幼馴染以上友達未満→?
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私はちょっとだけ不機嫌だった
幼なじみと喧嘩してしまったから
でもアレは完全に善逸くんが悪いと思う
「…謝ってくれるまで、許してあげないんだから」
けれど、少し言いすぎたかな…
でも…下心だけじゃ、あんな事できないよ…きっと
今朝私を助けてくれた男の子…
きっと、怖かったはず
だって…私を駅に下ろすために繋いでくれた手は震えていた
指先は冷たかった
加害者と私の間に入った時の顔は少しだけ青ざめていた
私だったら怖くて出来ない
きっと見て見ぬふりをしてしまうだろう
周りの人達もきっとそうだったと思う
だから助けてくれた時、とても…
とても嬉しかったの
怖くて怖くて…身動きも取れなくて、声も出ないから助けも呼べなくて…
ただ我慢するだけの自分が情けなくて…
何も出来ない事が悔しくて…
いっそ、声を出して泣いたら誰か気づいてくれるかな…なんて考えてた
もしもあの時、電車が揺れなかったら…
もしもあの時、同じ電車に乗ってなかったら…
そう考えると、今朝の事は奇跡に近い確率だったに違いない
「…また…会いたいな…」
明日も、電車に乗ったら…会えるかな。
ちょっと怖いけど…
貴方に会えるなら…
「…あ、やっぱり!ねぇ、君!今朝の子だよね!?
あの、俺の事覚えてる!?」
「…、え」
若干ニヤケながら歩いていると、突然呼び止められて、見覚えのある制服の男性に道を塞がれた。
屈んで顔を覗き込んできたその人は…
「え、あ…善照、さん?」
会いたいと思っていたその人本人だった
「うわぁ!名前覚えててくれたの!?
ふふ、嬉しいなぁ!!」
わぁ…笑った顔…なんだか幼くて可愛いなぁ…
そんな事を考えていると、またしても善照さんが目の前から消えた
…デジャブ?
「アンタ…いきなり走り出したと思ったら…ナンパとか…ふっざけんじゃないわよ!?」
「け、今朝と同じ所蹴ったぁ…!!
ナンパじゃねーよ!!」
善照さんは腰を擦りながらよろよろと立ち上がる
ふらついているので咄嗟に駆け寄って支えた
「だ、大丈夫ですか?」
「ふぁ…ありがとう…優しい…いい匂いがする…うへへ…」
「きもっ…ちょっと貴女、こっちに来なさい。
変態と一緒に居ると何されるか分からないわよ」
お姉さんに手を引かれて善照さんから遠ざけられた…
うわぁ…近くで見ると益々…
「可愛い…」
「えっ?」
あ、声に出てしまった。
でも小柄で華奢で長い黒髪はとても綺麗で、大きな瞳もとても魅力的で…
可愛かったんだもん
「うん。燈子は可愛いよ」
「カナタ!嬉しい!!」
おぉ…二人の世界
ピンク色の背景が見える気がする
「いてて…ごめんねぇ…騒がしくて…
あ、あのさ…時間大丈夫ならそこのファミレス入らない?
その…自己紹介も兼ねて…ね?」
「は、はい!大丈夫です!」
「よかった…おい!そこのバカップル!!ファミレス行くぞ!!」
そう言いながら善照さんは私の手をとって歩き出した
うわぁ…うわぁ…!
さ、さり気なく手を引かれてしまった…!
あ、今度はちゃんと温かい…よかった…。
カラン、と扉をくぐると…いらっしゃいませー!とウェイトレスさんに席に案内される
お姉さんと男の子
私と善照さんが隣同士で席に着いた
「…此処お冷とおしぼりセルフなのよね…アンタ1番近いんだから持ってきなさい」
「なにそれ理不尽!」
「あ、あの…私が」
「行ってきます!!」
あわわ…さっきから善照さんがろくな目にあってないような…
「ねぇねぇ、貴女…電車でアイツに助けられたって本当なの?
