雷一門の兄弟子に成ったんだが
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ゾクリと感じた怖気
繋がれていた善逸の腕を引っ張り、庇うように抱きしめたと同時に、耳元で聞こえた風を切る音と肩から背中に掛けて走った痛み
衝撃で倒れそうになった俺を震えるその手でしっかりと支えてくれた善逸。
…ちょっと前までは、一緒に倒れ込んでただろうに…
強く、なったんだなぁ…
そんな場違いの感想がぼんやりと頭をよぎる。
「兄ちゃ…兄ちゃん!!」
あぁ…もう…お前は本当に泣き虫だよな…
そんなんじゃ、その内…目が溶けちゃうぞー…。
「オマエ、黒髪のオマエ!!この前はよくも邪魔してくれたな!!
もう少しで子供食えたのに!!
オマエが、オマエが邪魔したせいで!!
喰ってやる…オマエも、そのガキも!!今度こそ!!」
あァ…?キイキイうるせーな…
子供?しらねーy…あ、幸太の事か?
え、あの時はコイツ幸太と同じくらいの背丈のチビ鬼だったのに…
今は善逸と同じくらいだ。
…人を喰って成長した?
血鬼術とか使えるようになってたら厄介だな……、あー…クソ…痛みが酷すぎて思考がボヤける…、
「…っぐ…ぅ…っ!!
…っは、ぜん…いつ…しはんと…カナエ、さんを…呼んで…くる…んだ…、俺が…は、時間をかせぐ…」
ふらつきそうな身体を無理やり踏ん張る。
力を入れるだけで背中が焼けるように熱く、ボタボタと血が落ちていくのが嫌でも分かる。
「む、無理だよぉ…俺一人でなんて…!!
兄ちゃん、俺背負って逃げるから…一緒に「善逸」っ!!」
泣きながら言う善逸の名を強めの声で呼ぶ
今は…今だけは…泣くな。頑張れ。
炭治郎のセリフと被っちゃうけどさ…
「大丈夫。お前は…やれば出来る子だ。
頑張れ善逸。がんばれ
…例え世界中の皆が…
…お前自身が、お前を否定しても、俺と師範だけは我妻善逸を信じる。
ずっと、信じてる。
家族だからな」
だから、大丈夫。
「っ…そんな…お、おれ…、っ…ひぅ…」
「うぉい!?マジか!!?気絶しちゃうの!!?えっ今!!??」
あ、俺が言った言葉のせいで頭パァン!!しちゃったのか…
ごめん…でも、鬼は待ってはくれないんだよな!!
ーギン!!ー
師範から借り受けた刀を鞘ごと腰から抜き、振り下ろされた鋭利な爪を受け止める。
俺は木にもたれかかっている状態で腹にはくたり、と倒れ込み気絶中の善逸が居る。
…ヤバくない?コレ積んでない?
俺は痛みで上手く力が入らないし…
血を流しすぎてそろそろ意識がヤバい…。
「っぐっ…!!」
この子、だけは…っ守らないと…!
ーピリ……バチ!ー
静電気みたいな音と、張り詰めた雰囲気に鬼は弾かれたように飛び退く。
モゾりと動いた善逸の瞼は硬く閉ざされている。
「…善逸」
「…もう大丈夫。…刀…借りるね」
善逸は鞘ごと刀を腰に差し、俺の前に出る。
「…前に…教えたよな?
俺は、壱ノ型…だけが、使えない…、はぁ…アイツ…あの鬼の動きは素早い…だから、…一撃で…決められる壱ノ型しか…通用しない…、っ…」
「うん。」
「姿勢は低く…片脚に重心を置いて…もう片方の脚はすぐに踏み込めるように伸ばして
吐き出す息は長く…右手は直ぐに引き抜けるように…刀に添えて…
そのまま…」
善逸は俺の言葉通りに動き、息を吐き出し…
そして落ち着いた声だけが辺りに響き渡る
「雷の呼吸…壱ノ型…霹靂一閃」
ドン!!!
と、目の前で光が弾けて次に目を開けた時には鬼の頸は宙を舞っていた。
「くそ…クソクソ!!オマエだけでもコロス!死ね!!!」
「善逸!!」
体だけで動いた鬼は鋭い爪で善逸の脇腹を引き裂き、そのまま塵となって消えていった。
「っ…」
ドサッと善逸は倒れ込み、俺はと言うと…既に目の前はボヤけ、指一本も動かせない。
…あぁ…くそ…!肝心な時に役に立たないとか…何なんだよ…俺は…
守る、なんて言っておいて結局怪我させて…最後には善逸に守られて…
悔しくて、情けなくて…暗転とは別に視界が歪む。
ごめん、な…
意識が完全に落ちる直後…此方に走ってくる人影を見た気がした。