【trap-後編-】

『微量の電気』では表現が生温いほどの感覚が下半身を襲い、両手両脚をジースとバータに押さえ込まれた状態で悟飯は全身を大きく痙攣させる。
大波に攫われた後もくすぶり続けた淫靡の炎が一気に燃え盛り、その炎は股間を中心に徐々に全身へと拡大して、容赦なく悟飯の理性を灼いた。
そんな悟飯の内情にはお構いなしのバータの舌技はとどまるところを知らず、小陰唇を上下になぞっては舌先で陰核を転がし、蜜壺に舌を捻じ込んでは中から溢れ出る蜜を音を立てて吸い上げ、性に疎い悟飯に表現のし難い快感を与え続けた。

「悟飯ちゃんのジュースは美味しいなぁ」

「なっ・・・!バ・・・バータ、てめぇ・・・!」

「はっ・・・!あっ、あっ、あっ、んっ・・・!」

「ご・・・悟飯ちゃん・・・」

形勢が逆転してバータに美味しいところを持っていかれたと悔しがったジースだったが、バータの口腔での愛撫にこれまでより乱れる悟飯に心を奪われ、それきり眉間に皺を寄せて耐え難い快感に身悶える悟飯の淫らな表情から目が離せなくなった。
自分好みのタイプである可愛い悟飯に直に触れられるのは望外の喜びだが、映像ではない生々しい表情をリアルタイムで見物するのも、悪くはない。
となれば、悪友であり盟友でもあるバータを俄然、応援したくなるのも当然の心理だった。

「よし、いいぞバータ!その調子だ!その調子でもう一回、悟飯ちゃんをイカせてやれ!」

「おうよ、任せときな!」

―イカせる?―

イカせるとはどういうことなのか、ジースの声援を聞き咎めた悟飯は今夜の経験と今日まで培ってきた知識を照らし合わせて、思考の途切れる頭で言葉の意味を探った。
さきほど、バータに股間を弄られて、躰も意識も大波に高く押し上げられるような感覚に襲われた。
悟飯の中で荒れ狂ったあの大波が快感で、大波の頂点が『イカせられた』状態だったのか。
あんな経験は生まれて初めてだった。
躰が痙攣を起こして意識が途切れ、呼吸もままならずに苦しいのに、脳が痺れるほどの恍惚感に浸された後はこの上なく甘い心地よさが残った。
あの時と同じ、理性、教養、倫理、道徳、貞操のあらゆる観念をかなぐり捨ててしまいたくなるほどの甘い陶酔の波が再び現れ、今もまた悟飯の中で大きくうねっている。
これが『快感』なのか。

「あっ、あっ・・・!気持ちイイッ・・・!」

「!!!」

「今の聞いたか、バータ!!」

「もちろんだ、ジース!!」

それまでされるがままに受け身の姿勢を崩さなかった悟飯の初めての自発的な言葉に、ふたりは色めき立ち、互いに体を抱き合って相手の健闘を称えたい衝動に駆られていた。
今の言葉をトランクスのヤツに聞かせてやりたい、ふたりはそう思った。
悟飯が快感に酔いしれて上擦った声で可愛らしく喘いでいるのはふたりの功績であり、決して、女性に紳士的なトランクスの業績などではない。
いかにトランクスが優秀であっても、男としては今のふたりに及ぶべくもないではないか。
因縁のあるトランクスの恋人を己が掌中に収めたことによるふたりの自尊心の回復は恐るべき早さで行われ、新たな自信を身につけたバータは、悟飯を2度目の絶頂に誘う為の努力を再開した。

「あっ、あっ、ああんっ・・・!」

再び訪れたバータの舌に悟飯は甘い声で喘ぎ、その喘ぎ声に合わせて蜜壺からは蜜がとめどなく溢れ、胸に脚が付くほど折り曲げられた体勢であるのにも関わらず、泉から流れ出る小川のような流れを作って床にまで滴り落ちていた。
その、人体のメカニズムの神秘さを物語る特殊な分泌液をバータは舌で掬い、悟飯が作った流れに逆らってアナルから会陰を通って陰核までをも愛撫する。
ジースもまた、快感に歪む悟飯の表情を観察するように見下ろしながら、悟飯の絶頂への誘致に余念がなかった。
様々なテクニックで悟飯の乳房を弄ぶ一方で、時として探検家のジースの両手は、女性の性感帯と思しき場所を探して方々を旅して回った。

