【背徳の鎖を掴む者】

最後の最後まで、悟飯の躯を味わいたい。
白い背中に舌を這わせ、耳の穴に舌を差し込み、首筋を舐めあげる。
片方の手は固く握られた悟飯の手の上に重ね、空いたもう片方の手で桃色の胸の突起を弄んだ。

「はああっ!・・・だ、だめぇっ・・・!」

びくり、と大きく躯を震わせて達すると、悟空の精を搾り取らんとするかのように、悟飯の秘部はそこだけ別の意思を持ってギリギリと悟空自身を締め上げる。

「オ、オラも・・・う、っ・・・!・・・くっ!」

「あっ・・・あっ・・・はぅっ・・・!・・・はぁっ・・・」

腸壁に悟空の熱い奔流がぶつかる度に、悟飯の躯が小刻みに震える。

「まだだぞ、悟飯。まさか、こんなんで済むと思ってねぇよなぁ?」

強大な敵と対峙した時に見せる酷薄な笑みを口元に浮かべ、悟空が残酷に宣言する。
途端に顔を強張らせた悟飯は、快感ではなく、恐怖に躯を震わせた。
父からこんなに求めらられたことはない。
今までどれほど父と回数を重ねようと、いずれもかなり加減をしてくれたものであったのだと、この日初めて思い知らされた。
悟空は顔面蒼白になった悟飯を仰向けにさせると、度重なる射精に立ち上がることすら不可能になった悟飯の両脚を抱え上げ、再び腰を動かし始める。

「あっ・・・!あっ・・・!はああっ!」

掠れ始めた悟飯の喘ぎ声に、二人の結合部から発する卑猥な音が重なった。
悟飯の秘部の蜜と悟空が吐き出したものが悟飯の体内で混ざり、悟空が動く度にそれがぐちゅりと音を立てて溢れ出す。
先の行為で扱かれもせず精を放った悟飯のものが、再び立ち上がってはみるみる固さを増してゆく。
悟飯の精液で汚れたそれを愛おしそうに手の平で包み込み、悟空は手を上下に動かして手の内のヌルヌルした感触を楽しんだ。
それでも、いつもなら悟空が濡れ過ぎだと揶揄うほど溢れてくる先走りの透明な体液は今は鳴りをひそめ、先端に涙を零す程度に留まっている。

「あ、ふっ・・・くぅん・・・っ・・・う、ふぅ・・・っ」

喘がされ、張り上げさせられた悟飯の声は掠れて弱々しい。
悟空が悟飯の白い両脚を更に拡げて悟飯の躯に密着させると、涙を失った悟飯自身の代わりに、秘部から溢れた蜜が悟飯の腰にまでタラリと零れ落ちた。

「おめぇはこの体勢が、一番好きだったよな」

躯を“く”の字というよりは“し”の字を更に畳んだかのように躯を折り曲げた体位は悟飯の内臓を圧迫するが、秘部の入口から腸壁までの空間までも狭まり、他のどの体位よりも深く悟空自身が前立腺に突き刺さる。

「はっ・・・!―――ッ!」

悟飯は強い快感に声を失い、悟空に激しく突き上げられる毎に躯を大きく痙攣させた。
縋りつくように悟空の腕を捕らえていた悟飯の手が、悟空の腕に爪を立てて震えながらカーペットへと落ちてゆく。

「―痛ッ・・・!」

常に短く揃えられた悟飯の爪が滑り落ちた痕が、悟空の腕の数本、赤く残された。
悟飯が作ったミミズ腫れの中には、皮膚が削り取られたものまである。
愛息子が初めて自分の体に残した傷痕に、悟空は一瞬だけ顔を歪めたものの、その痛みはすぐさま喜びの笑みに変わった。

「悟飯、もっとだ」

悟空は力のない悟飯の両腕を掴むと、自分の背中にしがみつくように廻させる。

「もっとオラにしがみつけ。しがみついて、オラの体に、おめぇを抱いた印を付けてくれ」

だが、悟飯の腕には悟空にしがみつく力など残されてはおらず、悟空の望みは背中に爪を立てられただけで終わった。
今の悟飯には指一本すら自分の意思で動かすことも適わず、強烈な快感に五感も鈍っている。
悟飯には自分が上げている声がただの喘ぎ声なのか、それとも声にならない悲鳴なのかも判別できない。
悟空が何かを話しているのは認識できたが、悟飯の耳は機能を損なったかのように、その声を聞き取ってはいなかった。
澄んだ黒曜石の瞳も今はただのガラス玉と化し、悟空の姿を映し出しているものの、映像は脳には届いていない。
その脳は雪が降り積もった後の世界のようにひたすら真っ白で、激しく悟空に突き上げられる度に爆発を起こしてはジンジンとした痺れを残した。

「あっ、――っ!・・・っ!ああっ!」

自分が感じているものが快感なのか苦痛なのかもわからぬうちに悟飯は、悟空の動きに合わせてこの日何度目かの精を吐き出した。
悟空のものが前立腺に当たる毎に悟飯の性器はびくびくと震え、僅かばかりの白濁液を白い腹に撒き散らす。
それが悟空との腹の間で擦れ、水面を叩くような音を醸し出した。

「はっ、さすがに少ねぇな」

年若い悟飯より射精回数の少ない悟空は、口元に笑みすら浮かべて余裕を見せる。
思考力を失った悟飯は、初めて味わう五体がバラバラになりそうな感覚に、苦しい呼吸を繰り返すのみだった。

「あっ、はっ・・・は、あ・・・っ・・・」

呼吸の中に掠れた声が混じり、この声の色香に悟空の背筋をぞくりとしたものが這い上がる。
悟空自身は未だに悟飯の躯の中に収められ、爆発もしていない。
悟飯の仲の感触と、今までになく乱れる悟飯の姿に幾度となく射精感に襲われたが、そのすべてを悟空は堪えきっていた。

「次からは、何も出ねぇだろうな・・・」

確信はあったが、それでも止める気は起こらない。
このまま続けたら、悟飯の躯が回復するまで当分時間がかかるだろう。
改めて見下ろす悟飯の躯は凄惨な様子を呈している。
焦点の合わない瞳は虚ろで、まるで悟飯の躯から魂が抜けてしまったかのようだ。
何時から零れたのかわからない唾液はカーペットにシミを作り、桃色の突起は張り詰めたまま治まる気配を見せない。
白い肌に残された悟天の跡も紛れるほど、躯中に悟空の印が散りばめられ、腹から下半身にかけては精液にまみれている。
今尚留まることなく秘部から溢れる体液は悟飯の臀部から腰に伝わり、更にはカーペットにまで滴り落ちている。
激しく波打つ胸に、離れた場所からでも心臓の荒い鼓動が伝わってきそうだった。

「悟飯・・・」

耳元で囁くと、悟飯の躯がびくりと竦む。

「まだ・・・許さねぇぞ」

その言葉を最後に、悟空は再び悟飯の躯を突き上げ始めた。
音を失った悲鳴が際限なく悟飯の咽喉から迸り、二人の躯が発する淫猥な音だけがこの行為のBGMとなった。
今の二人のは愛を囁く言葉もなく、地球を照らす光が濃い闇空を退けるまで、狂気の無言劇は続く。





END

ここまでお読み戴きありがとうございました。
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