雷一門の兄弟子に成ったんだが
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俺が其れを思い出したのは…
激しい轟音と…
眩しい稲光と…
師範が彼を呼ぶ叫び声を聞いた瞬間だった
違和感はあった
既視感もあった
俺は其れを知っていたはずなのに…どうすることも出来なくて…思い出した時にはもう全部事が起こった後だった。
くそっ…!!
もっと早く気付いていれば、善逸は雷に撃たれる事はなかったかもしれないのにっ!!
雷に貫かれた木は真っ二つに裂け、煙が出ていて…
焼かれた大地にはチラチラと火が燃えていて焦げ臭い臭いが充満している。
俺は走った
雷が落ちたばかりの地面はビリビリと電流が流れて居るかのように肌を刺激したが、そんなモノ気にしてる余裕など無い。
優先すべき人物の意識は無く、頭から真っ逆さまに落ちてくる。
「っ間に合え…!!」
既の所で善逸を受け止めてホッとしたのも束の間…
彼の着物は焦げ、肌は酷い火傷が目立つ。
早く手当しなくては…。
「善逸、善逸…!しっかりしろ!!」
脳天から雷が直撃したのだ。
普通ならその瞬間死んでいる。
…そう、普通なら。
疑問に思っていた事があるんだ。
原作では分かりづらかったけど、アニメを見て不思議だった。
師範が善逸に言った言葉…
誰よりも強靭な刃になれ
アレは‘いつ’言ったんだ?
もしかして、落雷の後善逸は目を覚ました?
それから、師範の…あの名言に繋がるのか?
「…善逸…」
傷に障らないようにそっと頭を撫でる。
キラキラ輝く金の髪…
すげー…見事に染まってるな…。
元から金髪だったみたいに根元から金色になっていた。
雷に撃たれて金髪になるって…どんな原理だよ…。
「ん、…兄…ちゃ…ん?」
「善逸!!」
「無事か!善逸!!」
傍に来ていた師範も、ぼんやりと目を開けた善逸にホッとした様子で息をついた。
善逸は師範を見るなりハっとなって、もそもそと俺の腕から抜け出し師範の目の前に正座した。
「じ、じいちゃ…おれ…ごめ」
「いいんだ善逸。お前はそれでいい。一つ出来れば万々歳だ。」
善逸の頭に手を置き、諭す師範
「一つのことしかできないならそれを極め抜け
極限の極限まで磨け」
あぁ…やっぱりコレ、名言だよなぁ…。
言われた本人でない俺でさえも心に染み入る。
…あっ、ちょっ…!!
師範!!あまり強く頭叩かないであげて!!
怪我人だから!!!
「善逸、極めろ
泣いていい、逃げてもいい
ただ諦めるな
信じるんだ
地獄のような鍛錬に耐えた日々を
お前は必ず報われる」
善逸は顔を上げ涙で滲んだ瞳で師範を見つめる。
「極限まで叩き上げ、誰よりも強靭な刃になれ!」
その後善逸はボロボロと泣いた
普段なら大声で泣き喚いているのに…その時はやけに大人しく声を上げずに涙を拭いもせずに…
只々静かに泣いていた。
「…善逸…怪我の手当をしような。あと、暫くは休んだ方がいい。雷に撃たれたんだ…立てるか?」
ジっと座っているままの善逸に手を差し出すと、俺の手を取ろうとして…そのまま倒れ込んできた。
慌てて受け止めたが、既に意識は無く息遣いも荒い。
「「ぜ、善逸ーーーー!!!!」」
今度は俺と師範の声が綺麗にハモった。
「うわあああーー!!!師範が善逸の事ボカスカ殴るからあぁーーー!!!!」
「喧しいぞ!獪岳!!言っとる場合か!!」
2人して慌てふためき、発熱したであろう善逸の為に氷を用意したり、薬を買いに走ったりと大忙しだった。
そうして師範と交代で看病をして…
容態が落ち着いた頃には善逸の熱も下がり、暫くして目を覚ました。
それからは騒がしかったな…。
身体中痛いだのお腹空いただの…
師範がブチ切れそうだったので、後は俺が見てるからと師範を善逸から遠ざけ、ベソベソと泣いている善逸と向き合う。
「…善逸…早く怪我を治して元気になってくれ。
修行を頑張るってお前自分で言っていたじゃないか。」
「うっ…うえぇ…!俺だって、がんばったんだよぉ…」
…うん。そうだな。
「…知ってるよ善逸。
俺は…見てたからな…お前が頑張ってる所を。」
ずっと、ずっと見ていた。
ずっと見てて、もどかしかった。
なんでこんなにも頑張っているこの子を誰も褒めてあげないんだ
付き合っていた7人もの女の子達は…この子に貢がせて何も思わなかったのか。
使えるだけ使って…手も握らせて貰えないなんて…あんまりじゃないか。
…早く…この子を心から愛してくれる子が現れますように。
善逸とその子が…幸せになれますように…
俺は、祈らずにはいられなかった。