雷一門の兄弟子に成ったんだが
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俺がニヤニヤしながら歩いて行く兄弟の後ろ姿を眺めていると善逸がポツリと呟いた。
「…嬉しそうだね…兄ちゃん」
「ん?…まぁな…やっぱり弟が嫌いな兄貴なんて居ないんだな〜って」
何それ。と笑う善逸。
…お?これは、機嫌直ってきたかな?
「…それはそうと、兄ちゃん。
俺は確かめたい事があります!」
「…うん?なんだよ…改まって…」
…嫌な予感しかしない…
だってこの子目が据わってるんですもの。
「兄ちゃん。誰でもいいから女の子に結婚を申し込んできてよ!いつも俺がしてるみたいに!!」
「はぁ!?なんでだよ!!?」
好きでもない子に告白とか…ホントなんで!?
会って第一声が結婚してください!なんて…確実に変態扱いされるだろ!!
「…ご褒美くれるって言ったじゃん」
「…善逸にとって女の子に求婚して振られる俺を眺めるのがご褒美になるのか…」
いつからそんなSな子になったんだ…お前は…
「ちっがうわ!!老若男女問わずモテまくる兄ちゃんでも初対面の女性に求婚したら断られるんだって分かれば俺は自信が持てるんだ!!」
…なんだそれは
発想がおかしい。
ぶっ飛びすぎじゃないか…
思わずため息が出そうになった瞬間…
見た事のある後ろ姿が目に写った。
…あの人なら俺の意図を汲んでノリノリで会話してくれるだろう。
「…誰でもいいんだな?」
「うん!!女の子なら誰でも!!」
…全く…この子にはちょっと痛い目を見てもらおう。
「…あの、お姉さん…ちょっとよろしいですか?」
「!…はい。なんでしょう?」
「俺と結婚を前提に御付き合いしてくれませんか?」
相手の女性は一瞬ポカンとした顔になった。
…まぁ普通はそうだよな…。
だが、彼女はニッコリ笑いながら言う。
「えぇ。私で良ければ喜んでお受けします。」
「…はああぁぁーー!!?嘘でしょおぉぉ!!??」
…ぶは!!
思った通りの反応だな。
「ふ、っくく…善逸…この人は胡蝶カナエさん。
…前に話しただろ?
俺が師範に弟子入りするきっかけになって…強い鬼を追っ払う手助けをしてくれた…俺の命の恩人だよ」
「え、あっ!この人が!?
えっ!じゃあ知り合いじゃん!!
狡いぞ!兄ちゃん!!」
「うふふ。こんにちは獪岳くん」
ニコニコと笑顔のカナエさん。
そして隣に居る女の子が一歩踏み出して挨拶をしてきた。
…原作やアニメで見たような微笑んだ表情ではなく、ツリ目がちな少しだけ呆れを含んだ表情。
…うん。言い方は悪いが、あの貼り付けたような笑顔よりも、彼女には此方の表情のが似合ってるな。
「はじめまして。私は胡蝶しのぶと言います」
「こんにちはカナエさん。ご無沙汰してます。
こんにちは。胡蝶しのぶさん。
話はカナエさんから聞いてます。…色々と」
耳タコになるくらい妹自慢を。
「…姉さん?彼に何を言ったの?」
「可愛いしのぶの話をしたくて!私、獪岳くんとはお友達なのよ!」
「うん。…柱様と友達とかいいのかって思うけどな…」
まぁ、ともあれ…久しぶりに会ったのに第一声があんなんですんませんでした。
「に、兄ちゃんっ…!」
「おっ、と…な、なんだよ?」
「あんな可愛くて美人な姉妹と親しいとか…!羨ましすぎるんですけど!?
俺なんか女の子の知り合いとか一人もいないのに!!」
ちょっと離れたところに連れてきてボソボソと何を言うかと思えば…。
「…善逸は泣きながら女の子に縋り付くから印象悪いんじゃないか?
面と向かって堂々とお願いするとか…」
全部言い終わってないのに善逸はバビュン!と、しのぶさんの所に戻ってその勢いのまま告白し…
「あの!俺と結婚してください!!」
「寝言は寝てからどうぞ」
バッサリと一刀両断された
「ひぇ…辛辣!!ダメじゃんか!!兄ちゃんの嘘つきいぃ!!」
「お前な…
断られるに決まってんだろ。
あと人の話は最後まで聞け。」
「…じゃあ兄ちゃんも言ってご覧なさいよ!!どうせ断られないんだろ!知ってんだかんな!!」
あー…もう…この子は…
そんなに俺が振られるところが見たいのかよ…!!
俺は半ばヤケクソでしのぶさんにもカナエさんと同じように言った。
「…あー…胡蝶しのぶさん…俺とお付き合いしてくれませんか」
「結婚を申し込まなかったのは評価します。柱になってから出直してきてください」
はい。初対面なのにホントすみませんでした。
「ほら善逸。俺も振られたぞ」
「柱になったら考えてやるって事だろ!!なんで俺と兄ちゃんで対応に差があるの!?」
「…貴方…善逸くん、でしたか?