「悟飯ちゃんすごい、びしょびしょ」

「もう1回イっちゃいな、悟飯ちゃん」

ふたりは言葉でも悟飯の快感を誘発し、ほどなくして悟飯はふたりの誘導に従って2度目の絶頂を迎えた。
躰中の筋肉どころか脳までもひきつけを起こしたような感覚は苦痛でしかないのに、悟飯の躰は甘美な快楽に狂喜する。
人間の体に、五感以外のこんな感覚が具わっていたとは。
今日まで悟飯が知り得なかった至高の感覚を悟飯の躰から引き出したふたりは、悟飯にとってはまさに快感の水先案内人となった。
そのふたりから、未だ呼吸の整わないうちに口腔愛撫をねだられた時、衛生観念と貞操観念の問題上で抵抗感と嫌悪感に躊躇した悟飯だったが、当初の約束もあって逆らうことはしなかった。
それでも、単一色で描かれた教科書の解説図でしか見たことのない、想像もつかない配色で彩られたそれを眼前に突きつけられ、人間の生殖器が排泄機能を兼ねているのを思い出した時だけはさすがに怯んだ。
そんな悟飯に口腔愛撫のテクニックを優しくコーチするふたりの期待に応えて、ジースのペニスを口に含むと悟飯はおずおずと舌先を動かした。

「んっ・・・!」

ジースの低い呻き声に、ジースもまた自分と同じく快感を体得しているのかと思うと、悟飯の胸に友情に似た奇妙な感情が芽生え始めていた。
この頃にはもう、悟飯はジースとバータに対して初対面の時のような悪印象は抱いていなかった。
悟飯を悦ばせようと甲斐甲斐しく尽くす彼らに、口約束だけが理由ではなく少しでも奉仕してあげたいと、悟飯はぎこちない動作で拙い愛撫を施した。

「悟飯ちゃん、オレもいい・・・?」

悟飯の可愛い口に自身を含まれて愉悦の表情を見せるジースを羨んだバータが背後から遠慮がちに願い出て、悟飯は目だけ動かしてバータを振り返った。
その視線の先にあるものを認めた悟飯は、これ以上何を求められ、自分に何ができるのかと訝しがった。

「挿入れないから、安心しな。ただ、ちょっと悟飯ちゃんのお股を借りるだけなんだよ」

と、さらに意味不明な釈明を受け、悟飯は説明を求めて仁王立ちしているジースに上目遣いで視線を送った。

「素股、って言ってさ、女の子の股間に挟んで貰う方法があるんだよ」

答えて貰ったものの、悟飯の癖のある黒髪を撫でながらジースが提供した内容の理解が悟飯には難しい。
そんな、半信半疑で戸惑う悟飯の腰を掴んだバータは、四つん這いにさせた悟飯の尻と脚の付け根の隙間に自身の肉塊を差し込んで、結合した相手を責める要領で腰を前後に動かし始めた。

「ふっ、う、んっ・・・!」

悟飯の股間に密着して滑る、鉄のように固いバータの肉塊が悟飯の陰核を擦り、敏感に変化させられた部分への刺激に、悟飯はジースを口に含んだままの状態で高いくぐもった声を上げると下半身を引き攣らせた。

「悟飯ちゃんのアソコ、すっごいぬるぬるになってる。気持ちイイ!」

たっぷりと潤った悟飯のジュースと小陰唇がバータの肉塊に絡み付き、実際に女性の体内に挿入しているかと錯覚を起こすほどの粘液の感触に、バータは歓声を上げた。
悟飯の股間からはひっきりなしに水音が立ってバータの錯覚的感覚をさらに助長させ、バータは夢中になって悟飯の尻に腰を打ち付けた。
その悟飯の見事なプロポーションを後背から見下ろし、バータは人知れずほくそ笑んでいた。
懐中電灯の灯りの中でも判別ができるほどの白い背中から、細い腰まで続く綺麗な曲線。
制服の上からは目立たなかった、華奢な躰つきには不似合いな豊かな胸。
細身でありながらも決して痩せすぎなどではなく、肉感のある形の良い臀部。
仕草や表情が愛らしい、人並み以上の容姿。
幾ら悟飯の友人のビーデルが目立つからと言っても、これだけ異性の気を引く条件を揃えている悟飯にまるきり注視しないとは、この高校の男子生徒の目はまるきり節穴だとしか言い様がない。
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