【解放者―act.1悟天の邂逅-】
悟天が緊張に汗ばんだ手で作業を進めているうちに、兄は小さな悲鳴を何度もあげた。
兄が咽喉の奥から悲鳴をあげる度に悟天は一旦手を止めて、兄が虚脱すると、兄の呼吸に合わせて作業を再開させた。
そんなことを繰り返していると、カテーテルの先が前立腺に当たったところで、兄の両脚が小刻みな痙攣を始めた。
いつもなら兄の両脚の痙攣は絶頂の前触れなのだが、初めての尿道責めにカテーテルを使用することに僅かな懸念を抱いていた悟天は怖気付き、心配そうに兄の様子を伺いながら、もと来た道をゆっくりと戻って行った。
責めの中ほどで兄が奥歯をくいしばる音を耳が拾っていたのも、悟天に後ずさりさせるひとつの要因となっていた。
「ふ、ぅ・・・!・・・っ・・・!」
カテーテルを送り込む時は躰を硬直させて身動ぎもしなかった兄が、引き抜く際には前に突き出すように腰を持ち上げて、喘ぎに似た息を吐き出し始めていた。
挿入の前に、周辺がぬるぬるになるほどたっぷりペニスを弄っておいたから、何も施さないよりは兄に苦痛を与えずに済んでいるはずなのだが、それでも拡がった鈴口は痛ましいくらいに赤く、悟天は兄の喘ぎの理由を測りかねた。
兄が尿意を感じている可能性を考慮に入れると、半端ではない違和感が苦痛になっているのかも知れない、とも思った。
ところが、カテーテルを完全に引き抜いた後で追うように少量の白濁液がとろりと鈴口から零れるのを見て、悟天は先の兄の両脚の痙攣が紛れもない絶頂の前触れであったのを知ったのだった。
(へえ・・・。初めての尿道責めで、感じちゃったんだ・・・)
尿道からとはいえ、やはり前立腺を突かれたのが効いたのか。
となると、リスクの高さから今回だけにしておく予定だったが、この責めを一度かぎりで終わらせてしまうのは勿体ない。
入手したアイテムの今後の活躍への期待に、悟天は片方の口角を釣り上げた。
正規な医療用ではなく安価なアダルトグッズであったが、18歳の誕生日を待ってまで手に入れた甲斐があった。
予想以上にいい仕事をしてくれる。
安堵と同時に沸き起こった昂りに、悟天は己の分身の先が湿るのを感じていた。
手に持ったものと当初の予定を放り出して、早急に漲ったものを兄の秘部に突っ込んで中で果てたい。
若さゆえの当然の欲求だった。
だが、悟天はそうしなかった。
カテーテルに加える力の向きを変えると、再び挿入を開始したのだ。
「あっ・・・!あっ、あっ・・・!」
透明の分泌液よりもぬるつきのある白濁液が潤滑油代わりになっている為と、二度目の挿入であった理由から、一度目よりも抵抗感なくカテーテルは兄の体内に飲み込まれていく。
その間にも兄は何度も下肢を引き攣らせたが、今度は悟天は怯まなかった。
中ほどまでカテーテルを進めたところで軽く扱くとペニスが膨張し、悟天は興奮に唇を歪めると兄の耳もとで意地悪そうに尋ねた。
「兄ちゃん、気持ちいいの?」
当然だが、応えはない。
悟天の質問に対して返ってきたのは言葉ではなく、荒い呼吸と艶かしい喘ぎ声だけだったが、それでも悟天は満足だった。
もとより、こんな状態の兄とまともな会話が成立するなどと、端から期待していなかったのだ。
それに、兄から否定の反応がなかったことで、質問が的を射ていたのは確認できた。
それだけでも、収穫としては十分過ぎる。
心の片隅にわずかに残っていた兄への罪悪感が、この質問で完全に霧消したのだから。
やがてカテーテルが前立腺に到達すると、悟天は躊躇なくそこを軽くつついた。
案の定、兄の両脚が小刻みな痙攣を始め、悟天は容赦なく兄を快感の淵へと追い立てた。
「あっ、あっ、あっ・・・!・・・イ、イクッ・・・!」
この時、兄は悟天が教え込んだ通りに絶頂を言葉で知らせながら、いつものように全身を大きく竦ませた。
