雷一門の兄弟子に成ったんだが
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
怖い音がする…
ドクンドクンと…気持ち悪くて怖い音…
人間の鼓動とも動物の鼓動とも違う…
そんな怖い音がどんどん近づいてくる…
嫌だ…怖い…!
嗚呼…じいちゃんから離れるんじゃなかった…
無理やりにでも一緒に帰れば良かったんだ…!!
どうしよう…こわい怖い…怖い怖い…!!
「善逸」
硬く握りしめていた手をやんわりと握ってくれたそれに、はっ!となる。
…俺より大きくて…暖かくて…安心する、兄ちゃんの手。
兄ちゃんは少し屈んで俺と目線を合わせてくれて、いつもしてくれるみたいに両方の掌を俺の耳に押し当ててくれて…
それだけでさっきまでの怖くて気持ち悪い音が兄ちゃんの音に遮断されて無意識に詰めていた息をはっ…と吐き出す。
それと同時にぼろり、と涙が零れた。
兄ちゃんは掌をゆっくりと離して今度は最初と同じように俺の手を握ってくれた。
「…善逸…何か聴こえたのか?」
「…っあ」
そう、そうだ…
怖いモノが追いかけてくるんだ。
だから…だから、早く…!!
「か、帰ろう…兄ちゃん、家に…は、早く…!!怖い…へ、変なんだ…何かが俺達の後を着いてくる…
でも、人じゃなくて…動物の音でもなくて…気持ち悪い…怖いよぉ…!
兄ちゃん…お願いだから…早く…早く…!」
そう言いながら兄ちゃんの手をグイグイと引っ張って走る。
ここに来た当初は山の斜面や色んなところでつまづいていたのに…今ではスルスルと走り抜ける事が出来るし、飛ぶように景色も変わっていく。
俺、初めて修行してて良かったって思えたわ。
今はそんな事どうでもいいんですけどね!!
もうやだあぁぁぁぁ!!!
じいちゃん今すぐ助けに来てよぉぉぉ!!!
何処にこんな馬鹿力があるんだってくらい高速で走る善逸。
速い…風圧すごい…
だって俺自分で走ってないもの
例えるならアレだ
風になびく鯉のぼりみたいな感じだ。
ただのお荷物じゃないですかやだー
もうすぐ林を抜け、家が見えてくる…
善逸は安堵したのか、走るスピードを緩めた。
緩めてしまった。
そのおかげで俺の足は地面に着いたけど…
緩めるべきじゃ、なかった
木々を伝ってきたのか、鬼は善逸の眼前に降りたち、道を塞がれてしまったのだ。
そして…
「っ善逸!!」
「え…」