【僕の憂鬱-前編-】
気配と足音を忍ばせて、いつの間にかターレスが背後に近付いていたのにも気付いていなかったものだから、心臓が止まるほど、といっても過言ではない。
「何するんだよ、ターレス!!!」
「すぐに温水が出てくる。そのうち温まるさ」
怒り心頭の悟飯に構わず、ターレスはシャワーの水を悟飯の上から下まで撒き散らす。
あっという間に全身ずぶ濡れになった悟飯がターレスからシャワーホースを奪い取ろうと伸ばした腕を、ターレスは楽々と絡め取った。
「何、するんだよッ!!」
「洗ってやる、脱げ」
「・・・!!・・・誰が・・・脱ぐもんか・・・!」
「お前が脱がなければ、服を引き裂いてやる。裸のまま家に帰るんだな」
「そんなことしたら・・・!」
―今度こそ、お前はお父さんに殺される―
「・・・カカロットが気になるか?」
冷えた心で悟飯が飲み込んだ言葉を、ターレスは察知したらしかった。
冷たい水が温かいお湯に変わり悟飯の皮膚を温め始めても、冷水をかけられたままの悟飯の心は急速に冷えていく。
悟飯の想像通りの自体など意に介さないとでもいうように、ターレスは飄々と後を続けた。
「今度は湖に落ちた、とでも言っておくんだな」
「な・・・!」
「脱ぐのか、脱がないのか、どうする、悟飯?選ぶのはお前だ」
実質は選択肢のない二者択一に、悟飯は青ざめた顔で唇を引き結んだ。
ここまできたらターレスの言う通り脱ぐしかないのはわかっているが、ターレスに対して自ら肌を晒すのは、無理矢理ベッドルームに連れ込まれる以上の躊躇いがあった。
だが、見ずに濡れて肌に張り付いた服がターレスに引っ張られて微かな悲鳴を上げた時、悟飯は咄嗟に自分の服を掴んだ。
「ひ・・・一人で脱げるよッ!」
心の寒さでも体感温度のせいでもなく、悟飯は震えながら水分をたっぷりと含んで重くなった衣類を次々と剥いでいった。
それに合わせて、自分だけ無害の服を軽々と脱衣していくターレスの、既に屹立して様変わりしたモノが視界の隅に入った時、悟飯は体ごとターレスから顔を背けた。
「あっ・・・!」
ボディーソープの泡がやんわりと悟飯の肌に触れた瞬間、思わず唇から漏れた溜め息に似た声に、悟飯は慌てて両手で自分の口を塞いだ。
―声なんか出すものか。
―感じてなんかやるものか。
ターレスに求められる度に、性的な反応は見せまいと、悟飯は拳を握り締め、唇を噛み、声を押し殺す。
それがただの強がりだと、悟飯もターレスも知っていたが。
「ふっ・・・う・・・っ、くぅ・・・ぅ・・・っ」
全身を強張らせながら耐える悟飯の背中を、胸を、腹を、首筋を、ターレスは泡の付いた掌でぬるぬると撫でていく。
ターレスは決まって下から上へ向けて愛撫する。
しかも、往路は掌で、復路は指先で、肌に触れるか触れないかの絶妙なタッチで。
ターレスのこの愛撫が始まると、途端に悟飯の全身からは力が抜けてしまう。
抵抗するだけの体力も気力も失せてしまうほどに。
「はっ・・・ハァ・・・ハァ・・・はぁ・・・っ」
リストにスナップを利けせて悟飯の内股を何度も上下に撫であげるターレスの指先が、時折悟飯の秘部の周辺を掠めていく。
その度に悟飯の脳の隅にも何かが掠めて悟飯の思考力を低下させ、背骨を走る電流に悟飯は軋むほど背中をしならせた。
ターレスに触れられた秘部の周辺は熱を帯び、体の奥の疼きを誘う。
びくり、びくり、と竦む両脚の内側は張り詰め、脚のつけ根の先には幼いペニスが包皮を被ったまま天を向いていた。
「うぅ・・・っ・・・く、ふっ」
温かいシャワーの湯気がバスルーム中に充満し、二人を包む気温が上昇しても悟飯は震え続けている。
ターレスは悟飯の尾の取れた痕で一旦手を止めると、股の間をペニスの下まで、後ろから前へ一気に手を滑らせた。
「キャアアアッ!!アアアッ!!アアッ!」