常と違ったのは、カテーテルの先から申し訳ていどの白濁液が零れただけで、完全な射精とはいかなかった点だろう。
明らかに達した筈なのに射精には至っていない矛盾した事実に、反らせた背骨の緊張を解いた後も胸板を激しく上下させた兄の顔には、驚愕と困惑が張り付いていた。
その驚愕が冷めやらぬうちに悟天が再び前立腺を責めると、兄は快感の波が完全に収まってしまう前に立て続けに達した。
「・・・やっ・・・、やめっ・・・!もう・・・っ、や、めっ!」
苦しそうに喘ぎながら前立腺への責めを中断するよう願う兄の声は、かろうじて音声と認識できるほどに掠れていた。
兄の制止を無視してなおも悟天が責め続けると、兄は完全に言葉を失い、一際高い嬌声をあげては息つく間もなく昇りつめるのをもう一度繰り返した。
このまま攻め続けたら、兄は何回まで連続で達することができるのだろうか。
突如として沸き起こった好奇心と、早急に兄の中で果てたい欲求が悟天の内部でせめぎあったのは、まさにこの時だった。
だが、如何に初めての責めに興奮していると云えども、たかだか前哨戦如きにいつまでも時間を費やしているわけにもいかないだろう。
サイヤ人の血をひいている兄の体力にも限界はあるのだから。
悟天は効果的な責めへの未練を静かに吐き出すと、カテーテルの先でさらに兄の躰の奥を探った。
「・・・・・・っ!」
途端に、声にはならない兄の悲鳴が耳もとを掠め、敏感な部分を押しわけて異物が体内を進んでくる感覚とはどのようなものなのだろうか、と悟天は思った。
こんな、他の者には排泄器官でしかない下肢の一部が兄にとっては性感帯の密集地帯なのだから、受け入れる側として目覚めた兄の躰は実に面白い。
同じ男なのに、兄は女を貫くよりも男に征服されることでより強い快感を得られるのだ。
この、周囲の期待を一身に受けた、両親ご自慢の息子である優秀な兄が。
悟天は兄に顔を見られないように俯くと、密かにほくそ笑んだ。
兄を組み敷く時、悟天を満足させてくれるのは性的欲求ばかりではない。
自らの手で兄を絶頂に導いた瞬間、勉学が苦手な悟天がいつしか兄に対して抱いていた仄暗い劣等感は、極上の優越感へと羽化するのだ。
ともするとそれは、かつての上司を己の部下として使役するのと同じプライドをくすぐられているのかも知れなかった。
何せ兄は、時として悟天の保護者的な役割も果たしていたのだから。
兎にも角にも兄を抱く時、悟天は性欲だけではなく、己の承認欲求も満たされるのを自覚していた。
そうして益々、兄の躰にのめり込んでいったのである。
こうなると、自分はもう兄なしではいられないとすら思う。
だが、それは兄も同じだった。
父に棄てられた兄を慰められる人間が、弟の悟天以外に誰がいると言うのか。
例えその背徳行為が、見えない鎖となって兄と悟天を縛りつけようとも。
同性であれ異性であれ未だに特定のパートナーを持たない悟天と違って兄は妻帯者であったが、その事実でさえ悟天にはどうでもよかった。
悟天が兄への恋心に気づいた時には既に兄は他者のものだったのだ、兄に横恋慕したからには愚かな独占欲など抱かないのが悟天の恋の前提条件だった。
だから悟天はひたすら兄に触れられることのみを願い、その念願がようやく叶って現在ではこの世の春を謳歌している。
だが、互いに互いを必要とする兄と悟天が、独占欲よりも危険な盃を交わしているのをこの時の悟天は知る由もなかった。
(あれっ!?おかしいな・・・)
まるで体内の壁に阻まれたように進行を止めたカテーテルに、悟天は焦燥感に苛まれていた。
時間はかかれどもすんなり膀胱まで到達すると思っていたカテーテルが、先ほどから何かに当たって奥へと入っていかなのだ。
