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「あーちゃん見て見て、サメがいるよ~!おっきいねぇ~」
「わあ、本当に大きいですね。……サメのお肉って食べられるんでしょうか」
「……ああ。郷土料理として昔から食べている地域もあるらしい」
「へえ、そうなんですか!知りませんでした」
「崇、物知りだねぇ~」
―――――
「「…………」」
「おや、不満そうだな?」
「イヤ不満っていうか」
「新が楽しそうなのはまあ良いとしても」
「「これ実質モリ先輩(とハニー先輩)とデートって感じじゃない!?」」
「そうだな」
「新はモリ先輩のような寡黙なタイプが好みか……ハッ、もしや今度こそ父の座が脅かされているのでは!?」
「「いや、新の中では元からモリ先輩がお父さんポジションだから」」
「何……だと……!?ならば俺は一体!?」
「「さあ?何だろうネー」」
「正直、自分もあっちで落ち着いて見たいんだけど……」
「ハルヒィィィ!お前のお父さんは俺だろう!?そうだろう!?」
「イエ、父以前にもはや知り合いと思いたくもないです」
「何故!!!」
「おい、もう少し静かにしろ。周りに迷惑がかかる」
「……っていうか、やっぱ貸し切りはしなかったんだネ」
「実際にどういった層が来るのか確認するのも重要だからな。今後の経営の為だよ」
「とか言って、新がちょっと嫌がってたからやらなかったんじゃないのー?」
「さて、何のことやら」
―――――
「…………」
「あーちゃん、やっぱり寂しい?」
「……え」
「ホントはハルちゃんと一緒に回りたいんだよね?」
「い、いえそんな、先輩たちと一緒でとても楽しいですしー――」
「俺たちに気を遣う必要はない」
「そうそう!あっ、勿論僕らもあーちゃんと一緒ですっごく楽しいし、すっごく嬉しいよ~!」
「そ、それはどうも…」
「……でもね、僕らはあーちゃんに心から楽しんでほしいなって思うの。どうかな?」
「…………皆さんは」
「うん」
「とても、仲が良いですよね。こうして皆で遊びに行って、皆で楽しめるくらいに」
「そうだねぇ~」
「ハルヒはドライだけど順応力はすごく高いので、ああやってすぐに馴染めているんだと思います」
「うんうん」
「……でも私は、そうじゃない。仲が良い人たちの間に入っていくのってすごく勇気が要るし、気が引けてしまうんです。だから、いつもハルヒ達に近づくのが、怖いんです」
「うん、そういう子は多いと思うな。それは別におかしいことじゃないよ~?」
「だとしても、私はこうやって先輩たちを利用して、どうにか気を紛らわそうとしているんです。ちょっとは頑張ろうって思って来たはずのに。ごめんなさい、お2人に失礼だと分かっているんです、でも……」
「ううん、良かった。ちゃんと分かってたんだね」
「ほ、本当に申し訳ないです……」
「あ、えっとね!僕たちのことじゃなくて、あーちゃんがちゃんと『寂しい』って自分で分かってたってこと!」
「……自分で」
「うん!きっとハルちゃんとお話し出来るのが一番だと思うけど……もしそれが出来なくって、『寂しいな』って思うことがあったら、いつでも僕たちの所に来てくれて良いんだよ~!」
「理由は何でもいい。俺たちは、こうして新と話せることが嬉しいからな」
「……な、何でそんなに優しいんですかぁ……己の醜さが浮き彫りになる……」
「そんなこと言わないで~!僕らはあーちゃんのことが大好きだから、いっぱい優しくしてあげたいの!ね、崇!」
「ああ」
「つ゛ら゛い゛……」
「ほらほら、ハルちゃん連れて来よう!」
「う、うう……」
―――――
「ハルちゃーん!」
「「あれ、ハニー先輩たち戻ってきた」」
「どうしたんですか?」
「あのねあのね!……はいっ、あーちゃん頑張れ!」
「……え、待って、どうしたの!?もしかしてまた泣いてる!?」
「えっとぉ……それについては、ごめんね?でも今はあーちゃんのお話を聞いてあげてほしいな」
「わ、分かりました。……新、大丈夫?」
「うん……あの、あのね、ハルヒ」
「?」
「ペンギン、見に行きませんか」
「……ペンギン?」
「ペンギン……」
「「ペンギン」」
「ペンギンかぁ~」
「……ふふっ、良いよ。ペンギンだけじゃなくて、色々見て回ろう?」
「……!うん!」
「えへへ、良かったねぇ~」
「……ペンギン、好きなのか」
「え、あ、えっと、はい!」
「ちょこちょこ動いてるの見てるの、癒されるよね」
「うん、かわいい……」
「ふむ、ペンギンが見たいならもう少し先のフロアだな。ショーも予定しているが、次の公演まではやや時間がある」
