神様の言う通り/HQ!!
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佐倉 要(さくら かなめ)
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治くんと角名くんと同じクラス。
ざっくり系女子。
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―――翌日。強打した箇所は特に目立った外傷もなく、一晩経つと「もしやあれは夢だったのでは?」と思えてきた。これは悩んでも仕方ないなと開き直り、私は何事も無かったかのようにいつも通り登校したのだった。イマイチ眠れなかった所為でだいぶ寝ぼけ顔で来てしまったので、友人たちにからかわれつつそのままHRまで仮眠を取ることにした。
いっそ次に起きた時には授業全部終わってないかな。いやそれは流石にまずいか。くだらない思考を巡らせつつしばらく机に突っ伏していると、後ろの席の人物がやってきた気配がした。が、お構いなしにそのまま仮眠を優先する。そういえば結局昨日買った新刊読んでないな、今日はさっさと帰って読もう。あれ、何で読んでないんだっけ。疲れてたからか。昨日は平和に終わったはずなのに何で疲れてるんだ?昨日は―――
「あれ、神寝とるわ」
「そりゃ神だって朝は眠いとか体調悪いとかあるでしょ」
「具合悪いのはまずいんとちゃうの。神ー元気かー」
「神の扱い雑かよ」
―――止めろと言ったのにもう忘れているのかこやつらは。どうやらアレは夢だったと切り捨てさせてはくれないらしい。っていうかこれ一周回って馬鹿にしてないか?むしろ最初から馬鹿にしてるな?沸々と怒りが湧いてくるがここで怒鳴っては駄目だと言い聞かせ、せめてもの抵抗に突っ伏したままものすごい不機嫌な声で返事をしてやった。
「元 気 な ん で 放 っ て お い て 下 さ い ……」
「あ、起きとった。おはよう神!」
「おはよう佐倉さん、もうちょっとでHRの時間だよ」
角名くんの言葉にぴくりと反応し、渋々体を起こす。やや乱れた前髪を整えつつ時計に目をやると、確かにもう数分経てばHRが始まる頃合いだった。実はさっきからずっと肩にかけていたジャケットを背後の人物から摘まれたり袖で遊ばれたりして鬱陶しいことこの上ない。仕方なく振り返って後ろへ視線をやると、大層嬉しそうな宮くんの笑顔に迎えられた。その笑顔を見て癒されるどころか私としては疲労倍増である。
「マジで止めてくれませんかね……」
「えー?だってこっち向いてくれへんからぁ」
「寝てるんだから放っておいて下さいよ。ってそれもそうだけど、呼び方」
「強そうでええやろ。っちゅーか角名も呼ぶって言うてたやん、何で呼ばんのや」
「俺は治と違ってTPOを弁える人間だから」
別に強さは求めてないんだよなぁというツッコミは野暮だろうか。というか多分角名くんも時と場合によっては呼ぶ気だな?やっぱり馬鹿にされているのでは?このやろう天下のバレー部様だからって調子に乗ってるとその内痛い目見るぞ。多分。知らんけど。内心で悪態を吐きつつ、ハッとあることに気付いてしまった。
「……今日は何もあげないからね!?」
「えっ」
「えっ、じゃないよ何でもらえると思ってるんだ!」
「神は優しいから……」
「ポッキーと優しさは昨日に置いてきた。今日は茎わかめしかない」
「何その酒のつまみみたいなチョイス」
ほれみろみんなそう言うんだ。低カロリーで食物繊維も取れる素晴らしいヘルシーおやつだというのに。まあ私は好きなものは好きなように食べる主義なので、そこまで過剰にカロリーを気にしたことは無いけれど。
「いや茎わかめ美味いで。歯ごたえあるのがええな」
「……分かる!」
「ただ美味すぎて一瞬で無くなる」
「それな!」
「あわよくば無限に食いたい」
「気持ちは痛いほど分かるが食べ過ぎには注意しな少年!」
「神のアドバイスや」
「ウケる」
ウェーイと宮くんとハイタッチを交わすと、何故かその様をやたら楽しげな角名くんに写真を取られた。茎わかめの美味しさを理解する人間に悪い奴はいないのだ。知らんけど。ただのクッキーモンスターかと思ったが考えを改めてやろう。鞄を漁り袋を取り出すと、その中から2つほど手に取りぽいっと宮くんの机に投げた。
「流石に全部はやれないがおすそ分けくらいはしてやろう。大切に食べるがよい」
「ははーっ、有り難き幸せ~」
「佐倉さん手のひら返すの早すぎない?」
「良いんだよ!ほら角名くんも食べてみ!」
「ええー、ありがとう……?」
テンションの上がった勢いで角名くんにも1つ押し付けてやった。角名くんは首を傾げつつそのまま自分の席へと戻って行った。その内感想が聞けると良いな。などと思っていると、宮くんも何やら鞄を漁って物を取り出し、銀紙で包装された四角いものをころりと私の前に2つほど置いた。
「お供え物や」
「……神への供物がハイチュウかよやっすいな!」
「その内グレードアップするから今日はこれで勘弁してや」
「ごめん冗談だよありがとう嬉しいです」
「ンッフフ、どういたしまして~」
そんなこんなで私は結局宮くんの気の抜けた笑顔に負けてしまったようだ。私が前に向き直る時には既に1つ食されていたのは見なかったことにしておく。ああ、そういやこれはまた友人たちに質問攻めを喰らうパターンだろうか。まあ私も宮くんも(ついでに角名くんも)ざっくりしたタイプだから、所謂女子特有の面倒なアレコレにみられることも無かろうとは思う。そう思いたい。