雷一門の兄弟子に成ったんだが
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まだ日が昇らない早朝…
俺は今雇われている店の裏手で、前日溜まったゴミを出していた。
路地裏の人通りの無い道…その道向こうで叫び声のようなものが聞こえた…気がした。
なんだろうか、と覗いてみると…
二人の男性が居た。
…ん?…うわ、ちょっアレって童磨じゃない?
血を被ったような頂頭部…
虹の様な瞳の色…
そしてその瞳には上弦の弐の文字
…決定打だな
何か近寄るのもおっかない雰囲気…
あ、襲われてるのって鬼殺の隊士じゃね!?
やばい!!でも俺が出て行ったとしても何が出来るって云うんだ…
「ひぃぃ…!!だ、誰か…たすけてっ…!!」
「怖がらなくても大丈夫だよ。
俺が直ぐに極楽へ連れて行ってあげるからさ。」
あ〜…くそ!もうどうにでもなれ!!
俺はその辺に落ちている石を引っ掴んでそいつの顔目掛けて投げ飛ばした。
童磨と思しき鬼は隊士の胸ぐらを掴んでいた手を離し、難なく石を受け止めた。
「あれ?キミは誰だい?」
「ひっ…ひぃぃーー…!!!」
童磨が此方に顔を向けた隙に鬼殺隊士は手に持っていた刀をカシャン!と取り落として一目散に逃げ出した。
…マジかよ!?
「あ〜あ…君の所為で逃げられちゃったじゃないか。」
「っ…」
「ねぇ…代わりに君が俺と遊んでくれるのかな?」
その鬼は鉄扇で口元を隠し、虹色の目を細めて笑う。
まるで目の前の獲物がどう出るか見定めるように。
「………」
迂闊に動いたら、死ぬヤツだこれ
コイツ、ニヤニヤ笑ってるけど隙が全く無い
どうする…このままジリ貧で居続けることなんて不可能だ。
一か八か動いてみるか…
そう思ったその時…
「小僧!刀を拾え!!」
「!?」
その声が体にビリビリと響き渡って、気付いたら隊士が落として行った目の前の日輪刀を素早く拾い、構えていた。
てか、刀重っも…
なんの訓練もしてない子供が持つもんじゃないよな
ザッ!と現れたのは、まさかの人物…
なんで…この人がこんな所に…
俺を庇うように背を向けたのは
元鳴柱、桑島慈吾郎その人だった。
「…何かと思えば、老いぼれ一人が助っ人に入って俺に勝てると思っているのかな?
…俺はそんなに弱いつもりは無いよ?」
口元を隠したまま童磨は嗤う
周りの空気がヒヤリ、と冷えた
技を繰り出そうとしたその瞬間、鉄扇を持った童磨の腕が吹き飛んだ
さっきまで俺の目の前に居た桑島さんの姿は其処には無く、ピリピリと紫電の帯が見えるのみ
彼を探すと、童磨の後方にその姿は有った。
す、…げぇ…全然全く見えなかった…。
片脚無くてあの速さならば…
現役時代はどれだけだったんだ。
命のやり取りをしている最中なのに…
俺は桑島慈吾郎の勇士に高揚を抑えられずにいた。
「…ふむ…一撃で頸を落とそうと思ったんじゃが…やはり片脚では軌道がズレるな…威力の半分も出せんか…」
え、アレで半分以下!?
嘘だろ!!?
「うわぁ〜ビックリした…じいさん、やるね…。
…でもさぁ…アンタ一人じゃ俺には勝てない。
それに…子供の方が疎かだよ?」
その言葉に後ろを振り返ると、氷で出来た等身大の童磨の姿
!しまった、血鬼術!!
こいつが分身を作れるの忘れてた!!
咄嗟に持っている刀を構えるが、きっと防ぎきれない…!!
ヤバい…殺られる!!
「では、二人ではどうかしら?」
そんな凛とした声と共に、俺の視界は色とりどりの花弁に包まれた。
「花の呼吸 肆ノ型 紅花衣」
まるで、重力を感じさせないくらい軽やかに技を繰り出し、氷像を破壊し…フワリと俺の前に着地した女性…
花柱…胡蝶カナエ
…ちょ待って?
なんで次々と重要キャラが出てくるの??
童磨と胡蝶カナエ…
あっ!この組み合わせって、カナエさんが亡くなる場面!?
…俺が介入しちゃったから、展開も変わった…のか?
「あれ?また増えちゃったの?面倒だなぁ〜」
童磨は血鬼術を破壊されても動じずケロリとしている。
「…ねぇ鬼さん。提案なのだけれど…もうすぐ夜が明けるわ。
ここは引いてはくれないかしら?」
「うーん…。確かに夜明けも近いし…
分かったよ。仕方ないから引いてあげる。
…思いがけない収穫もあったしね
(黒髪に翠の瞳…巴紋の首飾り…この子供があの御方の探してる子か)」
え、アイツなんで俺の方見たの?
そして、童磨は消えるようにその場を後にした。
それと同時に明るい光が辺りを照らす。
「…はぁ〜…」
俺は思わずその場にヘタりこんだ。
お、おっかねえぇ…!!
今更身体が震えてきた…情けない…。
するとカナエさんは心配してくれたのか、しゃがんで俺の顔を覗き込んできた。
「…君、大丈夫?」
「あ、はい…助けていただき、ありがとうございます
…其方の方も、ありがとうございました…貴方が来てくれなければ、俺はきっと殺されてた…」
「なに、気にする事はない。お主も良くぞ持ちこたえたな。
それに、ほれ…あの男に見覚えがあるじゃろ?奴が儂に助力を願ったから儂はここに居る。
…助けに入るのには、それなりの覚悟と勇気が要る。
お主の勇敢な行動が人一人救ったんじゃ。
良くやったな。小僧」
…あぁ…そうか…そうかぁ…良かった…
男の人は俺のそばに駆け寄ってきて何度も頭を下げる。
最早土下座する勢いがあったので慌てて止めた。
「ごめんな…ごめんな!
俺、お前の事置き去りにして、逃げて…!
お前は俺を助けてくれたのに…!」
「え、いや…謝らないでください!こうして助けを呼んでくれたじゃないですか!
でなければ俺も殺されてたかも…
だから…俺も、貴方にお礼を言わせてください。
助けを呼んできてくれて、ありがとうございました」
俺がぺこりと頭を下げると、その人は少しだけ笑いながら俺の頭に手を置いた
「…はは…お前、良い奴すぎるだろ…」
「あ、コレお返しします。綺麗な水色の刀ですね」
て事は水の呼吸の使い手か…。
…というか、この人どっかで見たことあるような気がするんだよな…。
「アイタタタ…久々に張り切りすぎて腰が…おい小僧!ちと手を貸せ!」
「えっ、あ…はい!」
その後俺達は簡単な自己紹介をして、その場で別れることになった。
カナエさんから蝶屋敷に来る事も提案されたけど、桑島さんが何故かそれを断った。
「それじゃあ、獪岳くん後で蝶屋敷の方にも遊びに来てちょうだいね。」
「はい!お世話になりました!」
そして俺は桑島さんを背負って歩き出す。
「…のう、獪岳…お前さん儂の弟子になる気は無いか?」
暫く歩いてから桑島さんは何気なくポツリ、と呟いた。
「…え?」
あれよあれよという間に桑島さんのお家で暮らすことになり、雇われていた所に挨拶に行く。
…いや、展開がジェットコースター並にハイスピードすぎません??
ともあれ、俺は無事(?)に桑島慈吾郎の弟子になりました。