クロス大陸編
夢主の名前
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「う、ん…、んん??あれ、僕…」
チラチラとまぶたに感じる光で目が覚めた。
えーと…僕、何してたっけ?
「あ、アシュトン、目が覚めましたか?」
すぐ側でシオンの声が聞こえた。
…あ、そうだ!魔物に襲われて…!その後…どうなったんだ!?
そう思ってパッチリ目を開けて…最初に見たものは…
木々の隙間から射す木漏れ日で…まるで羽が生えた様に見えるシオンの姿だった。
「……………、」
「あの…アシュトン?大丈夫ですか?」
目を見開いて凝視している僕にもう一度名前を呼ぶシオン。
僕はハッとなって瞬きして…もう一度シオンを見た時はそんな錯覚は消えていて…
…気のせい…だったのかな…
…そうだよね…人間に羽根が生えてるわけないよね…。
…というか、そんな事より…
この体勢はなんなの!??
も、もしかして…ひ、ひひっ…ひざまくら、されてる!!??
「だっ、だだ、大丈夫!!ごめんね!!ありがとう!!!」
もう、必死だった。
勢い良く起き上がったらシオンと頭をぶつけちゃうから、一度ゴロンと転がってから起き上がった。
そう、なんの違和感もなく…むしろ疲れなんて感じないし痛みすらなく、すんなりと起き上がれたのだ。
…僕…昨日…不意打ちで毒をくらったはずなんだけど…。
自然に抜けたのかな…?
でも、怪我も無くなってるなんて…。
彼女ならなにか知ってるかな…
そう思って立ち上がり、後ろを振り返ると…立ち上がって歩こうとしたシオンがよろけて転んでいた。
「シオン!?大丈夫!!?」
「だ、大丈夫です…でも足の感覚がなくて…上手く立てません…」
……………。
そ、それって…
今は朝…僕が気を失ったのが確か夕方…
…って事は、シオンはずっと僕を膝枕してくれてた訳で……ーーーー!!!
「ご、ごめんねえぇ!!シオンの足が痺れたのは僕のせいだよおぉ!!!」
「え、いえ…私はアシュトンの気持ちよさそうな寝顔を見れて幸せでしたし…
夢の中で樽と追いかけっこしているアシュトンはとても幸せそうでした」
「うわああぁぁーーー!!忘れてえぇぇーーー!!!」
ウソでしょおぉ…!!?
僕そんな夢見てたの!?全然覚えてないんだけど!!!
って…そうじゃない!!
今はそんな事よりも…
「シオン…そのままじゃ歩けないでしょ?
僕はたくさん寝れて体力も回復したし…
背負ってあげるから…背中に乗って?」
「え!?そんな…だめですよ!
だって、もし魔物に遭遇したら…」
「荷物を調べたら…フェアリィトワレっていう、魔物が嫌いな匂いのする薬品があったんだ。
多分クロスまで持つと思うし…いざとなったら片手でも戦えるしね。
僕、こう見えても紋章剣士だよ?
少しはかっこいい事させてほしいなぁ。」
僕がそう言うと、シオンも目を細めて微笑んでくれた。
「…アシュトンは、出会った時からずっとかっこいいですよ。」
そう言いながら、しゃがみこんだ僕の背中に軽い温もりが触れた。
っ…どうして、君は…僕が嬉しくなる事を言ってくれるんだろう…
本当に嬉しそうに笑ってくれるんだろう…
そんなんじゃ…目的を見失ってしまいそうになるよ…
シオンと旅が出来るのは…彼女が記憶を取り戻すまでなのに…
すべて思い出した後も…ずっと一緒にいてほしい…って…思ってしまうじゃないか…
そんな考えを消し去るように頭を振り、黙々と道なりに歩き続けた。