クロス大陸編
夢主の名前
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あれから、アシュトンは私を背負ったまま歩いてくれて…
このまま行けばあと1時間程でクロス城下町に着く…という時…
何やら前方が騒がしい…
私はアシュトンに下ろしてもらって一緒に歩いていく。
先程と比べて、足が痺れている感覚は無くなったようだ。
「シオン…本当に大丈夫?」
「大丈夫です…おぶってくれて、ありがとうございました。
…声が大きくなってきましたね…」
「え?…あ、アレは…馬車が魔物に襲われてる!?
って…馬車に書かれてるのって…ラクールの紋章じゃないか!?
なんでこんな所に!?
と、とにかく助けないと…!
危ないから、シオンは隠れてて!」
そのまま走っていこうとする彼のマントを軽く引いて、引き止める。
「大丈夫ですアシュトン。私も一緒に行きます。
少しだけ…使える呪文を思い出したんです。」
「えっ…!?そ、そうなの!?…わかった…でも無理しないでね!」
「はい!」
そして、私達は馬車の方に駆け寄った。
ーーーー………
「くっ…魔物の数が多すぎる!
このままでは…!クロスは直ぐそこだというのに…!」
「シャアァァ!!」
「くそっ…!」
「プロテクション!」
「ハリケーン・スラッシュ!!」
兵士が押し負けると目を閉じた時、振り下ろされた鋭利な爪は見えない何かに弾き飛ばされ、次いで激しい風が辺りの魔物達を巻き込みながら切り裂いていった。
「大丈夫ですか!?」
「怪我は、無いですか?」
「き、君たちは…あ、いや…私は問題ない…だが…」
兵士は馬車の方を見る。
車は横に倒れていて、中からは一人の女性が出てきた。
「姫様!ご無事ですか!?」
「ひ、姫様…だって!?ま、まさか…ロザリア姫!!??」
「?お姫様…?」
頭にはてなを浮かべていると、後方から悲鳴が聞こえてきた。
「う、うわああぁぁ!!」
「な、何だアレ!!??」
其方に目を向けると、そこには人を丸呑みできるくらい大きなブヨブヨした生き物が居た。
「う、うそぉ…何あのデカいスライム…!?
大きすぎだろ…あんなの見たことないよぉ…
兵士達が何人かで攻撃してるけど、サイズが桁違いで刃が通らないんだ…でもスライムは毒攻撃もしてくるから…早くなんとかしないと…
で、でもどうすれば…」
「…どうしよう…でも、これしか…」
「…?シオン?どうかしたのかい?」
「…あの…アシュトン……ーー」
私は彼にそっと耳打ちをする。
「!ほ、本当に?…わ、わかった…やってみるよ…
行くよ!」
「はい!……グロース!!」
アシュトンが走り出したのと同時に、彼に攻撃力を上げる呪文をかける。
「クロス・ラッシュ!!」
刃が通らなかった大きなスライムは彼の剣技により真横、そして縦に切り裂かれ悲鳴と共に消えていった。
「…、はあぁ…何とか…助かったぁ…!」
その場にヘナヘナと膝を付くアシュトン。
「アシュトン、…」
アシュトンの側に駆け寄り、大丈夫ですか…と、声をかけようとしたらワアァ!!と大きな歓声が響いた。
「ヒェ!!??なになに!!!??」
「ありがとう!君達は我々の命の恩人だ!!
助かったよ!本当にありがとう!!」
何人もの人が、ありがとう、ありがとう!と頭を下げたり手を握ってくる。
アシュトンは戸惑いながらぎこちなく頭を下げたり手を降ったりしている。
…囲まれてしまっていて、近付けない…。
「貴女も、本当にありがとうございました。」
私がオロオロしていると、後ろからお姫様がそっと寄り添ってきた。
…とても綺麗な人…本当に物語の中のお姫様みたい…。
「…えと、ロザリア姫…様?」
確か、アシュトンはそう呼んでいた。
「はい。貴女のお名前を伺っても宜しいですか?」
「あ、私は…シオンといいます。
間に合って良かったです。姫様。」
「ロザリアとお呼びください。…私もシオンと読んでもいいですか?」
「はい。ロザリア姫」
二人してニコニコと笑い合ってると、兵士達に囲まれていたアシュトンが勢い良くこちらに走り寄ってきた。
「も、もうお礼とかいいですからぁ!!
ぼ、僕達はもうクロス城下町に行きたいので!!」
「まぁ…クロスに行くなら、是非ご一緒にどうですか?
私も色々お話を聞きたいですし。」
「…ア、ハイ…」
…アシュトンの表情が…心無しか疲れているように見えた。
きっと、戦闘で、だけじゃない気がする。
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