雷一門の兄弟子に成ったんだが
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「え…善逸が…帰ってこない?」
なんでだ。
朝見送った時はいつも通りだったけど…。
俺は今日休みを貰っていたのだが、一緒に行けば良かったかな…。
ゴロゴロしてるのもアレだし…俺はほぼ一日街に下りていたのだ。
「あら!獪岳ちゃんじゃない!!この間はありがとうねぇ〜。
アンタが手伝ってくれたおかげで本当に助かったよ!!」
「そうか。役に立てたなら良かった。」
それは数日前のこと
この豪快な奥さんは1人で漬物石を運ぼうとしてぎっくり腰になってしまったらしく、丁度店の前で蹲っていたから医者まで運んでやったんだ。
その時は旦那さんが隣街に行ってたらしく店が心配だと戻ろうとしたので、代わりに俺が店番をする事になった。
客足は午後から忙しくなるみたいなので、少しの間でいいから店にいてくれとの事。
俺も暇といえば暇だったし…了承したのだ。
…したのだが…
「あらまあ!獪岳さん!どうしたの?お店番?
…え?八百屋さんぎっくり腰になっちゃったの?
それで獪岳さんが店番受け持っているのねぇ…。
それじゃあ、何か買っていこうかしら…山菜と茸が沢山あるのね…コレ、いただける?」
「あ!獪岳お兄ちゃんだ!
お母さん!!あのお兄ちゃんが助けてくれたお兄ちゃんだよ!!」
「あなたが獪岳くん?
先日は木から降りられなくなったこの子を助けてくれたみたいで…ありがとうございました。
お家のお手伝いなんて…偉いわねぇ…。
ウチの上の子なんて何一つ手伝った事なんてないのに…
え?お家じゃないのに手伝ってるの!?ますます偉いじゃない!!」
「お母さん!僕瓜食べたい!!」
「そうね…じゃあせっかくだから一ついただこうかしら。」
「おう獪岳!!この間はありがとな!!
お前さんが屋根の瓦直してくれたおかげで雨漏りしなくなったぜ!!
…ん?お前店番してんのか?八百屋の夫婦はどうした?
…はぁ?旦那が隣町に行ってる上に奥さんがぎっくり腰で今医者に居る!?
…そいつァ大変だな…。
よし!俺も何か買ってくか!
そこの大根を貰おう!!」
…えっ…待って
なんでこんなに人が集まって来てんの?
もしかしなくても俺のせい!?
特に変わった事はしてないよ??
子供を木から下ろしてやっただけだし、屋根の雨漏り直したのだって、割れてた瓦を新しいのと交換しただけで、大工さんがやるような大掛かりな事なんて何もしてないし
皆大袈裟すぎじゃないかな???
そして似たようなことが何回か続いて…
「…あら、まぁ…」
「これは…一体…」
あ、奥さん。腰大丈夫だった??
旦那さんとも会えたんだな。
2人ともおかえりー。
「…なんか…その…すみません?」
今日に限ってお客さん沢山来ました。
…俺のせい、らしい…。
店のものは殆ど売れてしまった。
店先はガランとしていて結構寂しくなってしまっている。
…ほんっとすみません…。
「何いってんだい!ありがとさんだよ!!
こんなに綺麗さっぱり売れたのなんか初めてだわ!!
…コレ…売れ残りだけど持って行っておくれ!!」
「は、いやいや、ちゃんと金を…」
「いいからいいから!!
こんなんじゃ足りないくらい今日は助かったんだからさ!!」
「本当にありがとうな、獪岳。助かったよ。」
「………ども」
こんなに言われてるのに突き返す方が感じ悪いだろう、と色んな物を無償で貰ってしまった。
ーーーー……。
「今日は甘い無花果が入ってるよ!!
桑島さんとお弟子さんと一緒にお食べ!!」
無花果か〜…俺食べた事無いんだよな…。
善逸甘いの好きだし…今日も修行頑張ってるみたいだからな…。
買っていくか。
「…コレ幾らだ?」
「嫌だねぇ〜!あげるに決まってるじゃない!!
アンタにはそれだけ恩があるんだからさ!」
…奥さんはカラカラ笑いながら俺の背中をバシバシ叩いてくる。
…おっふ…いたい…調子は良さそうだな…。
てか、またかよ…。
タダで何回もとか…赤字にならない大丈夫??
そして、八百屋さんに限ったことじゃないが…この街の人達は少し…いやかなり大袈裟じゃね??
誰でもできる事しかしてないよ?俺。
草むしりや掃除を手伝ったり
年寄りの荷物持ちしてやったり
飛んでった洗濯物取ってやったり…。
本当に誰でも出来る事よ??
この街の住人ちょろ…いや、なんでもない。
そして冒頭に戻る訳だが…。
奥さんと別れた後色々と見て回って、帰る頃には夕方で…家に着いた時には外は真っ暗…
それなのに善逸が未だに帰って来ないらしい。
この辺りは師範のおかげで鬼は滅多に出ないらしいが…万が一と言うこともあるし…。
迷子…は、いくら何でもありえないよな…。
………まさか…修行が嫌すぎて逃げ…いやいやいやナイナイナイ
確かに善逸は泣き虫で甘ったれで痛いのや怖いのや努力が嫌いで女の子大好きなお調子者だけど、やれば出来る子だ。
俺は其れを誰よりも知っている。
だとしたら…怪我して動けないのか?
「…師範…善逸の修行は山を上まで登って下りてを繰り返すものでしたよね?一本道をひたすら」
なんてことない単純なものだ。
ただ…朝から晩まで繰り返し行うベリーハード形式だけどな。
でも走れなくなったら歩いてもいいし、昼飯は勿論休憩もある。
今日は弁当も飲み物も持たせたし…。
無理だと感じたら家に戻ってくればいい。
俺が首を傾げていると師範は少し気まずそうに目を逸らしながらとんでもない事を暴露した。
「…鱗滝の修行をちぃとばかし取り入れてみたんじゃが…彼奴にはまだ早すぎたかの…」
……ん?いまなんて??
「え、鱗滝…左近次さん?水の呼吸の…??」
「うむ」
まさか…炭治郎さえも苦労した…アレ?
落とし穴やら丸太やら…他にも物騒な罠が盛り沢山な…あの修行??
炭治郎ですら苦労しまくってたのに…善逸がそんな罠だらけの山を降りられる訳ない!!
いや、眠ってる方の善逸ならワンチャンあるけど!!!
あぁ、もう!!考えてるのも惜しい!!!
「師範!!善逸探してきます!!夕餉は帰ってから作りますから!!!」
とりあえず…
善逸…死ぬな!!!!