言い慣れてる感があるんですよ。他の女の子にも同じ事言ってるんじゃないですか?」
「うぐっ…」
「そんな事を続けていると…誰からも見向きをされなくなりますよ?
あと、獪岳さん?」
「ファ!?」
善逸を懇々と叱っていたしのぶさんは俺の方をキッと睨みつける
え、俺も説教されんの!?
「そういう台詞は一人にだけ仰ってください。
冗談だとしても、見てて不快です。」
「ア、ハイ…スミマセン」
正論です
申し訳ありませんでした。
「貴方は先程姉さんに結婚を申し込んでいましたね?
複数の女性に求婚するのはどうかと思いますよ?」
「は?…いや、アレは…」
「あら、獪岳くんたら。
貴方の婚約…私はお受けしますって言ったわよ?」
…カナエさん…随分と楽しそうで…
あまり弟をからかわんでくださいな。
善逸が青ざめた顔で俺とカナエさんの顔を交互に見る。
…元を辿ればお前の所為でもあるんだからな?
「…アレは冗談ですから。
そもそも告白とかするなら俺は2人っきりの時にします。
初対面で…しかも公衆の面前でそんな事言ったら、あっという間に噂になるだろ…さすがに恥ずかしい
あと俺は付き合ってもいない女性に結婚を申し込んだりなんかしない。
相手に失礼だ。」
「獪岳さん獪岳さん…弟さんが」
「は?…え!?善逸!??
…あっ!!違うぞ!?
別にお前の事誰彼構わず結婚申し込んでる軽いヤツとか思ってないからな!?」
「ぐはっ…」
「…獪岳さん…トドメさしてますよソレ」
なんでだーー!!?
否定したのに!!!
ーーーー………
あれから色々あって、やっと落ち着いた。
主に善逸が。
「…じゃあ、2人がこの町に来たのは鬼の出没情報が知りたくて、か?」
「えぇ。この辺りに鬼が出たと情報があったの。
だから桑島さんにお話を伺いたくて来たのだけれど…」
「先程お家を尋ねたら留守だったので…町の方に居るのかと思って来たんですよ…まだ会えてませんけど。」
…マジか。すれ違いだな…
それは間が悪かった…。
「あー…師範なら鰻屋だと思う。」
「鰻屋?」
「まぁ、何かお祝い事?」
「あー…、その…」
言っていいのか?コレ
そう思って善逸をチラリと見る
困ったように笑って頷く…
あ、いいんだ。
まぁ、隠すような事でも無いか
「…実は善逸が雷に撃たれて」
「「雷!!?」」
ハモった。
さすが姉妹
「あぁ…うん。それで元は黒髪だったんだが、こんな色になってな…」
そう言ってわしゃわしゃと横の金ピカを撫でる。
「わっ、っちょ、に…獪岳っ!やめっ…!」
…善逸は何故か師範以外の人前では俺の事獪岳って呼ぶんだよな…。
兄ちゃんて呼ぶの恥ずかしいのか??
まぁ俺は呼び捨てで定着してくれた方がいいんだが。
「まぁ、そんな訳で…火傷とか熱とか先日完治したから、本人の一番食いたいものでお祝いするんだ」
「そうだったの…」
「…雷に撃たれて生きてるなんて…ありえ無い…
脳に異常は?後遺症は無いんですか?
怪我は本当に完治してるんですか?」
「ヒェ…!ナ、ナイデス!!ナオッテマス!!」
おお…善逸がしのぶさんに体やら顔やら触られて照れてる
自分では女の子に迫れるけど
女の子から迫ってこられると途端に弱くなるよな…この子
そうして騒がしくしていると後ろから声を掛けられた。
「獪岳、善逸…何じゃ2人ともこんな所で…」
「!師範」
「あ、じいちゃん!」
「善逸、師範と呼べと…、はぁ…
…で、そっちのお主達どうしたんじゃ?
姉妹揃って…何か用かの?」
あ、師範が半ば諦めてる…
「はい、桑島様にお話が有りまして…」
「…ふむ…長くなりそうじゃな…ではそこの店で話を聞くとしよう。
…獪岳、善逸…お前達は先に家に帰りなさい。」
そう言って師範は胡蝶姉妹と店に入っていった。
「…帰るか。」
「…うん…あのさ…鬼…出るのかな…だって、カナエさんて柱なんでしょ?
そんな人がじいちゃんに会いに来たってことは…」
善逸は顔を真っ青にしながら羽織を握りしめた。
…まぁ、そうだよな…
柱がわざわざこんな所まで来るってことは…それなりに強い鬼なんだろう。
「…大丈夫だ善逸」
何があっても、俺がお前を守ってやる。
俺はそのために強くなったのだから。