あ、私は我妻燈子!よろしくね!で、こっちのかっこいい彼が…」
「竈門カナタ。よろしく」
「あ、私は夢主と言います!よろしくお願いします!」
「ちょっと!俺が居ない間に自己紹介始めてるってどういう事!?
ずるい!!」
私が軽く会釈して名乗ると同時に善照さんが戻ってきた
「俺は…今朝も名乗ったけど我妻善逸だよ。よろしくねぇ夢主ちゃん」
「はい。よろしくお願います。善照さん」
ニコニコと笑う善照さんを見ると、こっちまで笑顔になる
善照さん…不思議な人
「ニヤニヤして…アンタ本当に気持ち悪いわね…」
「善照くん…あまり女の子にデレデレしすぎない方がいいよ」
「うるせー!!バカップルが!!爆発しろ!!!」
「は?」
「すみませんでした」
「ふ、…ふふっ」
3人のそのやり取りを見て思わず吹き出してしまった
3人ともポカン…とこちらを見ている
わ、笑ったりして失礼だよね
「あ、すみませ」
「貴女も笑うと可愛いじゃない」
「うん。可愛い。でも燈子が一番可愛いよ」
「やぁだ〜カナタ!ありがとう!!」
仲良いなぁ…燈子さんと竈門くん
見るからにお付き合いしてる風だよね。
見てて楽しいな…。
「…本当にごめんね…夢主ちゃん…こんなうぜぇ光景見せるために誘った訳じゃ決してないんだよ…
俺、君とあの時限りの出会いにはしたくなかったんだ…
また会えたらな…って、もっと仲良くなりたいなって思ってた。
だから、俺と…友達になってください!」
っ…男の子に面と向かってそんなこと言われたの初めてで…心臓がドキドキする…
「わ、私で良ければ…こちらからもお願いします!
是非お友達になってください!!」
「あ、じゃあ私も。」
「僕も。よろしく」
「はい。コレLINEのIDね」
「は、えっ…はい!ありがとうございます…!」
あわわ…お、お友達が一気に3人も…!
燈子さんに関してはLINEまで…
いいのだろうか…
「あー!!ちょ、姉ちゃんずりぃ!!
俺も!!俺ともLINEしよう!!?」
騒がしくしすぎてウェイトレスさんにやんわり注意されつつ、飲んだり食べたりおしゃべりしたりしていたらあっという間に外は暗くなってきていて、今日はお開きとなった。
「それじゃ、夢主LINEするわね」
「うん!待ってるね!燈子ちゃん!」
私と燈子ちゃんはすっかり仲良くなって、ファミレスを出る頃には名前で呼び合うようになっていた。
「燈子…友達が出来て嬉しそう。よかった」
「あの二人…すっかり仲良くなっちゃって…俺のが先に夢主ちゃんと会ったのにさ…」
「…善照くんは、あの子の事…好きなの?」
「へっ?」
「あれ?違うの?」
「…そりゃ、付き合えたりしたら嬉しいけど…
それはもっとあの子の事を知ってからのがいいかなって…」
「…善照くんは後先考えずに突っ走って勢いであの子に告白とかしちゃうと思ってた。ごめんね」
「お前は俺の事をなんだと…だが、否定できないのが悲しい…」
「善照さん、竈門くん…、?どうしたの?」
「なんでもないよ。もう帰るの?気をつけてね」
「あ、はい!今日はありがとうございました!
とっても楽しかったです!!
あの、善照さんも…声をかけてくれて…ありがとうございました!」
「…こちらこそ、いきなりファミレスとか…ごめんね?
後でLINEするね!」
「はい!待ってます!!」
「…ねぇ、カナタ…あの二人…どう思う?」
「…こうして見ると、付き合いたての初々しい恋人同士に見えるね」
「…はぁ…善照は兎も角…問題は夢主よね…コレで彼氏がいたら目も当てられないわ」
「僕はあの二人…お似合いだと思うな」
「そうねぇ…」
さようならと別れたあとも、顔がニヤケてしまうのが自分でもよく分かる
「えへへ…嬉しいな」
家に帰った後も燈子ちゃんと善照さんとLINEのやり取りをして、若干寝不足になったのは…ここだけの秘密です
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