悟天が焦れば焦るほど膀胱への挿入は上手くいかず、手の平を濡らす緊張の汗は今や全身にまで及んでいた。
兄が咽喉の奥から悲鳴をあげる度に悟天は一旦手を止めて、兄が虚脱すると、兄の呼吸に合わせて作業を再開させた。
そんなことを繰り返していると、カテーテルの先が前立腺に当たったところで、兄の両脚が小刻みな痙攣を始めた。
いつもなら兄の両脚の痙攣は絶頂の前触れなのだが、初めての尿道責めにカテーテルを使用することに僅かな懸念を抱いていた悟天は怖気付き、心配そうに兄の様子を伺いながら、もと来た道をゆっくりと戻って行った。
責めの中ほどで兄が奥歯をくいしばる音を耳が拾っていたのも、悟天に後ずさりさせるひとつの要因となっていた。
「ふ、ぅ・・・!・・・っ・・・!」
カテーテルを送り込む時は躰を硬直させて身動ぎもしなかった兄が、引き抜く際には前に突き出すように腰を持ち上げて、喘ぎに似た息を吐き出し始めていた。
挿入の前に、周辺がぬるぬるになるほどたっぷりペニスを弄っておいたから、何も施さないよりは兄に苦痛を与えずに済んでいるはずなのだが、それでも拡がった鈴口は痛ましいくらいに赤く、悟天は兄の喘ぎの理由を測りかねた。
兄が尿意を感じている可能性を考慮に入れると、半端ではない違和感が苦痛になっているのかも知れない、とも思った。
ところが、カテーテルを完全に引き抜いた後で追うように少量の白濁液がとろりと鈴口から零れるのを見て、悟天は先の兄の両脚の痙攣が紛れもない絶頂の前触れであったのを知ったのだった。
(へえ・・・。初めての尿道責めで、感じちゃったんだ・・・)
尿道からとはいえ、やはり前立腺を突かれたのが効いたのか。
となると、リスクの高さから今回だけにしておく予定だったが、この責めを一度かぎりで終わらせてしまうのは勿体ない。
入手したアイテムの今後の活躍への期待に、悟天は片方の口角を釣り上げた。
正規な医療用ではなく安価なアダルトグッズであったが、18歳の誕生日を待ってまで手に入れた甲斐があった。
予想以上にいい仕事をしてくれる。
安堵と同時に沸き起こった昂りに、悟天は己の分身の先が湿るのを感じていた。
手に持ったものと当初の予定を放り出して、早急に漲ったものを兄の秘部に突っ込んで中で果てたい。
若さゆえの当然の欲求だった。
だが、悟天はそうしなかった。
カテーテルに加える力の向きを変えると、再び挿入を開始したのだ。
「あっ・・・!あっ、あっ・・・!」
透明の分泌液よりもぬるつきのある白濁液が潤滑油代わりになっている為と、二度目の挿入であった理由から、一度目よりも抵抗感なくカテーテルは兄の体内に飲み込まれていく。
その間にも兄は何度も下肢を引き攣らせたが、今度は悟天は怯まなかった。
中ほどまでカテーテルを進めたところで軽く扱くとペニスが膨張し、悟天は興奮に唇を歪めると兄の耳もとで意地悪そうに尋ねた。
「兄ちゃん、気持ちいいの?」
当然だが、応えはない。
悟天の質問に対して返ってきたのは言葉ではなく、荒い呼吸と艶かしい喘ぎ声だけだったが、それでも悟天は満足だった。
もとより、こんな状態の兄とまともな会話が成立するなどと、端から期待していなかったのだ。
それに、兄から否定の反応がなかったことで、質問が的を射ていたのは確認できた。
それだけでも、収穫としては十分過ぎる。
心の片隅にわずかに残っていた兄への罪悪感が、この質問で完全に霧消したのだから。
やがてカテーテルが前立腺に到達すると、悟天は躊躇なくそこを軽くつついた。
案の定、兄の両脚が小刻みな痙攣を始め、悟天は容赦なく兄を快感の淵へと追い立てた。
「あっ、あっ、あっ・・・!・・・イ、イクッ・・・!」
この時、兄は悟天が教え込んだ通りに絶頂を言葉で知らせながら、いつものように全身を大きく竦ませた。