のけ反らせた咽喉から迸った悟飯の悲鳴があちこちの壁にぶつかって、二人の鼓膜へと帰ってくる。
悟飯の悲鳴が小さくなる頃には、ターレスは手を引っ込め、また同じ動作を繰り返した。
尻の割れ目を通って秘部から裏筋、小さい双玉へと、ボディーソープでヌルついたターレスの手が滑っていく。
大の男でもイチコロだと言われるこの愛撫を、少年の悟飯が受けるのだから堪ったものではなかった。
「ヤメッ・・・!ヤメェェ!!」
悟飯の体が悲鳴と同時にガクガクと痙攣を始めると、ターレスは手を滑らせた先の悟飯の小振りなペニスを掴み、二本の指で優しく皮を剥いた。
「キレイに洗ってやる」
大人と違って普段は包皮に覆われた過敏な部分を、ターレスは親指の腹で何度も洗う。
悟飯の股間は秘部から裏筋、双玉もすべてターレスの腕で擦られ、それだけでも悟飯の両脚が震えるほどの快感を生み出していた。
「あぁっ・・・!・・・ぅくぅぅ・・・っ、ん、ん、んっ・・・!」
「ここも、洗わねぇとな」
悟飯の耳元で低く囁き、悟飯のまだ柔らかさの残る耳たぶに軽く歯を立てると、ターレスは空いた左手の中指で悟飯の秘部の周りを丸く円を描くように洗い始める。
ターレスの前後同時の攻めに悟飯の華奢な体は翻弄され、ペニスの亀頭部を撫でられれば腰を後ろに引き、秘部をマッサージされれば腰を前に突き出した。
結果として意思とは裏腹に悟飯は何度も腰を振り、その度にペニスの先端から溢れた透明の体液がシャワーのお湯に流されて足元の床に散った。
悟飯の秘部がお湯とボディーソープにふやけて柔らかくなると、ターレスは悟飯の中に中指を侵入させた。
「ぁひぃっ・・・!うぐっ」
ターレスは何度か中指の抜き差しを繰り返し、悟飯の秘部が中まで柔らかくなって動作がスムーズになると、勝手知ったる悟飯の前立腺に指先でソフトにタッチする。
強く擦られたわけでもないのに悟飯の体は絶頂直前のように強張り、ターレスの手の中で幼いペニスは角度と硬さと容積を増した。
とターレスはそれまでの一連の動作をぴたりと止めると、お湯でもボディーソープでもない液体に濡れる自分の分身を、剥き出しになった悟飯の秘部に宛てがった。
ボディーソープによっていつもより摩擦が少ないとは云え、悟飯の小さな蕾は張り裂けそうなほど目一杯押し拡げられる。
バスタブの蓋の上に上半身を突っ伏す姿勢で、悟飯は痛みを堪えながらターレスを受け入れた。
「あっ!・・・あはぁぁっ!」
腰を持ち上げられ、悟飯は爪先立ちでターレスとの行為に答えねばならなかった。
ただでさえ無理のある体勢な上に、容赦なくターレスのモノで突き上げられて、次第に膝から脱力していく脚は頼りなく内側に向っていく。
静かなバッドの上では良く響く結合部の卑猥な音はシャワーの音にかき消され、代わりにターレスが律動する度にバシャバシャと派手な水しぶきが上がった。
ターレスに疲れる度に体の最奥から発した電気は、一瞬にして悟飯の脳天を次々と貫いていく。
自力で立っているのかターレスに支えられているのか悟飯自身にも判別がつかなくなった頃、ターレスは何の前触れもなく今にも崩れ落ちそうな悟飯の体から自身のペニスを引き抜いた。
「・・・ター、レス・・・ッ」
快感の波が引かずに浅い呼吸を繰り返す悟飯の体をひっくり返すと、ターレスは悟飯をバスタブの縁に乗せ、下から再び挿入を開始する。
「アッ・・・!!」
無理な体勢から一転したとはいえ、ターレスを受け入れる為に大きく拡げられた股関節は、体の柔軟な悟飯でも苦痛を感じるほどギシギシと軋む。・
関節の痛みも忘れる、眼も眩まんばかりの快感に、悟飯は縋りつくようにターレスの首に腕を回し、白い咽喉をのけ反らせて喘ぎ続けた。
「イイ声が出るじゃねぇか」
強がりを押し通そうとする悟飯が、それでも堪え切れずにあげる高い嬌声に、ターレスは口元を歪めてほくそ笑む。