Prolog
夢主の名前
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―…リン…―
不意に聞こえた、小さいけれどハッキリとした…綺麗な鈴の音。
それが聞こえた方向を振り返ったら…ソコに君が居たんだ。
ほんの数秒だったかもしれないし、もしかしたら何分も経っていたかもしれない…
此処がドコだか分からないようにキョロキョロと辺りを見回して、まるで身体の力が抜け落ちた様にその場に座り込んでしまった。
周りの人達はそんな彼女に目もくれないか、怪訝そうに目をやっても知らん顔で通り過ぎていってしまう…。
なんで誰も声をかけてあげないの?
なんで手を差し伸べてあげないの?
両手で自分の身体を抱くその姿は、今にも消えてしまいそうなほど儚くて…
気が付いたら僕は、彼女の元に歩いて行き…
声をかけていたんだ。
だって、聞こえた気がしたから。
‘たすけて’って…。
僕が声を掛けると、勢いよく顔を上げて…
その目には今にも零れ落ちそうなほど涙を溜めていて…
差し出した手に触れた瞬間…
案の定、彼女はポロポロと泣き出してしまって…
怪我か病気かと慌てたけれど、大丈夫との事で、とりあえず後ろのベンチに座らせてあげた。
このまま立ち去るのもどうかと思ったので、どうしようかな…と考えていたら丁度アイス屋さんの屋台を見付けた。
僕はちょっと待ってて、と言い残してその場ら離れる。
反対側にクレープ屋さんもあるみたいだけど…
アイスの方がきっとスッキリするだろうし…いいよね。
その後、アイスを渡したら小さく彼女は笑ってくれて少しだけ安心した。
彼女に何があったのか…
彼女が誰なのか…
僕はなにも知らない。
とりあえず、僕は自分の自己紹介をして辺りも暗くなってきたので、今日はこの街の宿屋に泊まることにした。
隣のベットで眠る彼女を見つめながら思う。
…この行為は、只の偽善なのかもしれない。
でも、あそこで他の人達のように彼女を見捨てて通り過ぎるなんて…
僕にはとても出来なかったんだ…。
…明日になったら、彼女に事情を聞いてみよう。
そして、何か困ってて僕に出来る事があるなら力になってあげよう。
…その時には、君の名前が聞けたらいいなぁ…。