【あいつの憂鬱】

それが、悟飯は本格的な喪失の前に、内部に与えられる刺激を脳が快感と受け取り、ターレスの指に肉襞が応えているのだ。
これほど恵まれた天性の体質に加えて、一週間だけとは云え、数々の浮名を流したターレスによって開発されたならば、どれほど素晴らしい体になるだろうか。
そして、悟飯を征服するまでは探検家の一人に過ぎなかったターレスが、悟飯を攻略した後は唯一の制服者となる。
今のターレスは、新しく手に入れたゲームの攻略に夢中になる子供と同じだった。
どんな宝物が眠っているのかと期待を抱き、胸を躍らせながらダンジョンの中へと第一歩を踏み入れる子供と。

ターレスが先端を蜜壷に押し当てると、それまでの時間が嘘のようにぴたりと悟飯が静止した。
呼吸を止めた二人の上に、沈黙と静寂が重くのしかかる。
いよいよ、と思うと、どちらの体にも知らず知らずのうちに緊張が走るのだった。

「うっ、ぐっ・・・!」

指で馴らされたとは云え、狭い蜜壷の入り口をこじ開けてターレスが侵入を始めると、これまで経験したことのない痛みが悟飯の股間を襲った。
幼児期から激しい戦闘に巻き込まれ何度も命の危険に晒されてきた悟飯は、痛みに対してある程度の免疫と耐久性がついている。
だが生殖器への痛みは、暴力によるものとは質が違った。
ターレスとの初めてのアナルセックスでは、体を切り裂かれるような鋭い痛みが脳天まで走った。
処女を喪失しようとしている今の痛みは、体に無理矢理に穴を穿たれるような、鈍い痛みだった。

「あ!ああっ!あああ!」

ターレスが一突きする度に、少しずつ悟飯の体の奥深くにターレス自身が進んでゆく。
それは、悟飯にはハンマーで太い杭を打ち込まれているように錯覚するほどの衝撃だった。
よくほぐされたとは云え、指とは比較にならない太さのターレスのモノは、処女には凶悪を通り越して極悪とすら云える。
おそらく悟飯が負っているダメージは、女性器だけではないだろう。
それを証明するように、悟飯は苦痛の悲鳴を張り上げ続ける。
声で痛みを具現化することで、体内の苦痛を少しでも分散させているかのように・・・。

身式に閉じる悟飯の脚を腰を進めて制し、愛液の滴る蜜壷に己の欲望を根元まで埋め込むと、ターレスはそれまで微塵の躊躇も見せなかった動きを止めた。
ぬるぬるとした粘液を全体に纏わり付かせながら、ターレス自身は悟飯の内部で天を睨んだまま威圧を続ける。
内側から無理矢理に肉襞を圧迫される質感に、ターレスが動きを止めた後でも、悟飯の生殖器は暫くの間ずきずきとした痛みを残した。






そうしてどれほどの時が経ったのだろうか。
痛みに乱れた悟飯の呼吸が整った頃、ターレスがわずかに腰を引いた。
かつて、地球に永住する以前に『プレイボーイ』の異名を欲しいままにしたターレス自慢の下半身は、萎えることを忘れたかのように怒張を続けている。
『思いっ切り暴れまくりたい』『思うさま悟飯を蹂躙したい』とターレスに本音を代弁する物言わぬ口からヨダレを垂らすその先端が、悟飯の奥の壁と軽くフレンチキスを交わした。
動きを止めていた間ターレスは、痛みに憔悴した悟飯を安心させるように優しく唇にキスをし、絹糸の黒髪を柔らかく撫で、慈しみを篭めた瞳で悟飯を包み込んでいた。
それら一連の動作を変えることなく、わずかに腰を引いては悟飯の腸壁にペニスの先端を軽く当てるだけのピストンを何度も繰り返す。
体の最奥に感じたコツコツとした手応えに、悟飯が痛みの中にも次第に体の中心に広がってゆくむず痒さを発見したのは、暫く経った後だった。
痛みとも快感とも違う中途半端な感覚に、悟飯は不快さを感じた。
感じたものが痛みならば防御本能が働き、体は硬直する。
快感ならば寄せては返す波に翻弄されながらも、より深い快感を体は無意識に追う。
ところが悟飯が今感じているのはそのどちらでもなく、ちょうど中間あたりと云っても良い。
かつて味わったことのない判別の難しい感覚にどういう反応を示すべきなのか、悟飯の躯は迷い、戸惑った。
これまで悟飯を支配しいていた痛みを、段階を追ってむず痒さが侵略し、悟飯の躯の新たな支配者となってゆく。
何と呼びようもない奇妙な感覚に捕らわれている間は文字通り悟飯には休息の時間になったのだが、嵐の前兆は徐々に起こりつつあった。

