短編
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鬼になれ。杏寿郎。
鬼にならなければ殺す
目の前の鬼はそういった。
馬鹿げた話だ。
たとえ死が目前に迫っていようとも鬼になどなるはずがない。
もしも無理矢理鬼にされたならその瞬間自身の日輪刀で己の頸を刎ねただろう。
もうすぐ…自分は死ぬ。
この鬼は強い。
だがただで死んでなどやるものか。
さぁ、その振り上げた腕をこの身体に突き刺すがいい。
もうすぐ夜明けが来る。
貴様も道連れだ。
ふと、過ぎったのは一人の女性。
気立てがよく、世話好きで…
何の縁か選別試験から度々共に戦った…
(桑島…)
嗚呼…
今更…自分の想いを自覚した。
いつも彼女を思うと心が暖かくなる。
彼女と居る時はいつも離れがたくなる。
考えてみれば、彼女の好きなところなどいくらでも思いついた。
彼女の寝顔が好きだ
悪戯で頬をつつくとむずがりながらも、また幸せそうに寝入ってしまう
その顔を見ていると何故か自然と笑んでしまうのだ。
彼女の戦っている時の姿が好きだ
武器を持つ手は力強く、普段とは違う勇ましい横顔は誰よりも頼りになった
彼女の歩き方が好きだ
前に居るでもなく、後ろから着いてくる訳でもなく、ひたすら隣を共に歩いてくれた。
彼女の笑顔が好きだ
仕方がないと困ったように笑う様も、薄く頬を染めながら柔らかく笑う様も、心から嬉しい時の満面の笑顔も…。
俺は…こんなにも君が好きだ。
桑島善子。
君にこの想いを伝える事は無いけれど
…どうか、幸せに。
ずっと
君を
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