雷一門の兄弟子に成ったんだが
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俺はこっちに転生してからは、なんの因果か悲鳴嶼行冥さんに拾われた。
そうして原作の獪岳と同じように子供達と一緒に過ごし、ご飯を食べたり…
簡単な手伝いをして過ごした。
そんなある日…
悲鳴嶼さんの部屋の前を通ったらチャリチャリと金属音が聞こえたので覗いてみると、子猫が金の入った壺を倒して遊んでいたのだ。
いくら悲鳴嶼さんが猫好きだからってこれは叱らないとダメだろ。
「コラ!」
俺が声をかけても猫は一瞬こっちを見ただけで再びじゃれ始めた。
…野良猫なら普通ビビって逃げるんだが…この猫人に懐いてるな…。
とりあえず俺は壺を起こして散らばった金を壺の中に入れる。
よし…後は蓋をして…戸棚の中にでも仕舞っておくか…
「何してるんだ!獪岳!!」
俺が壺を抱えた瞬間、この寺の一番上の子が怒ったように此方にやってきて俺が抱えた壺をひったくる。
「これは、悲鳴嶼さんの大事なお金なんだぞ!!盗むつもりだったのか!?」
「…っえ!?ちが…」
「いけないんだ!獪岳!!」
「悪い子はここに居ちゃダメなんだよ!!」
「出てけ!!」
「…寺の大事な金を盗もうとするヤツは此処には置いておけない。出ていってくれ!!」
子供達の出ていけコールに取り付くしまもなく、俺は追い出されてしまった…。
小夜だけがオロオロしながら此方を見ていた。
……え、マジ??
これからどうしよう…。
とりあえず、原作通りになって欲しくないので…藤の花のお香を確認しておく。
うん。ちゃんと焚かれてるな。
コレで鬼は寺の中に入っては来れないだろ。
…でも原作だと獪岳は鬼と遭遇して追い出された腹いせに鬼を寺にけしかけるんだよな。
確かに助かりたいからって気持ちのがデカかったんだろうけど…
自分を評価しないヤツは悪だって言ってたくらいだし…。
鬼に会っても今の俺じゃ殺されて終わりだろう…。
まだ呼吸も使えないし、そもそも日輪刀持ってないし。
とりあえず、このまま町まで降りて…
「獪岳!!」
!?えっ…なんで…
「悲鳴嶼…さん…?」
彼は…息を整えながら説明してくれた。
壺を倒し金をばらまいたのは猫なのだと。
獪岳は其れをしまっておこうとしただけなのだ、と。
あの後小夜は俺の後ろで其れを見ていたらしく、子供達や悲鳴嶼さんに説明してくれたようだ。
「子供達はお前に謝りたいと言っている。…さぁ、帰ろう獪岳」
…そっか…分かってくれたのか…
「美味そうな臭いがするなぁ」
俺が彼の手を取ろうとした瞬間、後ろから下卑た声が聞こえた。
「!?…誰だ!!?」
「悲鳴嶼さん…鬼だ」
「鬼だと!?」
俺達が話している間もソイツはまるで値踏みするようにニヤニヤと見つめてきた。
「先ずは餓鬼からいただくかぁ…」
爪の鋭い手を俺の方に伸ばしてきた。
逃げなければと頭では思っていても、足は地面に根が生えたように動かない。
ダメだ…喰われる
ーバキ!!ー
「この子に手出しはさせん!!」
目の前の死に絶望しかけた時…
悲鳴嶼さんが鬼を殴り飛ばした。
台詞も行動も…悪に襲われるモブキャラを守ってくれる正義の味方の様だった
うわ…かっこいい…
流石は未来の柱
だが、殴られた鬼の顔が再生し始めるのを見てハッとなる
「悲鳴嶼さん!鬼の顔が治ってきてる!」
「くっ…どうしたら…」
鬼は朝日…太陽を浴びれば消える…
薄らと空が白んできたからもうすぐ夜明けだろう。
原作では太陽が上って鬼が消えるまで悲鳴嶼さんが鬼を殴り続けて何とかなったけど…
どうすれば…
何か策は無いか、と鬼の周囲を見渡すと、頑丈そうな蔓が生えていた。
アレで鬼を縛り付けられれば…!
「いてぇな…くくっ…だがな、鬼は傷なんか直ぐに直るんだぜ?
…ほら、もう元通りだ。」
俺は悲鳴嶼さんの裾をクイッと引っ張る。
「あの悲鳴嶼さん、嫌かもしれないけど…あの鬼を殴り続ける事は出来ますか?
もし逃がしてしまったら寺の方に向かうかもしれない…そうしたら皆が危ない…俺に考えがあるんです。」
「…わかった…無茶はしないように」
悲鳴嶼さんはまた鬼を殴り飛ばし、鬼は丁度蔓の生えた近くの木に叩きつけられた。
悲鳴嶼さんナイス!
俺は蔓を鬼の体に絡めていく。
腕に、腹に、足に…首に
幾ら鬼が頑丈だからと言っても此奴は十二鬼月では無い下っ端だ。
おそらく血鬼術すら使えないだろう。
縛り上げてしまえば、後は朝日が顔を出すのを待つのみだ。
「ぐっ…くそ、くそぉ…!この俺がこんな所でっ…!!」
鬼は必死にもがくけれど、太い木に何重にも縛ったんだ、そう簡単に解けるはずがない。
「くそおおぉ!!…こんなガキに捕まり、朝日に焼かれるくらいなら…俺は!鬼舞辻無惨様に殺していただく方がマシだああぁぁ!!!!」
「…な、」
「鬼舞辻…無惨…?」
「ひ、ヒヒヒ…餓鬼ィ…お前…その顔…覚えたぞぉ…」
あ、確か…自分が鬼にしたヤツの目を通して鬼舞辻無惨は情報を得ることが出来るんだったか…。
…コレ…不味くない…?
そして鬼は目の前で膨張していき…爆発した。
例えるならドラゴンな玉で雑魚敵が爆発する…アレみたいな感じだ。
悲鳴嶼さんは目が見えないからいいけど、俺なんかバッチリ見てしまった…キモイ…グロい…。
吐きそうになったが、悲鳴嶼さんに事のあらましを説明した。
…俺は…あの寺に帰るべきでは無いだろうな…。
鬼舞辻無惨に情報が行ってしまった以上、皆と一緒にいたら危険な目に合わせてしまうかもしれない…。
せっかく迎えに来てくれた悲鳴嶼さんには申し訳ないけど、俺はこのまま町に下りようと思う。
「悲鳴嶼さん…俺…」
「…言わずとも分かる。子供達には俺から話しておこう。」
この人は頼りなくなんか無い
この時から既にこんなにも頼りになる。
目が見えずとも俺の気持ちを分かってくれる。
「…俺は貴方と子供たちと暮らせて、幸せでした。
お元気で…悲鳴嶼さん」
また、会いましょうね。
必ず。