常と違ったのは、カテーテルの先から申し訳ていどの白濁液が零れただけで、完全な射精とはいかなかった点だろう。
明らかに達した筈なのに射精には至っていない矛盾した事実に、反らせた背骨の緊張を解いた後も胸板を激しく上下させた兄の顔には、驚愕と困惑が張り付いていた。
その驚愕が冷めやらぬうちに悟天が再び前立腺を責めると、兄は快感の波が完全に収まってしまう前に立て続けに達した。
「・・・やっ・・・、やめっ・・・!もう・・・っ、や、めっ!」
苦しそうに喘ぎながら前立腺への責めを中断するよう願う兄の声は、かろうじて音声と認識できるほどに掠れていた。
兄の制止を無視してなおも悟天が責め続けると、兄は完全に言葉を失い、一際高い嬌声をあげては息つく間もなく昇りつめるのをもう一度繰り返した。
このまま攻め続けたら、兄は何回まで連続で達することができるのだろうか。
突如として沸き起こった好奇心と、早急に兄の中で果てたい欲求が悟天の内部でせめぎあったのは、まさにこの時だった。
だが、如何に初めての責めに興奮していると云えども、たかだか前哨戦如きにいつまでも時間を費やしているわけにもいかないだろう。
サイヤ人の血をひいている兄の体力にも限界はあるのだから。
悟天は効果的な責めへの未練を静かに吐き出すと、カテーテルの先でさらに兄の躰の奥を探った。
「・・・・・・っ!」
途端に、声にはならない兄の悲鳴が耳もとを掠め、敏感な部分を押しわけて異物が体内を進んでくる感覚とはどのようなものなのだろうか、と悟天は思った。
こんな、他の者には排泄器官でしかない下肢の一部が兄にとっては性感帯の密集地帯なのだから、受け入れる側として目覚めた兄の躰は実に面白い。
同じ男なのに、兄は女を貫くよりも男に征服されることでより強い快感を得られるのだ。
この、周囲の期待を一身に受けた、両親ご自慢の息子である優秀な兄が。
悟天は兄に顔を見られないように俯くと、密かにほくそ笑んだ。
兄を組み敷く時、悟天を満足させてくれるのは性的欲求ばかりではない。
自らの手で兄を絶頂に導いた瞬間、勉学が苦手な悟天がいつしか兄に対して抱いていた仄暗い劣等感は、極上の優越感へと羽化するのだ。
ともするとそれは、かつての上司を己の部下として使役するのと同じプライドをくすぐられているのかも知れなかった。
何せ兄は、時として悟天の保護者的な役割も果たしていたのだから。
兎にも角にも兄を抱く時、悟天は性欲だけではなく、己の承認欲求も満たされるのを自覚していた。
そうして益々、兄の躰にのめり込んでいったのである。
こうなると、自分はもう兄なしではいられないとすら思う。
だが、それは兄も同じだった。
父に棄てられた兄を慰められる人間が、弟の悟天以外に誰がいると言うのか。
例えその背徳行為が、見えない鎖となって兄と悟天を縛りつけようとも。
同性であれ異性であれ未だに特定のパートナーを持たない悟天と違って兄は妻帯者であったが、その事実でさえ悟天にはどうでもよかった。
悟天が兄への恋心に気づいた時には既に兄は他者のものだったのだ、兄に横恋慕したからには愚かな独占欲など抱かないのが悟天の恋の前提条件だった。
だから悟天はひたすら兄に触れられることのみを願い、その念願がようやく叶って現在ではこの世の春を謳歌している。
だが、互いに互いを必要とする兄と悟天が、独占欲よりも危険な盃を交わしているのをこの時の悟天は知る由もなかった。
(あれっ!?おかしいな・・・)
まるで体内の壁に阻まれたように進行を止めたカテーテルに、悟天は焦燥感に苛まれていた。
時間はかかれどもすんなり膀胱まで到達すると思っていたカテーテルが、先ほどから何かに当たって奥へと入っていかなのだ。
悟天が焦れば焦るほど膀胱への挿入は上手くいかず、手の平を濡らす緊張の汗は今や全身にまで及んでいた。