笑い話になるのならそれでいいかという気になってきた。これが無我の境地というやつか。
「痛かったんだからな」
「ごめんごめん、いやぁでもある意味ラッキーやんか」
「どこがだ」
「だってあの治くんと話せるようになるなんてそうそう無いで?」
宮くんは別段一匹狼気取ってるとかそういうこともなく、適度にクラスに馴染んでいる方だとは思う。が、何だかんだ有名人で人気があるのに加え、やや気だるげな性格とガタイの良さが織りなす威圧感を放っている。要は若干女子が近付きがたい人物なわけだ。なので気持ちは分からんでもないのだが、私としてはだから何だとしか言いようがない。
「あんなん餌与えときゃ大人しくなるでしょ」
「要、開き直りすぎとちゃう?」
「仕方ないだろ!こんな醜態晒してまともに生きられるか!」
「えー、でも家まで送ってもらえるとか羨ま―――」
何故か友人の1人の会話が不自然に途切れた。他の2人も私の方を見て固まって……いや、違うな?若干視線がずれてる?何事かと疑問に思っていると、不意に背後から気配を感じると同時に私の手元周辺が陰った。大変嫌な予感がする。恐る恐る上を向いてみると―――
「ホンマに小食なんやなぁ、それで足りるん?」
「……そっすね」
―――私を覗き込む形で背後に立っていたらしい宮くんと、思いっきり目が合った。私はそのまま何事も無かったように視線を己の弁当へと移して食事を続行した。が、宮くんはそんなのお構いなしに私に話しかけてくる。自由かよ。
「俺やったら絶対次の時間で腹減るわ」
「燃費悪すぎじゃないっすかね」
「いや佐倉が燃費良すぎなんやて、流石やなぁ」
なぁにが流石だ適当なことを。投げやりな気持ちを抑えていると、何か思い出したらしい宮くんが今度は私の横にしゃがみ込んでにっこりとこちらを見上げてくる。
「またわかめちょーだい」
「……貴様、大切に食べろと言っただろうに!?」
「いやあ大切に食った結果?」
「まだ午前終わったばっかなんだけどなぁ!」
コンビニで売ってる中サイズ程度のものだからそんなに中身多くはないんだけど!そんな心境など知ったことではないと言わんばかりに、宮くんは憤慨している私に向けて大層期待に満ちた目でじーっと見つめてくる。上目づかいで。こいつ、想像以上に強かに生きてるな…!?ちょっとかわいらしくお願いしておけば何でも貰えると思ったら大間違いだぞ、とは思うのだけど。
「…………せめておやつの時間にしなさい!」
「はーい」
こうして私は今日も負けた。また貰えると分かって満足したのか、立ち上がって気の抜ける笑顔のまま私に手を振り教室を出て行った。まさか今から更に購買で何か買い足すつもりなのではないかというと恐ろしい推理が頭を過ったが、想像するだけで私が胃もたれしそうなので今は何も考えないことにした。そして一連のやり取りを見ていた友人たちから一言。
「……なんか親子って感じ?」
「この年で子持ちの貫禄は出したくない!!」
心から叫ぶと、これまた友人たちに大爆笑されるのだった。冗談ではない、あんなでかくて燃費の悪すぎる子供がいてたまるか。弁当の残りを勢いよく口へと放り込み、パタンとふたを閉じた。どうやら他のクラスメイトも似たような感想を抱いたらしく、これ以降あまりアレコレ突っ込んでくるような事は特になかった。
「しっかし、まさか治くんから話しかけてくるとは」
「案外要のこと気に入っとるんとちゃうの?」
「それはない、単にぶつけたのを気にしてるだけでしょ」
やたら私の体調を気にしてくるのも恐らくそれが理由だと思っている。別に病院沙汰になったわけでもないんだし、さっさと忘れて適当に放っておけばいいのに。我儘なのか気遣いが出来るのかさっぱり分からん。
「……っていうか止めろよ角名倫太郎!」
「アラ、ばれた?いやー面白そうだなと思ってさぁ」
「残念ながら見世物じゃないんだわ……保護者しっかりしてよ……」
完全に野次馬を決め込んでいた、宮くんと一緒にいたであろう角名くんに向けてやるせない気持ちをぶつけてやった。親切の塊とか嘘だったわ、ただの愉快犯だこいつ。恨みがましい視線を送りつけていると、大層不思議そうな顔でとんでもないことを言ってきた。
「保護者は佐倉さんじゃないの?」
「えっ、いつから」
「昨日から」
「職務放棄は良くないんじゃないかなぁ!?」
「あははははは」
「笑って誤魔化すな!」
「おお、角名だけに」
「漫 才 や っ て ん じ ゃ な い ん だ よ」
散々ボケ倒す角名くんにツッコんでいた所為で、コントか何かと勘違いしたクラスメイト達からやたらウケてしまった。違う本当に漫才やってるわけじゃないんだよ。私の訴えも空しく、結局この1日で私の印象が『宮治の保護者』というポジションに収まってしまった。