今までも、これからも
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最後に見えた色は…彼女から飛び散った鮮やかな赫い色
「…え…?」
自分を庇うように腕を広げ、鬼に腹を貫かれた一愛
彼女は歯を食いしばり足に力を込め、日輪刀を握りしめて鬼の頸を瞬時に叩き切る。
瞬間鬼は塵となって消えた。
だが、同時に鬼の腕も消え…塞き止めるものが無くなった彼女の腹から夥しい血液が流れ出し、身体を伝い…地面にこぼれ落ちていく。
ふらり、と彼女の身体が倒れて…
俺はそれを受け止める。
でも思考は働かなくて、頭は真っ白だ。
「一愛っ!!
あ…なんで…なんで…俺なんか庇って…こんな…!
あ、こきゅう…!呼吸で傷を塞ぐんだ!
血の巡りを遅らせて…蝶屋敷に連れていくから!
だから死ぬな…死なないでよぉ…!」
情けない…涙が止まらない…
今は泣いてる場合じゃないのに…
でも、彼女の音が少しづつ小さくなっていって…
取り乱さないなんてありえない。
「ぜ…んいつ…く…」
コポッ…とその口から赫い血が吐き出される
白い彼女の肌に其れは恐ろしく映えて…
瞳からポロリと流れた涙は煌めいていて…
この世のものとは思えない程…とても美しく見えた。
「いやだ…聞きたくない…別れの言葉なんて…聴きたくない…!」
聞いたら…聴いてしまったら…
俺はきっと、忘れられなくなる。
お前の笑い声も嬉しそうな声も総て…最後の其の言葉に塗り潰されてしまう
「…ねがぃ…きいて…」
「っ………!」
ずるいな…お願いなんて言われたら…聞く以外の選択肢なんて…俺には無いのに…
ぎゅっと唇を引き結んで彼女に耳を傾ける。
一字一句聞き逃さないように。
「ごめん…ね…貴方より、先に…いって…しまう、こと…
ありが…とう…こんな私の傍に…いてくれ…て…」
「…っ当たり前だろ!俺はお前の事、大好きなんだから!!
鬼が…全部いなくなって…平和になったら…お、お前に結婚してって…言おうと思ってたのにっ…、こ、こんなのって…無いよおぉ…!!」
「…う、れし…ぜんいつ…くん…私…も…だいすき…でした…ううん…これからも…だいす…き…だよ…!」
あぁ…やっぱり…お前を失うなんて…耐えられない…
そんな世界で…生きてなんか行けない…
「…俺も…お前と一緒にいきたい…
ねぇ…つれていって?」
「…あなたの…人生だもの…私に、わざわざ…聞くひつよう…なんて…ない、…」
でも…と彼女は続ける
「もしも……ーーー」
「…うん。約束…するよ…でもきっと…居ないよ…そんな人…。」
だから待っていて。
直ぐに追いかけるから。
そう言うと一愛は困ったような…悲しそうな…でも少しだけ嬉しそうなそんな音をさせて…未だに流れ続ける俺の涙を拭う。
頬に触れる彼女の手はいつだって暖かかったのに…
今は氷のように冷たい…。
熱を分け与えるように冷たい手を握りしめて其れに擦り寄る。
嗚呼…もう彼女の音が…ほとんどきこえない…。
「ぜ、い…く…」
「…うん…」
だいじょうぶ…分かるよ…
俺も…お前のこと
「「だいすき」」
そして…彼女の瞼は永遠に閉ざされ…
大好きな心音も…二度と聞くことはできなくなった…
「ーーーーーー!!!!!!」
喉が裂けるんじゃないかってくらい、叫んだ。
悲しくて…哀しくて…
護れなかった…それどころか護られた挙句、護りたかった唯一を死なせてしまった
俺が、殺したも同然だ
あぁ…でもそれも、もうどうでもいいか…
だって今から彼女の所にいくんだから
ーチャキ…ー
片方の手に彼女を抱えたままもう片方の手で自分の刀をスラリと抜いて、首にそえる。
目を閉じて手に力を込めた。
チリッ…とした痛みを感じたと思ったら、次の瞬間には自分の手から日輪刀が弾かれて後ろに引き倒された
「…たんじろ…いのすけ…ねずこ、ちゃん…」
伊之助に刀を弾き飛ばされ、炭治郎と禰豆子ちゃんに押し倒された。
…なんで、とめるの…?
おれは…一愛のところにいきたいのに…
「そんなの、ダメだ!」
だめじゃないよ
だって一愛がいったんだ…
おれのじんせいだから…おれのすきにしていいって
「っ…それでも、俺は…善逸に死んで欲しくない!」
「ふざけんなよ!善逸!!
親分に断りもなく死のうとしてんじゃねーぞ!この弱味噌が!!」
「や、やだ!ぜ、ぜんいつ…し…死んじゃ…だめ…!しなない、で!!」
泣いてる…
炭治郎が…伊之助が…禰豆子ちゃんが…
なんで?なんでとめるの?
なんで…そんなこと言うの?
だって、そんなこと言われたら…約束…まもらなきゃいけなくなる…
「…言われたんだ…彼女に…」
「…善逸…?」
「いわれ、たんだ…1人でも…俺に生きて欲しいって言ってくれる人が居るなら…もう少し頑張って…って…。」
あぁ…やっと分かった…
お前は俺に生きて欲しかったんだな…。
だって…炭治郎は絶対止めるだろうから。
生きろって言うだろうから。
コイツはそういうやつだもんな。
「…炭治郎…お前は俺を死なせてくれないの?」
「…あぁ、死んで欲しくない。善逸は大切な仲間だから。」
「…彼女の居ない世界で生きろって言うの?」
「っ…そうだ」
「生きる希望も目的も楽しみも…何一つ無いのに?」
「…っ」
「ウジウジメソメソしてんじゃねーよ!!
テメーは今まで死んでった奴らにも同じ事言えんのかよ!!
生きる希望も目的も楽しみも!あっただろう奴らに!!
あの世で会ったら言ってみるんだな!
ぶん殴られるのがオチだろーがな!!」
…この野生児猪ヤローにそんなこと言われるとは思ってなかったわ。
「…お前等は…残酷だな」
残酷だけど…優しいな…
…ごめんな一愛…俺は直ぐにお前の所にいきたかったのに…まだ生きなきゃダメみたいだ。
…お前…こうなるって知ってて俺にあんな約束させたんだろ?
次にあったら思いっきり頬っぺたつねってやるからな!
…ありがとう
いままでも、これからも…
俺はずっと…お前の事…
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