「・・・ん?・・・ぅん、んっ・・・?」

悟飯の躯の中心のむず痒さは少しずつ少しずつ電気を帯び始め、それらが次第に全身へと拡散してゆく。
そのうちの幾つかが背筋を昇る頃には、甘い吐息を漏らすほどの小さな快感のさざ波が絶え間なく起こっていた。
いつしか悲鳴をあげるほどの痛みは消え失せ、代わりに押し寄せてくる小さなさざ波は時間を追う毎にビッグウェーブへと変貌を遂げ、気付いた時には悟飯は追い立てられ、追い詰められていた。
そのウェーブは寄せては引くを繰り返しながら次第に嵩を増し、やがて全身を侵蝕する電流の一つに悟飯の脳天が侵された瞬間、いきなり最高点に到達した。

「あっ!!あっ!!ああっ!!」

体を引き絞られるような感覚が悟飯を襲い、あらゆる関節から力が抜けてゆく。
指先から血の気が引いていくのを自覚した次の瞬間、悟飯は全身を大きく痙攣させていた。
脳には次々と電気が走って後頭部の痺れを誘い、大きな喘ぎ声を張り上げたきり呼吸は停止する。
ただでさえ狭い悟飯の中は達すると同時にきつくターレスのものを締め上げ、更にその奥ではびくびくと細かい痙攣を繰り返してターレスのペニスの先端に振動と刺激を与えた。

(・・・驚いたな・・・。中に生き物がいるみたいだぜ)

快感に応じて様々に変化してゆく悟飯の内部は、まるで体内に別の生命体を宿しているかのように感じられた。
おそらく悟飯の体は快感を拾いやすいのだろう、これほど短時間で変化した女性は、百戦錬磨のターレスにも初めてだった。
快感に敏感な女性は、ただ単に感じやすいだけでなく、達しやすいことでも知られている。
また、敏感な女性の中には、処女喪失の際に片鱗を見せ始める者も存在するというのも、周知の事実である。
だが、男性側に快感を与えやすい女性が処女喪失でその片鱗を見せるのは、滅多にあることではない。
どうやら女性になった悟飯の素晴らしさは、快感に敏感なだけではないようだった。
これも、ターレスには嬉しい誤算だった。

「んふっ・・・ん、ん、うんっ・・・んっ・・・!」

達した後の余韻が残る悟飯に、ターレスは半ば強引に口付けた。
それは、この日初めての濃厚なキスだった。
いつもターレスは、この口付けをきっかけに悟飯をベッドへと誘っていた。
少しずつ口腔内への愛撫を深めてゆき、徐々に悟飯の脳を蕩けさせ、拒絶不可能になるほどの快感を与えてから悟飯を食す。
この一連の流れがお決まりのパターンとなっていたのだが、今日のターレスはいつもと様子が違っていた。

「んんっ!!うん、んっ!!ん、ん―・・・っ!!」

緩いローリングで膣内を犯されながら口腔内を嬲られ、ターレスと唇を合わせたまま悟飯は挿入後から二度目の頂点に達した。
脳内に蓄積された電気がショートを起こして白く弾けた悟飯の脳を、ターレスが長くて薄い舌で尚も掻き廻す。
脳がぐちゃ、ぐちゃと耳元で音を立てる度に悟飯は体を痙攣させ、悲鳴に似た喘ぎ声をターレスの口の中に放り込んだ―





それから後の事を、悟飯はよく覚えていない。
ターレスに何をされているのか、何度達したのか、感じるゆとりも考える余裕も、悟飯にはなかった。
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