【愛してるなんて言わないで】
「愛している」
神の神殿のピッコロさんの寝室のベッドに僕を横たえた時、ピッコロさんが必ず言う言葉。
「僕もです、ピッコロさん」
僕はいつもそう応える。
僕からは言わない。
僕からは言えない。
だって、口にした途端、一番意味の重い言葉が、何の意味も持たない軽い言葉になってしまいそうで。
ピッコロさんへの僕の気持ちも、嘘に聞こえてしまいそうで。
怖くて言葉になんて出来ない。
あなたの口から、そんな言葉が聞けるなんて、子供の頃には思いもしなかった。
自分の命よりも、僕の命の方が大事だと、身をもって教えてくれたピッコロさん。
その想いに、僕は未だに応えきれていない。
待ってて下さい、ピッコロさん。
僕がもっと成長して、あなたから受け取ったものを全部返しきれるその日まで。
だから、それまでは―
「愛してる、悟飯」
「僕、も・・・あっ・・・!」
どうか、愛してるなんて言わないで。
END
ここまでお読み戴きありがとうございました。