【僕の憂鬱-後編-】


「ほう・・・。ならばお前は、好きでもない男に抱かれるような尻軽なのか?それを、カカロットの奴に言ってやってもいいんだな?」

うっ、と息を呑んだ悟飯は、返す言葉もなく、下から自分をねめつけるターレスを口惜し気に睨みつける。
例え悟飯が実際に尻軽であったとしても、父の悟空は悟飯を嫌悪したり、軽蔑したりなどしないだろう。
だが、最愛の息子が道を踏み外せば、純粋な胸を痛め、深く悲しむに違いない。
何としても、それだけは避けなければ。
大事な父を、優しい父を、悲しませたくない。
ただ、悟飯の中にある、悟飯自身にも理解不能な奇妙な感情をはっきりと言葉で表すには、日頃のターレスの言動はあまりにも信用に事欠いた。
素直でまっすぐな少年が、頑なに意地を張り続けねばならないほどに。
それを素直に伝えるくらいなら、愛撫をねだった方がまだマシだ。

「・・・ター、レス・・・僕の・・・胸に、触っ・・・て・・・」

「胸に触るだけでいいのか?ん?」

互いの息がかかるほど間近に悟飯の顔を覗き込むターレスの笑いが、悟飯の癪に障るものからニヤニヤとしたものに変化した。
それは、面白い悪戯を発見した子供に例えるには、悪魔のように釣り上がった口端と獣のような眼差しが、無垢な子供とは真逆な毒性を宿したものだった。
一度赦してしまえば、後はずるずるとターレスの術中に嵌るだけだった。

「・・・僕、の・・・ち、くび・・・弄っ・・・て・・・っ」

眼の端を朱に染めて、悟飯が紛れもない『おねだり』をした瞬間、ターレスの笑みは三度目の変化の勝利の笑みに変わった。
相反する悟飯の黒い瞳からは、少年の身でありながら浅ましくも快楽を求める羞恥と、まんまとターレスの罠に嵌った悔しさと、快感に弱い自分自身への怒りが迸っている。
ターレスから視線を逸らして俯いた悟飯を軽々と抱き上げると、ターレスは寝室へと急ぎ、辿り着いたベッドに乱暴に悟飯を放った。
悟飯が声を上げる間も与えず、ターレスは悟飯の体にのしかかり、充血して微かに色付いた悟飯の胸の突起を軽くつまむ。

「ハアアアッ!!イヤアァッ!!」

「嫌か?嫌なら止めるぞ?」

悟飯の悲鳴と同時にぴたりと指を止め、いたぶるべき鼠を追い詰めた猫のような残虐さで、ターレスは口元を歪めて問い質す。
自ら望んだ愛撫を今更拒めよう筈もない悟飯は、手の中に白い清潔なシーツを握り込んだ。
もう二度とターレスに屈したりなどしない、そう決意して。

貝のように口を閉ざした悟飯を嘲笑うように、ターレスは悟飯の胸の突起を弄ぶ指の動きを再開する。
親指と人差し指でつまんでは捻るように擦り上げ、時には敏感な乳頭に軽く爪を立て、時には指の腹で乳頭を優しく撫でる。

「ガチガチに固くなってるな」

触れられるだけでも痛いほどに張り詰めた突起は、膨張したイチモツを彷彿させられるくらいのゴリゴリとした感触をターレスに伝えてくる。
両方の突起を同時に攻められた悟飯の瞳からは早々と涙が溢れ出し、悟飯が頭を振る度に、濡れた黒髪の雫とともに白いシーツへと飛び散った。

「アウッ!ンアアッ!アッ、アッ、アアッ!」

微かな痛みを伴う堪え難いほどの快感にアーチ状にのけ反らされた悟飯の胸からは絶え間なく電流が発生し、この電流が血液の代わりにペニスに流れ込んでいるかのように悟飯は錯覚した。
限界近くまで膨張したペニスはターレスの愛撫に合わせてビクビクと震え出し、先端の鈴口は開閉を繰り返して、口を開く度にだらしなくヨダレを垂れ流し続ける。
無意識に上へとずり上がる悟飯の腰を右手に抱いて逃げられないように固定すると、ターレスは空いた左胸の突起に舌を這わし始めた。
乳輪に沿って円を描くように舐めまわし、舌の先でチロチロと乳頭を揺さぶり、上下の歯に挟んでは歯で擦り、時には乳頭の先に軽く歯を立てる。
左胸が終わると次は右胸と、悟飯の胸の突起を弄ぶ行為は果てがないのではないかと思われるほど延々と続き、堪え切れなくなった悟飯はとうとう行為の終了を哀願しだした。