「そっか、じゃあそれまでのんびり見て回ろう」
「うん……!あ、そういえばサメのお肉って食べられるんだって。さっき銛之塚先輩が言ってた」
「た、食べるの……?」
「普通はあってもフカヒレくらいだよねぇ~」
「―――何だお前たち、随分と大人しかったじゃないか。珍しい」
「い、いや、あんなに嬉しそうな新を見てしまうと……ちょっと……」
「「同じく~」」
「しかし、お父さんでないとしたら、俺は一体何ポジションなのだろうか……」
「まだソレ気にしてるの?」
「そういえば新は、鏡夜先輩、殿、僕たちで兄弟って言ってた気がする」
「きょ、兄弟?」
「モリ先輩がお父さん、ハルヒがお母さん、ハニー先輩がおじいちゃんだって」
「ハニー先輩が、おじ……?」
「ほら、あのゆるーい喋り方とか、あと時々発言が大人っぽくて安心するよねーって意味で」
「……環もそうだが、新もまた妙な感性をしているようだな」
「ん、それだと新はどうなるんだ?」
「「自分では親戚の人って言ってたケド、僕らの妹ってことにした~」」
「…………ハッ、ならば俺の妹でもある……!?つまり俺は、新のお兄ちゃん……!!!???」
「まあそうなるな」
「……そうかそうか!新ーーーっ、今日から俺のことをお兄ちゃんと呼んでくれて良いんだぞ!!」
「ヒエッ、なななな何ですか突然!?」
「ちょっと先輩、邪魔しないで下さいよ。というか父はもう飽きたんですか」
「俺はハルヒの父であり、新の兄だ!すごいだろう!?」
「何でそんな設定増やしてるんですか……」
「……あっ」
「「だって新がそう言ってたんだもーん」」
「わ、忘れてほしいんですけど……」
「ウチの妹は、自分を『親戚の人』なんてポジションで距離を置こうとするから困ったものだな?」
「ひ、ひえ、鳳先輩まで……」
「ねえねえ僕らは~?」
「「お父さんとおじいちゃんとお母さんー」」
「お、怒らないで下さい……」
「ハニー先輩については、ゆったりしていて大人っぽい所がとても安心できるとのことで」
「ほんと?嬉しいな~!よしよし、かわいい孫にはいっぱいお菓子をあげようねぇ~」
「忘れて下さい……」
「モリ先輩がお父さんかぁ……。それはいいかもしれない」
「「「えっ」」」
「よし新、お母さんと一緒に行こうね。お父さんとおじいちゃんも」
「ご、ごめんってば、忘れてよー……」
「え、割としっくりくる気がするし、良いんじゃない?」
「あはは、楽しいねぇ~!」
「……というか、モリ先輩はどこに行った?」
「……あれっ、いない!?まさか迷子に……!!」
「「イヤ、モリ先輩なら迷子になってもすぐ見つけられるデショ」」
「……あ、崇おかえり~!」
「おかえりなさいお父さん」
「「お父さん、勝手にどっか行っちゃダメだよ~」」
「……!?よく分からないが……2人に、これを」
「え」
「自分もですか?」
「気に入ると良いんだが」
「…………!ペンギン!」
「わ、キーホルダーだ。良いんですか?」
「ああ。2人で、お揃い」
「ふふ、お揃いだって。こういうの、なかなか機会が無いから嬉しいな」
「……うん、私も!ありがとうございます、先輩!」
「ありがとうございます、大切にしますね」
「「……しれっとやっちゃうあたり、ほんとモリ先輩って感じ……」」
「くっ、俺もハルヒや新とお揃いにしたいっ……!」
「止めておけ。2人だけで同じものを持つことに意味があるんだろうに」
「それは分かっているのだが!うう……」
「……きょーちゃん、ハルちゃんに優しいのは知ってるけど、あーちゃんにもまたちょっと違う感じで優しいよねぇ」
「さて、どうでしょうね。まあアレは結構な危険物なので、放っておくにはやや不安な所はありますが」
「んな爆弾みたいな言い方しなくても」
「イヤまあ、確かに危険物といえば危険物かも……」
「こら、妹を悪く言うんじゃありません!」
「「……これが父なのもイヤだけど、兄っていうのもちょっとなー」」
「同感だな、こんな煩い弟はいらん」
「何故だ!!!!」
「妹は~?」
「「いる」」
「まあ悪くはないだろう」
「う、うわーーーーん、ハルヒ、新、兄弟たちがいじめるーーー!!」
「はいはい静かにしてくださいねー」
―――――
「全く、騒々しい」
「でもきょーちゃん、何となく嬉しそう」
「……気のせいでは?」
「そうかなぁ~」
「新がもう少しホスト部(ウチ)に馴染んでくれるのであれば、更に運営がしやすくなるでしょう。そういう意味では非常に喜ばしいですね」
「も~、きょーちゃんはそういうことばっかり言うんだから~!」
「性分なものでね」