「ター、レス・・・も、もうっ・・・ヤメ、テ・・・ッ・・・!」

「なんだ、もうギブアップするのか?いつもの半分も弄ってないぞ」

咽喉の奥で短く笑い、しょうがないな、と呟くと、最後の名残りとばかりにターレスは熟れた小さな実を強く吸い上げる。

「ヒイィィ!!」

途端に悟飯の体は水から揚がった魚のように大きく跳ね上がり、その衝撃でターレスの腕を掴む手に力が篭って悟飯の爪がターレスの腕に深く食い込んだ。
ターレスは痛みに顔をしかめることもなく体の向きを変えると、悟飯の先走りを二本の指で掬い、悟飯の柔らかい秘部へ突き刺した。
お湯でふやけた上に先の行為で受け入れやすくなった悟飯の秘部は、特殊なローションを使用するまでもなく、少ない抵抗で楽々とターレスの指を呑み込んでゆく。
ターレスが中で指をぐるりと回し、二・三度ピストン運動を繰り返す頃には、悟飯の秘部からはターレスを受け入れる為の体液が分泌され、動作がスムーズになる。
それは、まだ少年の悟飯がターレスに手篭めにされた挙句、あらゆる性感帯を開発された末の、状況に応じた体の変化だった。
ターレスの濃厚な愛撫にまみれるうちに、本来ならば隆起の難しい子供の乳首が、行為が始まればすぐに突起するようになり、急所とも言われる箇所は簡単に包皮が剥がれるようになり、白い肌は触れられるだけで敏感にターレスの愛撫に応えるようになった。
そして何より変化が大きかったのは、大人のターレスを度々受け入れることによって、排泄に大事な場所が傷つかぬよう、刺激を受けると間もなく、女性のように雄を受け入れる為の体液が体の奥から分泌されるようになっちゃ秘部だった。
その秘部から排出された体液はターレスが指を動かす度に溢れ出し、ターレスの指の動きに合わせて、グチュグチュと、単調だが淫猥なメロディーを奏でる。
ターレスの想いに絡み付くように二本の指に絡み付いたヌルついた体液は、ターレスの指を汚した後は外へと溢れ、びくびくと震える白い双丘の間を縫って細い小川を作り始めていた。

「良く濡れるな、お前は。悟飯、女だってこんなに濡れないぜ」

笑いをかみ殺した声で低く告げられ、体温が上昇して汗が吹き出した体とは反対に、悟飯の心は凍り付くように冷え込んだ。
時々ターレスは、悟飯との行為の最中に、自分の過去の経験を示唆する台詞を吐く。
だがそれは、悟飯には知りたくもない過去だった。
途端に、悟飯の心の中に、ターレスが載っているとは知らずに部屋中の雑誌を全部処分した時と同じもやもやとした嫌な感情が湧き上がってくる。
男であろうと女であろうとターレスが過去に何人の人間と関係を持ったのか、気にならないと言えば嘘になるが、聞きたくはなかった。
ターレスが、悟飯の知らない相手に悟飯するのと同じ愛撫を施し、相手も悟飯と同じように嬌声を上げてのけ反っていたのかと思うと、今すぐに我が家に逃げ帰ってしまいたくなる。
そんな悟飯の心境も知らず、数週間前にもターレスは悟飯に残酷な仕打ちをしたのだ。
あらゆるテクニックを駆使して悟飯の幼いペニスを口腔内で愛撫している最中に、ふと、ターレスは思い出したように独りごちた。

『これが上手い奴がいてな。さすがの俺も、10分と保たなかったことがある』

それを聞いた瞬間、咄嗟に悟飯はターレスの体を突き飛ばした。

今も、今すぐにでもターレスを突き飛ばしてやりたい。
そして、ターレスの過去の相手と比べられるのを、全身で拒絶するのだ。

そう思って見開いたすぐ目の前に、ターレスの分身が悟飯を求めるかのように欲望を主張していた。
何度も目撃しているものとはいえ、他人の性器をまじまじと見つめるには、少年の悟飯には恥じらう気持ちが大きかった。
形も大きさも悟飯より数倍立派なそれから視線を逸らし、少しだけ戸惑った後、何を思ったのかおもむろにターレスの分身に顔を近付けてそっと舌先で触れ始めた。
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